2021年2月12日更新
仕掛けでスケール表現|「第16回家やまちの絵本コンクール」最優秀賞受賞の金城妃七さん[集まれ! スゴ技学生-7-]
Vol.7 当連載では、ものづくりの大会で入賞したり難関技能検定に合格などした学生を紹介する。
家やまちをテーマに全国から作品を募った「第16回家やまちの絵本コンクール」で、読谷高校3年の金城妃七さん(17)は、最優秀賞の国土交通大臣賞を受賞した。飛び出す仕掛けなどで動物たちの家のスケール感を表現。金城さんは「読む子どもたちが楽しめるように」と絵本に思いを込めた。
仕掛けでスケール表現
家やまちの絵本コンクールで最優秀賞受賞!金城妃七(ひな)さん(読谷高校3年)
金城さんと受賞作品「ねこくんのおうち」。製作中は「厳しくもたくさんのアドバイスを家族からもらった」と話す
子どもから大人まで応募できる同コンクールには全国から1694作品が集まった。読谷高校3年の金城妃七さんは国土交通大臣賞を受賞。県内学生としては初の快挙だ。金城さんは「初めての絵本づくり。結果を聞いたときは人ごとのようだったけれど、先生も家族も喜んでくれて実感が湧いた」と満面の笑みを浮かべる。
受賞作品「ねこくんのおうち」は、独り立ちするねこくんが、カピバラの案内でいろいろな動物がつくった家を巡り、自分にぴったりの家を見つける物語。特に評価されたのは、ページをめくるごとに現れる仕掛けだ。
「子どもが読んで楽しめる何かがほしい。そこで思いついたのが仕掛け絵本だった」。例えば、ゾウがつくった家では机が立体に飛び出し、小さなねこくんがそれを見上げる。ネズミの家では読む人が家の中をのぞけるように、飛び出した壁にのぞき窓をつけるなど、スケール感のある仕掛けで見せている。
ゾウの家はページをめくると机が飛び出す仕組み。小さなねこくんとの対比で、大きな家の中にいるのが伝わってくる。たくさんの部屋があるウサギの家ではドアを開けて部屋の中が見られる、そのほかのページではスライドしてねこくんを歩かせられるなど、さまざまな仕掛けを盛り込んだ
トリの家では木を引っ張って伸ばせ、高い木の上にある様子を表現
思考の先には子どもたち
「やるならとことん突き詰めたい」。夏休みの家庭科の課題に応募作品作りが出され、たくさんの絵本を読んで物語の展開を考えたという。登場する動物たちは、「いろいろ書き出した中から、子どもたちが知っていて、すみかに特徴がある動物を選んだ」。ウサギは子だくさんだから、部屋がたくさんある家に。ただ、絶対入れたかったというカピバラは「どんなすみかか分からなくて、案内役にした」と笑う。
仕掛けの仕組みは何度も折り紙で試した。一度は絵本を仕上げたが、薄い紙では形が保てず、画用紙で作り直し。「徹夜もして1週間。絵本を閉じたときに仕掛けがはみ出さないようにするのに苦労した」。仕掛け以外の挿絵も全て画用紙に描いてから絵本に切り貼りする徹底ぶりだ。
保育園や幼稚園の先生を目指して進学する金城さん。「初心者には難しいと思っていた絵本づくりを通し、ものをつくる楽しさを味わえた」。その経験はきっと将来にも役立つだろう。
◆授業担当の家庭科・新里聖子先生からメッセージ 絵本製作を課題にしたのは初めてだったが、期待以上の結果! 動物たちの住空間をうまく捉えて表現している。読む子どももいい刺激を受ける作品だと思う。 |
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内容を精査した上、記者が取材に伺います。
取材/川本莉菜子
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1832号・2021年2月12日紙面から掲載