2020年4月10日更新
【集まれ! スゴ技学生】先輩の背を追い技磨き
Vol.2 当連載では、ものづくりの大会で入賞したり難関技能検定に合格した学生を紹介する。
今回は回転する刃で鋼材などを削って加工する機械「フライス盤」のコンテストで優勝した高校生を紹介する。
ことし2月に行われた工業高校生によるフライス盤の機械加工技術コンテストで優勝したのが那覇工業高校・機械科3年(大会当時2年)の島仲裕希さん。同2年(当時1年)の上原大侑さんは入賞を逃したが、リベンジを誓う。
先輩の背を追い技磨き
機械加工技術コンテスト沖縄県高校生大会「フライス盤職種」で優勝した島仲さん(右)と、入賞は逃したが先輩の背を追いリベンジを誓う上原さん
那覇工業で「フライス盤」を習うのは2年生からだが、当時1年生だった島仲さんは「今すぐ技術を学びたい」と憧れた。
それは同校の先輩が、若年者を対象にしたものづくりの全国大会で敢闘賞を受賞。その技術を認められ、大手企業に就職したからだ。
「先輩みたいにものづくりの第一線で働きたい。その足掛かりがほしかった」と話す。
回転する刃で、部材を削ってさまざまな部品を作る「フライス盤」。オートメーションが進化を続ける中、「手加工の技術を身につけておけばプログラミングや試作品づくりにも役立つ。就職にも有利になる」と同校の知念仁教諭は話す。
島仲さんは1年のときにも同じコンテストに挑戦したが緊張で手元が狂い、入賞すらできなかった。0・01ミリの誤差で減点になる厳しい競技で「削らないでよい部分を削ってしまうという大きなミスをした。すごく悔しかった」。
コンテストでは、手のひらサイズの角鋼(写真左側)を複雑な形の部品に加工する(右)
公開練習でメンタル鍛え
知念教諭は策を講じた。「他校の先生や生徒を招き、公開練習をした」。見られながらの作業に慣らしていったかいあり、2年生になってリベンジしたコンテストでは「全く緊張しなかった」。見事、優勝を果たした。
一方、同コンテストに出場した1年生の上原さんは「全然ダメだった」。昨年の島仲さんと同じミスをしてしまった。「絶対にまた挑戦する」と悔しさをにじませながら、先輩の優勝を自分のことのように喜ぶ。「先輩は作業が早く、精度も高い。すごかった」。
島仲さんは後輩の称賛に照れながらも「僕も1年のときは全くダメだった。練習を続ければ、必ずうまくなる」とエールを送る。
8月には全国大会に出場する島仲さん。「もちろん優勝したいし、企業からスカウトされるくらいの技を見せたい」。大会の先を見据える。その決意を大きくうなずきながら聞く上原さん。先輩の背を追って磨いた技が、今は後輩の背中を押している。
(同校機械科・知念仁教諭からメッセージ)
島仲さんへ/裕希は図面を読み解く能力が高く、平面図を立体的に捉えることができる。フライス盤作業に向いている。集中力や粘りもある。全国大会に向けて一緒に作戦を立てて、いい結果を残せるように頑張ろう!
上原さんへ/大侑も図面をきっちり読み取ることができる。寸法の測定も丁寧で正確。今回のコンテストは残念だったが、いろいろ反省点が見つかった。来年は優勝できるよう、一緒に練習を重ねよう。
★難関技能検定に合格した学生や、ものづくりコンテストで入賞した学生を募集します。
タイムス住宅新聞社(電話=098・862・1155)かメール(h.jyuutaku.jht@gmail.com)にご連絡ください。
内容を精査した上、記者が取材に伺います。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1788号・2020年4月10日紙面から掲載