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2021年1月15日更新

九州地方を車で巡る|多くの拠り所がある暮らし[9]

2019年の秋に約1カ月間、日本各地で多拠点生活してみた。その体験などを通して、定住にとらわれずにいくつかの生活の拠点を持つような新しい暮らし方について、連載で紹介する。(文・写真/久高友嗣)

前回の京都(2020年11月20日発行号)から夜行バスで九州地方へと向かった。九州滞在では、多拠点生活者向けの住居サービスを行う「アドレス」(東京都)が提供する家を利用したり、キャンプをしたりして、10日間かけて5県を回った。

福岡県でレンタカーを借りた後、大分県別府市に向かった。元旅館で露天風呂がある家を利用。その家から徒歩5分の距離にあるコワーキングスペースでは、近くの温泉利用のサービス券が付いていて、ぜいたくにも1日で2カ所の温泉につかって日々の疲れを取ることができた。


源泉の湯気が上がる別府エリア(写真奥)。中央に写っている車で九州内を移動した


復興や活性化への思い聞く

その翌日は熊本県宇城(うき)市へ。そこで利用した家は、江戸時代から宿場町として栄えてきた商店街の中にあった。周辺には、2016年の熊本地震で建物が半壊し、取り壊されて更地になっているところもあった。利用した家の家主は、商店街への思い入れのほか、「若い人が来てくれたらと願う。できれば工芸品などのクラフト系で起業してくれるといいな」と、地域活性化への期待を話してくれた。災害や過疎などによる地方の課題に触れる機会となった。
 
車中泊した熊本市の道の駅坂本から球磨川を望む。雄大な自然は圧巻だった。昨年7月の豪雨で壊滅的被害を受け、今では人けがなくなった

宮崎県日南(にちなん)市で利用したアドレスの家は、同社が保有する第1号の物件ということで気になっていた。八百屋をリノベーションした1階のコミュニティースペースにはレコードが置かれ、誰でもふらっと立ち寄って自由に鑑賞できるようにしていた。普段手にする機会がないことから、好奇心でロックから演歌までさまざまなレコードをかけて楽しんだ。
 
宮崎県日南市で利用した家の1階にあるレコードスペース。ここにあるレコードはほとんど寄贈で集まったものとのこと


旅するように点々と

そのほか、寝台列車に泊まれる宿や川沿いのキャンプ場などで1泊した夜も。友人が住んでいる街やアート施設など、気になっていた場所へ立ち寄ることもできた。電車・徒歩移動に比べて、車移動は時間的ロスが少ないため、移動が続く1泊ごとの滞在でも特に苦に感じることはなかった。実際の多拠点生活者の中でも、遠方の目的地に向けて、旅をするように道中の経由地で1泊ずつ移動することもあるようだ。

振り返ると、自分で運転して立ち寄った場所、運転中の景色は記憶に残る。特に印象的だったのがこれまでの滞在に比べて目にする機会が多かった、山や川などの雄大な自然。この時はアドレスの家周辺しか回れなかったが、また訪れる際には自然に触れる場所にも足を運び、ゆっくりしたい。次回は最終地点、長崎市での話をしよう。
 
寝台列車を活用した熊本市内の宿の個室。当時の面影が残り、タイムスリップした感覚を味わえた一晩だった
 久高友嗣/くだか・ともつぐ/キャンプ沖縄事業協同組合発起人代表。アウトドアやレジャーの枠にとらわれないキャンプ空間や用品のコーディネート、遊休地の利活用などを行う。1990年、那覇市生まれ。琉球大学工学部環境建設工学科建築コース都市計画研究室卒業。https://www.campo.ooo/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1828号・2021年1月15日紙面から掲載

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