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2020年11月13日更新

DIY 暮らしにちょうどいいもの|アートと暮らす[2]

[アートと暮らす|文・写真 青木嘉一郎]このコーナーでは、アートショップを営む青木嘉一郎さんに工芸やアートを日常に取り入れる面白さを教えてもらいます。


昔、芝居の大道具を作っていた。重厚感を見せつつも、舞台転換するため、軽く、かつ機能的に製作し、旅公演に行く時はトラックに積みやすく、そしてより薄くし、かさばらないようにしなければならない。
そして今、「暮らしていてほしいもの」がなかなか見つからない。あっても寸法が合わない、重い、値段が高いなど、ちょうどいいものがない。元々何かを作ることが好きだった。それなら自分で好きなように、思う寸法で作った方がいい。うちは2DKのアパート暮らし。DIYする時はこの小さな部屋にどう作るか、どうすれば機能的かを考える。それが楽しいのだ。


自作したウンベラータの鉢カバー 


塗装前。通気口になる穴も大きさや形に変化を付けてリズミカルにした 


心地いい収まりにご満悦

横天井まで届くような大きなウンベラータの木を見つけ、8畳のリビングに置いた。鉢をちょっと大きめなものに取り換えたが、むき出しになると見栄えもあんまりなので、鉢カバーを作ってみた。通気性が良いようにハートや丸や三角の穴を開けた。ふたは半分に切って作り、水をやる時に半分開けられるようにした。スペースに収まってとても気持ちいい。


上ふたの奥半分は釘止めせず、パカっと外れるようになっていて、水やりに重宝

ごみ箱は置く所を決めるのに苦労する。次に作ったのは、ごみ箱の収納箱。上ふたが開く大きさに合わせて箱を作り、その上部には盆を重ねて置けるスペースを作った。箱の上にも、ものが置ける。そしてごみ箱と同じグリーンの色に塗った。思い通りにできたことに、ふむふむと満悦に浸り、見るたびにニヤニヤしている。


ごみ箱の収納箱。「盆の置き場所に困る」という妻の悩みから、上部に収納スペースを設けた。暮らしている人がほしいものをカタチにするのがDIYの醍醐味(だいごみ)


深い緑色は夫婦が好きな色で「青木カラー」と呼んでいる。フランス・モンマルトルの丘の建物に使われている深みのある色がお気に入り

三つ目は部屋のコーナーのスペースが中途半端だったので、空いている空間に棚を作り、中にも上にも置けるようにした。これには色は塗らず、コンパネ(コンクリート型枠用合板)の地の色そのままにした。コーヒーミルはまるで飾りのようで、小さい絵も添え、アートを楽しむ空間になった。
棚だけでなく、照明も一工夫。シンプルなアンティークのシャンデリアを探してダイニングテーブルの上につってみた。その下で、30年間静岡でギャラリーとカフェを営んだ妻が入れるコーヒーは格別だ。至福の時だ。


ごみ箱収納箱の上の棚も自作。マグカップや陶器の皿などを飾る。小物も一緒に飾って遊び心のある雰囲気に


 
あおき・よしいちろう/1947年、川崎市出身。舞台監督として、78年「沖縄歌舞団太陽の燃える島」にも携わる。静岡県で妻・容子と企画ギャラリーを運営し、2016年に移住。北中城村のレストラン沖縄物語内の「アートショップ蓉(よう)」で、作品の展示販売を行う
 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1819号・2020年11月13日紙面から掲載

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