戦後史映す街並みの移ろい[読谷村古堅]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2020年2月7日更新

戦後史映す街並みの移ろい[読谷村古堅]

[歩いて見つけた!地域の住み心地-35-]読谷村南部にある古堅地区は、区画整理された住宅地があるだけでなく、古いコンクリート住宅が残る一画や畑地、外人住宅など歴史の移り変わりを残す街並みが見られる。近年は周辺道路や地域の発展もあって、住まいの需要は拡大しているようだ。

近郊も発展し需要拡大


▲比謝川に下る緑地の後ろに外人住宅、その奥に区画整理された住宅地が広がっているよ。




嘉手納町水釜から古堅の区画整理地辺りを見る。米軍向け賃貸住宅として建てられた「外人住宅」には、嘉手納の人たちも住んでいるのだそう 

戦争で移住繰り返し
読谷村古堅は村の南端にあり、嘉手納町との境には比謝川が流れ、その上に架かる比謝川大橋は赤いアーチが川辺の深い緑に映える。

地域の中を歩くと街の表情がころころと変わる印象を受ける。古堅南小学校の東側は古い小さなコンクリート造りの家々、たまに赤瓦が載った家が残る。渡具知へ向かう途中には広い畑地の中にぽつぽつと近代的な住宅やアパートがあり、比謝川に向かうと幅の広い道路に沿って住宅が整然と並ぶ。さらに川のほうへ足を運ぶと、いわゆる「外人住宅」が数本の袋小路に向かい合って建っている。街の移ろいはまるで戦後の混乱の中、翻弄(ほんろう)されながらも生活を建て直してきた歴史を見ているかのようだ。

古堅出身、戦前から地域の移り変わりを見てきた伊波寛裕さん(92)によると、戦中は北部へ疎開、名護や宜野座、石川の捕虜収容所などへ散り散りになっていた区民が帰村できたのは1947年。「はじめは波平、そして大木に数年間移り住んだ。51年にようやく元の集落の近く、古堅南小学校の東側に住めるようになった」。それでも戦後30年近く、古堅集落は「モーガンマナー住宅地域」と呼ばれる米軍の住宅地で、「かまぼこのかたちをしたコンセット住宅が並んでいた」。今残っている外人住宅は米軍向け賃貸住宅として基地の外に整備されたものだという。

「ここは読谷か」
同米軍住宅地の全面返還が決まったのは77年。区画整理組合の役員も務めていた伊波さんは、「軍用地として使われ、土地の境界が曖昧になっていた。残っていたフクギなどを目印に『自分の土地はここだ』と言うから、区画整理で土地の配当をする時は苦労もあった。けれどみんなが協力的だったおかげで、立派な道も造れて公園もできた」と当時を振り返った。区画整理で80年から90年までに道路や公園、宅地が整備され、住宅が建ち始めたのは平成に入ってから。伊波さんは「古堅は村で初めて区画整理が行われた地域。整備が終わってからは『ここは読谷村か』とよく尋ねられた」と誇らしげにほほ笑んだ。



区画整理地内の中央道路は歩道もゆったりと取られ、街路樹もきれい。一戸建て住宅が主流だが、所々にアパートがある。アパートに書かれた住所は英語表記が多いのも地域性だろう 



古堅南小学校の東側。戦後、北部から戻ってきた古堅の人々が集落に戻ることを望んで元の集落の近くに腰を据えた場所で、今でも古いコンクリート住宅などが残る

 


空きがあれば即決も
区画整理後は周辺道路も整備されて沖縄市へのアクセス性もよくなり、地域内に大型スーパーができた。ここ数年で大湾地域の国道沿線にも商業施設が充実してきたからだろうか、2019年度地価調査で古堅の地価変動率は前年比プラス20.1%と大きく上昇している。

(有)ひまわり住宅読谷支店管理課長の安里裕輔さんは、「昨年は住まいを探しに来る方が多かった気がする」と話す。「地域内は土地も賃貸も物件数が少なく、賃貸に空きがあれば、築十数年でもすぐ決まるし、古堅という立地だけで内覧もせずに決める方もいらっしゃる」

賃貸物件は「ファミリー向け、2~3LDKが主流。国道近くや買い物の利便性が高く、地元出身者も探しに来る。マリンレジャーやホテルなどで働く単身者が探しに来ることもある」。賃貸の相場は「築浅の物件で言うと、1DKが駐車場1台付きで4万円前後、2LDKが5万~6万円、3LDKが7万円くらい。ファミリー向けは駐車場2台が確保されている様子」だという。

地価動向は「10年ほど前は坪当たり20万円前後だったのが、今では30万円前後になっている。地元のつながりが強いこともあってか、地域内に空き地があっても子や孫に譲るということで売りに出ない」のだそう。

現在、同地域の北にある大木地区で区画整理が進行中。地域はこれからも変わっていきそうだ。

学校区
古堅南小学校・古堅中学校

家賃
築浅の物件で、1DK(P1台付き)4万円前後。2LDKが5万~6万円、3LD Kが7万円程度。ファミリー向けは駐車場2台付き

土地の価格
坪当たり30万円前後

バス
国道58号経由で嘉手納・那覇方面からは系統20、28、29、120、228番が運行。沖縄市 方面からは系統62番が運行。村コミュニティバス「鳳バス」がイオンタウンで発着する


読谷村古堅の物件
建築中なのに契約順調!

同地域でひまわり住宅が手掛ける新築アパートは1DKの単身向け。「完成は5月ごろを予定していて、内覧ができない状況にもかかわらず、既に契約済みの部屋が出ている」と安里さん。

インターネット無料、ガス衣類乾燥機付き、バストイレ別。家賃と共益費合わせ、月4万2000円。駐車場1台無料。問い合わせは同社(電話= 098-956-1610)。


編集/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1779号・2020年2月7日紙面から掲載

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好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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