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2016年2月12日更新

専門家が見る沖縄の市場|中古もイイね[15]

業者主導と言われる中古住宅の市場。しかし、住宅のデータベース化、インスペクション(住宅診断)の有無で物件検索できるサイトの登場など、買い手のニーズで”風穴”が開きつつある。顧客目線のサービスを先駆的に展開してきた(株)バイヤーズスタイル(東京都)の高橋正典代表取締役は「沖縄の場合、売り手市場だからこそ、顧客目線のサービスを展開すれば他社と大差が付けられる」と訴える。

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客目線のサービスで差

 
同社が不動産業界から注目を集めているのが、中古住宅の図面類や補修履歴のデータベース化(住宅履歴書)だ。2008年から取り扱う物件全てで実施している。

データベースを通して、建物の”素性”が分かるようにすることで、購入時の安心感や資産価値のアップにつなげるのが狙い。購入後の建物のメンテナンスにも対応する。
 
これら顧客目線のサービスが評価され、2015年、同社は日本の不動産会社では初めて、ビジネス界のアカデミー賞と言われる「スティービー・アジア・パシフィック賞」でブロンズ賞を受賞した。

高橋社長は「沖縄の場合、売り手市場だからこそ、顧客目線のサービスを展開すれば、他社と大きく差が付けられる」と強調する。消費者の要望に沿った不動産会社の意識改革の必要性を訴えた。
 
不動産会社に今後求められるサービスとして挙げているのが、売る時のインスペクションの実施や瑕疵担保責任保険、住宅履歴書。
 
理由は、SUMOなど大手の不動産ポータルサイトで、インスペクションの実施や修繕・点検記録の有無が検索項目に盛り込まれ、今後、消費者からの問い合わせが増えるとの考えからだ。「検索項目に盛り込まれたことで、インスペクションなどが今後一般化すると思われる。沖縄も例外ではない」

 


沖縄特化型既存住宅流通活性化プロジェクト主催の講演会で講演する高橋さん。県内の不動産関係者ら60人以上が参加した
=2015年10月24日、沖縄県宜野湾市


中古はリピート産業

また、中古市場はリピート産業と高橋社長は考える。「中古住宅は築年数がたつにつれ、当然メンテナンスが必要になる。建築・リフォーム会社との連携で、ビジネスチャンスは広がる」。

売り主の強い地元志向や、横のつながりが強い県民性などから、物件情報が公開されにくく、物件の流通量の乏しさも感じている。「県内の宅建業者で運営する物件登録システム・レインズが、きちんと稼働していない実状も背景にあると思う」と指摘した。
 
「沖縄は、きちんとメンテナンスすれば高い耐久性が保てるコンクリート造住宅が多い。市場の伸びしろになるのでは」と話した。




高橋正典さん  (株)バイヤーズスタイル代表取締役

たかはし・まさのり
1970年、東京都中野区生まれ。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、公認不動産コンサルティングマスター。(一社)相続支援士協会理事。
顧客と業者の大きな情報格差、「売りっ放し」「紹介ビジネス」と言われる日本の不動産業界の慣習を変える必要性を指摘。顧客に寄り添うエージェント(代理人)ビジネスにシフトさせるべく、2008年、(株)バイヤーズスタイルを設立した。不動産業界で初めて全ての取り扱い物件に「住宅履歴書」を導入。中古住宅を正しく評価し、流通させるためのフランチャイズ「売却の窓口®」も運営する。
著書は『プロだけが知っている!中古住宅の魅せ方・売り方』(朝日新聞出版)、『マイホームは、中古の戸建てを買いなさい!』(ダイヤモンド社)など多数。

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編 集/我那覇宗貴
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「中古もイイね<15>」第1571号・2016年2月12日紙面から掲載

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