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2015年10月9日更新

持ち家こそ住宅診断を|メンテでお得 すまい長持ち[7]

建物の劣化具合を調べるインスペクション(住宅診断)は、いわば“建物版・人間ドック”。近年は、中古住宅の売買時に行われるようになっている。インスペクション業務を手掛ける建築士の新里尚次郎さん(37)は「築10年程度で1回、診断してもらう方が、建物の寿命を延ばす手だてがしやすくなる」と勧める。

劣化具合を点検 

築10年での実施が理想

インスペクションは建築士が、建物の劣化具合を目視を中心に調べる検査。躯体の耐久性に影響する外壁や屋上に塗装の劣化やひび割れ、開口部の周りにひび割れがないかを調べる。室内は、配管や雨漏りのサインであるクロスのはがれやシミ、湿っぽい所がないかを確認していく(下写真)。

サッシや建具の建てつけもチェックする。​新里さんによると、サッシや躯体のゆがみの有無が分かるという。

「日差しに長くさらされていると、熱でサッシが曲がったり、コンクリートが収縮してひずむことがあります」。建具の立て付けが悪くなる一因には、ちょうつがい以外にも、躯体のひずみが関係していることもあるという。

調査結果は報告書にまとめられ、依頼者に手渡される。新里さんは、屋上や外壁の塗装が寿命を迎える築10年をめどに1度、診断することを勧める。「直すべきところが分かり、寿命を延ばす手だてがしやすくなります」と話す。

 

自分で塗装「あり」

築年数や劣化具合を踏まえ、住み続ける・資産価値を保つための“処方箋”を新里さんに提案してもらった。

築10年以内の住宅ならば、屋上の防水塗装は必須。外壁の塗装はひびなどがなければ、DIYでするのもいい。「時間は掛かりますが、好きな時にできるし、愛着がわきます。安くもできますしね」。

一方、築20年前後なら、劣化がある程度見られるとして、①屋上の防水塗装②開口部の周りのシーリング補修③外壁の補修・塗装の“3点セット”を勧める。

国は、中古住宅の流通を促すため、インスペクションの義務化に向け、法整備を進めている。その点からも、早めに診断をした方が得だといえそうだ。


インスペクションで分かること

外壁や屋上、開口部の周りの塗装劣化、ひびの有無



①コンクリートのひびやはがれ


②塗膜の膨らみがあれば、塗装や躯体が劣化しているサイン


③配管や開口部からの水漏れ
(天井や、壁のクロスなどにシミが出ていれば、水漏れの可能性がある)



サッシや躯体のゆがみ


サッシや建具の立て付けを確認。ドアや枠にこすった跡があれば、ゆがみの可能性がある


●住み続ける・資産価値を保つために…

築10年以内なら
屋上防水約30万円+必要に応じて外壁補修塗装約50万円(業者)or約20万円(DIY)

築20年前後なら
屋上防水約30万円 +シーリング補修約20万円(業者)+外壁補修塗装約50万円(業者)

県内での塗装の寿命は約10年と考えられる点から、「傷みやすい屋上の防水塗装を優先にする方が、費用を抑えてメンテナンスできる」と新里さん。築20年だと劣化も進んでいるため、その分、補修する箇所と費用が増える

 

この人に聞きました​

新里尚次郎(しんざと・しょうじろう)
1977年、浦添市生まれ。アーキテクトラボ.ハローム代表。二級建築士。建物の劣化診断や耐震基準適合証明書の発行、設備の定期調査を行う

 
編 集/我那覇宗貴
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 「メンテでお得 すまい長持ち」<7>」第1553号・2015年10月9日紙面から掲載

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