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2015年11月13日更新

繊維シートで耐久性保つ|メンテでお得 すまい長持ち[8]

築30年以上の鉄筋コンクリート(RC)造住宅は、経年劣化でコンクリートがはがれ落ちて鉄筋が欠け、耐久性が著しく低下している場合がある。その補修法として㈱クラッシードイツキ(宜野湾市)が施工しているのが、特殊な繊維シートを張り、欠けた鉄筋の強度を補う工法。上原直樹代表取締役は「建物の耐久性が保てる」と話す。

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フィブラシート工法欠けた鉄筋の強度補う


同社で施工している工法の名前は「フィブラシート工法」。引っ張る力に対する強さが鉄筋の7倍もあるナイロン系繊維「アラミド繊維」を使用。補修した躯体の表面に張ることで、本来の強度に戻す工法だ。スラブ(天井や床になる部分)や柱=右写真、軒や庇、窓などの開口部周りに施工できる。

作業は、劣化したコンクリートを取り除いた後、鉄筋の表面に防錆材を塗り、無収縮モルタルで埋めた後、緑の接着樹脂でアラミド繊維のシートを張っていく=左写真①~③。


スラブ補修の流れ

①スラブの劣化したコンクリートを取り除く(クラッシードイツキ提供)


②鉄筋に防錆材を塗ってから、無収縮モルタルで埋める


③アラミド繊維シートを張り付け、緑色の接着樹脂を施し固める。屋上の防水塗装とセットで施工する方が効果的だ



そもそもRC造の躯体は、引っ張る力に強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートの組み合わせで躯体の強度を保っている。上原代表は「繊維シートが、欠けた鉄筋の強度を補う。鉄筋とコンクリートの強度を一緒に補修できるのは、現在のところフィブラシート工法だけ」と説明する。

2006年に同社で導入して以来、100戸の住宅に施工。依頼で多いのが、築30年以上たつRC造住宅のスラブだ。築50年近い“外人住宅”や、塩分の除去が不十分な海砂が骨材に使われていた1975年前後の住宅も多いという。
工法の効果を高めるのに必要なこととして、「スラブの屋外側は防水塗装が欠かせない。シート工法とのセットがお勧め」と上原代表は強調する。



柱の補修例

劣化がひどい場合は、コンクリートを取り除かずに液体樹脂でコンクリートの隙間を埋めてからシートを巻きつけることもある


改修前  補修跡があるものの、側面にはひび割れが


改修後  表面を左官と塗装でキレイに仕上げた




25坪で200万円前後

施工費の目安は、建坪25坪の平屋のスラブを補修する場合で200万円前後(足場や材料費、人件費など含む)。防水塗装(約100万円)を含むと、300万円前後になる。工期は、両方の作業で1カ月半程度。

那覇市の長堂さん(76)は3年前、築36年になる自宅の2階スラブと庇を補修してもらった。「雨漏りがピタッと止まったし、もちろん今も起きていない。おかげで安心して住める」と語った。

最近は、中古住宅の購入希望者からの問い合わせも増えてきているという。上原代表は「建物の劣化具合にもよるが、シート工法で補修することで耐久性を保てる。当社でも施工の10年保証をしている」と話した。



この人に聞きました
うえはら なおき
1968年、那覇市生まれ。リフォーム専門会社㈲クラッシード・イツキ代表取締役。二級建築士、連続繊維補強施工監理士、増改築相談員などの資格を持つ

 

編 集/我那覇宗貴
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 「メンテでお得 すまい長持ち」<8>」第1562号・2015年11月13日紙面から掲載

 

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