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2016年12月30日更新

賃貸リノベで夢実現|やっぱり家が欲しい!②

理想の住まいを取得する手段として、沖縄市に住む本村さん(45)が選んだのは、築40年余の賃貸物件のリノベーションだ。「反対もされたが、自分好みの空間で家族と楽しく過ごすために、生きたお金の使い方ができた」。建築士と作り上げたこだわりの空間から、コストを抑えつつ好みの空間を作るヒントを探る。

①曲線と照明で「見せ場」演出​ 

柔らかさ・広がりも

本村邸のグレードを上げている工夫の一つが曲線使い。リビング東側角の壁面は丸みを付けたことで行き止まり感がなくなるだけでなく、植栽と相まって空間の「見せ場」に。曲線状に並べたダウンライトとの相乗効果で、リビング全体に柔らかさと広がりをもたらす。遊び心ある照明使いもポイント。


トイレは天井に丸く穴を空け、一部を切り取って裏に直管球を隠しただけだが、間接照明の効果で、実際以上に天井が高く感じられる。


円柱状のアクリルをはめ込んだ個室の扉は、照明をつけると光が放射状にこぼれ、人の気配を感じる仕掛けとなっている。
 

②手作りで満足度高めコスト減

広々カウンター&手元隠すカラフルシンク

「オープンにしたいけど洗い場は見せたくない」との要望から、シンク前に目隠し壁を造作した。その中に水道の配管を通し、シンクに向けて水洗金具が取り付けられている。手元を隠してくれるだけでなくビタミンカラーで気持ちも明るく、来客との会話のきっかけにも! カウンターは本村さんが「どうしても使いたかった」というモザイクタイルをアクセントに。作業スペースを広く取れるようシンクをコンパクトにしただけでなくコンロも取り払った。「調理には手持ちの卓上クッキングヒーターを使用。好きな場所で使えるし、動かせるので掃除もラク」と本村さん。こだわる・省くを徹底したキッチンは総額30万円余。収納はモデルチェンジによる廃棄処分品などを活用し20万円余で造作した。


③Uターンもスムーズ

「色使い」「ガラスブロック」「横じまの曲面壁」
「変形した上がりかまち」「不規則に敷き詰めたタイル」


玄関からリビングへの動線をスムーズにしているのが、さまざまな仕掛けだ。玄関に入った瞬間から体や意識が右手のリビング側へ向くよう、上がりかまちは右に傾けた台形状にし、たたきに敷き詰めたタイルもあえてランダムに配置。右手の間仕切り壁にはリビングの気配を感じさせるガラスブロックがはめ込まれている。極め付けは床の色使い。玄関からリビングへ、落ち着いた色から明るく目立つ色へと変化。正面の横じまの曲面壁の効果も加わって、自然な誘導が可能になった。


④色で明るさ調整

床の色変え印象近づける

南北に住宅が近接する本村邸は、個室によって明るさが違う。光が入りにくい個室は床色を明るくし、明るい個室は床色を抑え目にすることで、部屋ごとの印象に差が出ないよう工夫した。


家族だんらんに憧れ
ホテルを営む両親は忙しく、「子どものころから家族だんらんに憧れていた」と本村さん。家が欲しいと土地を探し、マンションや建て売りも検討する中、心引かれたのが実家近くの賃貸物件だった。
借りたのは補強コンクリートブロック造2階建ての2階フロア。「築40年で賃料が安かったことに加え、費用負担を条件に改修許可をもらえたこと、将来的に1棟借りられれば事業がしやすくなるのも魅力的だった」と話す。改修を手掛けた建築士の岡本哲也さんいわく、「天井スラブは一部脱落していたが雨漏りもなく、柱や梁に問題は見当たらなかった」ため、リノベに踏み切った。
プランで岡本さんが心掛けたのは、「本村さんの似顔絵のような」住まい。「料理好き、世話好きで、家族思い。ココナッツマイスターの資格を持ち、講座も開きたいとの本村さんの思いを最も詰め込んだ」のが、リビング・キッチンだ=①。照明と曲線使いで柔らかく広がりある空間へとグレードアップさせた。特にこだわったのはキッチンカウンター=②。お気に入りのモザイクタイルを敷き、水洗一体型のユニークな目隠し壁を提案。手作りで満足度を高めつつ、コストは抑えた。

縛られず身軽に
もう一つ目を引くのが色使いだ。
新築と違い、既存の躯体の枠内で間取りを考えなければならないリノベーション。本村さんが希望する親子の寝室とサロンを含めた四つの個室を設けると、玄関からリビング・キッチンへ向かうにはUターンせざるを得ない。そのスムーズな誘導に威力を発揮しているのが色使いだ=③。ほかにも、光の入り具合に差がある個室は、床色を工夫することで部屋ごとの印象に差が出ないよう調整したり=④、個室への廊下にはラインを引いて心理的境界線を設けたり。さまざまな効果をもたらしている。
リノベーションにかけた費用は1千万円余。本村さんは「資産として残せないと家族や知人には反対されたけど、親子で好みも違うし、賃貸なら固定資産税もかからず土地に縛られることもない」ときっぱり。「家づくりは人生そのもの」。大切にしたいことや得手、不得手など、自分のことも見えてきた。
母親も「今では友人に自慢するほど」のお気に入り。両親や兄弟を招いて念願のホームパーティーをする機会も増えた。「キッチンで、みんながおいしそうに食事する姿を見るのが幸せ」と本村さん。岡本さんは、「予算をかけずとも知恵を絞れば空間は良くなる。手間をかけた分だけ愛着も湧く」と話した。


建物外観。本村さんが賃借しリノベーションした住まいは2階部分


リノベーション前の2階フロアは3LDK。天井スラブは一部はがれ落ち、廃墟同然だった(建築士提供)。

[DATA]
家族構成:親子3人
施工面積:1階 103㎡(約31坪)
躯体構造:補強コンクリートブロック造
築年数:40年余
工 期:約2カ月
設 計:S.EEE.D 岡本哲也
施 工:光設備
[設計・問い合わせ先]
S.EEE.D(シード)
090-4220-3365
seeed.ti-da.net


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 年末年始特別号 第一集 第1617号・2016年12月30日紙面から掲載
 

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徳正美

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