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2017年5月5日更新

今日から始める相続計画「不動産の価値 徹底分析!」

Vol.02
前回、相続でもめないために、大切なのは「分け方」だと説明しました。では、どう分ければいいのでしょう?
亀島さんは「財産の価値を分析・分類することから始めましょう」とアドバイスします。相続税評価額だけで分けると不公平感が出て、もめる恐れがあると言います。

相続税評価額だけで判断しない


価値は面積のみにあらず

アパート建築や生命保険、生前贈与など、いわゆる「相続対策」と言われる方法はたくさんあります。ですが、やみくもに実行しても、かえってマイナスになることも少なくありません。家族にとって何が適しているのか、正しく分析することが大事です。
そこで、相続でもめないための第一歩として、持っている財産の価値を分析、分類しましょう。
不動産の評価には「税法上の評価(相続税評価額)」「市場価値」「収益(潜在)価値」の3つの側面があります。  例えば、ある道路に向かい合ってAとBの土地があったとします=図①参考。



面積が同じなので、相続税評価額は同じ。では、市場価値と収益価値はどうでしょう?
Aは南側が道に面しており、周りの建物はほとんどが1階建てです。一方、Bは接道が北側で周りには3階建てや雑木林があります。Aの方が日当たりや見晴らしが良いため、市場価値と収益価値はBよりも高くなります。
相続の際、相続税評価額だけで分け方を決めると不公平感が出て、もめる原因になることがあります。


カギは収益性と流動性

では、自分が持っている不動産の価値を分析してみましょう。左上の「図②相続計画の流れ―財産分析」を参考にしてください。
収益価値は、利益を上げやすい不動産かどうかを表します。
その収益性と、売却にかかる時間を示す「流動性」(低いほど売却に時間がかかる不動産ということ)を基に、それぞれの不動産を「備える財産」「守る(引き継ぐ)財産」「整理する財産」「運用する財産」に分類します。
図③のようにそれぞれの不動産ごとに収益性を分析し、図④のポジショニング表に落とし込んでいきます。
分類すると、先祖代々守ってきた財産の中にも、いろいろな価値があることに気付くと思います。
ここで注意すべきは流動性も収益性も低い「整理する財産」です。
相続が起き、相続税を納めるために財産の売却の必要があったとします。しかし流動性の低い財産はすぐに売却しすることができません。
相続が発生した後に納税資金を作ろうとすると、相続税納税期限の10カ月以内に納税資金を作るために、売りやすい「守る(引き継ぐ)財産」や「運用する財産」から手放すことになってしまいます。
財産の分析や相続への備えを怠ることで、守りたかった・手放したくなかった財産から手放さざるを得なくなってしまうことが、「相続が3代続くと財産が無くなる」と言われる理由なのです。




文・亀島淳一
(株)シナジープラス代表
幸せ相続計画推進協会代表理事

かめしま・じゅんいち/身内の相続トラブルを機に相続を学ぶ。相続の幅広い専門知識と豊富な実務経験をもとに、行政やメディアなどの依頼による講演も行っている。上級相続アドバイザー、全米不動産経営管理士(CPM)、全米不動産投資顧問(CCIM)などの資格も持つ。
電話/098-963-9266
http://www.synergy-plus.co.jp/



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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1635号・2017年5月5日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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