今日から始める相続計画「負の相続回避 カギは「整理」」|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

マネープラン

相続

2017年6月2日更新

今日から始める相続計画「負の相続回避 カギは「整理」」

Vol.03
前回は、相続財産を「備える財産」「守る(引き継ぐ)財産」「整理する財産」「運用する財産」の四つに分類して分けることが大切だと説明しました。今回は、中でも注意が必要な「整理する財産」を取り上げます。旧借地法で貸している土地や空き室の多い築古アパートなど、どう整理していくべきかをアドバイスします。

旧借地や築古アパート 売却や遺留分対策に


整理する財産とは

四つの分類の中で、最も注意が必要なのは「整理する財産」です。
なぜ、整理する財産が注意すべきかというと、収益性や流動性は低いけれど相続税評価は意外と高いという特徴があるからです。
つまり、利益を上げにくく、売却もしにくいけれど、税金は高いということです。
整理する財産にあたるのは、旧借地法で貸している土地(以下、旧借地)や、築古で空室の多いアパートなどです。特に旧借地は、借り主の権利が強過ぎるために第三者への売却が難しく、とりわけ扱いが難しいです。
そのまま相続すると、財産をもらう子どもたちにとって、大きな負担になってしまいます。
整理する財産を相続するために、収益性や流動性の高い大事な財産を手放すということも起こりかねません。
この旧借地についていくつかの整理パターンをご紹介しますので、参考にしていただければと思います。


備える・運用する財産に

相続税評価額2000万円、年間純収益15万円の旧借地を例にします。
一番手っ取り早いのは、借地権者に買い取ってもらうことです。借地権者とうまく話ができて1000万円で買い取ってもらえれば、土地が現金に変わります。
その現金を相続税の納税資金に充てたり、別に築古アパートも所有している場合はリフォーム費用に充てたりすれば、整理する財産が「備える財産」や「運用する財産」に変わります=図①。



現金を子や孫に生前贈与して、相続財産の圧縮を図ることもできるでしょう。
あえて旧借地をそのままにし、財産を渡したくない相続人(子ども)が財産をもらう権利「遺留分」を主張した場合には、この整理する財産を渡すという手もあります。
詳しくは上図のパターン①~④を参考にしてください。
節税対策でアパートを計画している方も、整理する財産を見つけだして現金を作り、借入額を最適化する為の自己資金へと組み替えることも有効です。



「整理する財産」を「備える財産」や「運用する財産」に変える方法を紹介します。ここでは相続税評価額2000万円、年間純収益15万円の旧借地を例に挙げます。



第三者への売却は難しいので、借地権者(建物所有者)に買い取ってもらえるように交渉します。
借地権者と上手く話ができて1000万円で買い取ってもらうと、相続税評価額2,000万円の土地が1000万円の現金に変わり、その段階でも相続税の節税になっています。入ってきた現金は備える財産として相続税の納税資金に充てましょう。そのまま預金するか、生命保険に加入する事ができる場合には相続税をさらに節税するために生命保険の非課税枠を上手く使うことも考られます。
現金を生命保険に変えるだけで、法定相続人×500万円の非課税枠をいかした相続税の節税をしながら、相続税の納税資金として準備しておくことができます。



パターン①と同じく売却に成功し、1000万円の現金が手に入ったとします。
そのお金を、別で所有している築古で空室の多いアパートのリフォーム費用に充てることで、空室改善と資本改善(建物価値の改善)を行います。相続税評価額3000万円、現状空室率50%のアパートがあり、年間純収益が216万円だったとします。1000万円かけてリフォームをして満室になったらどうでしょう。
ここでポイントとなるのが、築古アパートにリフォーム費用として1000万円を投入していますが、相続税を計算する際にはアパート自体の評価はリフォームする前と変わらないという点です。
新たに投入した1000万円分の評価がアパートに上乗せされることはないので、現金をそのまま残しておく場合に比べ、相続財産の圧縮=節税にもなります。
また、満室になったことで年間純収益が432万円に上がりました。収益性が高まったアパートは相続人にとっても価値のある財産になります。



売却して入ってきた現金を子どもや孫へ贈与することも一つの方法です。生前贈与は、先に財産を分けていくことで相続時には財産が少なくなっていますので、相続財産の圧縮になる一方で、平等に贈与をしないともめる事も多いので注意が必要です。



相続人(子ども)の中に、財産を渡したくない相手がいる場合のことを考えてみます。例えば浪費癖があって大切な財産を引き継がせるのには不適格な子どもがいる場合などです。

相続においては、財産を渡したくない相手でも法律上相続人(子ども)である限りは、最低限財産をもらう絶対的な権利をもっています。その権利を遺留分といい、この遺留分の対策をしておかないと、本来渡したい子どもへ渡したい財産を渡すことが困難になる事もあります。
そこで、遺言書に「浪費家の息子が遺留分を主張した場合にこの財産(整理する財産)を渡す」と明記しておけば、それ以外の大事な財産を持っていかれる心配がなくなります。遺留分の権利が主張されなければ、整理する財産を引き継いだ子どもたちで、パターン①~③のように整理することでプラスの財産に変える事ができます。




文・亀島淳一
(株)シナジープラス代表
幸せ相続計画推進協会代表理事

かめしま・じゅんいち/身内の相続トラブルを機に相続を学ぶ。相続の幅広い専門知識と豊富な実務経験をもとに、行政やメディアなどの依頼による講演も行っている。上級相続アドバイザー、全米不動産経営管理士(CPM)、全米不動産投資顧問(CCIM)などの資格も持つ。
電話/098-963-9266
http://www.synergy-plus.co.jp/



今日から始める相続計画|記事一覧
<過去記事一覧>

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1639号・2017年6月2日紙面から掲載

相続

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

これまでに書いた記事:171

編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

TOPへ戻る