相続
2017年9月1日更新
今日から始める相続計画「旧盆こそチャンス 話そう歴史と未来」
Vol.06
2017年9月3日(日)から旧盆が始まる。5日(火)のウークイまで、親戚が集まって先祖をもてなし、ごちそうをいただく。亀島さんは「皆が集まるときこそ相続の話をしてみましょう」と話す。小難しい話ではなく、先祖がどんな思いで財産を守ってきたか、それをどうしてほしいのかなど。「皆が幸せになれる相続計画は、財産を渡すご両親が元気なうちしかできない」と力を込める。
「元気だから」でなく「元気なうちに」
家族が集まるときに
いよいよ日曜日には旧盆に入りますね! 小さいころ、仲の良いいとこたちとご先祖様に手を合わせ、いただいたごちそうのこと、ウークイにご先祖様を見送った後にする花火が楽しかったことを私もよく覚えています。
そんな旧盆ですが、相続でもめてしまってご先祖様に手を合わせることすら出来なくなってしまう、そんなご家族が増えてきています。家族がもめてしまっては、ご先祖様も浮かばれないことでしょう。
ぜひ、この旧盆で皆が集まるときに、ご先祖様の歴史と未来への幸せ相続計画を話し合い、これから先も皆が笑顔で集まれる環境作りをしてはいかがでしょうか。
先祖と自分の思い語る
話し合い、と言っても重苦しいことを議論するわけではありません。
財産を渡すお父さんやお母さんの立場からは、先祖がどのような思いで大事な財産を守りつないで来たのか? それをこの先、子どもたちにどうしていってほしいのか、その思いを語ってください。
財産をもらう子どもたちは、その思いをどう引き継いでいけるか? 引き継ぐためにはどのような役割を決めればよいのか? 相続税やその他の費用がどれくらいかかるかなど、具体的な話し合いも出来ればと思います。
「もめさせない」ようにすることができるのは財産を渡すお父さん、お母さんです。どう分けるのか? なぜそう分けるのか? といった思いは、一人一人個別に話すのではなくて皆に同時に話すことも、もめ事を少なくすることにつながります。
また、語ったことや財産の分配は紙で残すことが重要です。紙で残す際はできるだけ確実性の高い公正証書遺言が良いでしょう。
そしてもう一つ重要なこと。歴史を伝えることや公正証書遺言に残すことは、お父さん、お母さんが元気な時にしかできません。「自分はまだ元気だから関係ない」という考え方は大間違いです。幸せ相続計画に早過ぎることなんてありません。
例えばこんなことを話し合おう
★財産を渡す両親が伝えること
- 先祖がどんな思いで財産を守りつないできたか
- その財産をどうしてほしいのか
★財産をもらう子どもが話し合うこと
- 思いをどう引き継げるか
- 引き継ぐために、誰がどんな役割をするか
- 相続税などが、いくらくらいかかるか
意思を明確に伝える
昔は家督相続制度によって長男がすべての財産を引き継ぐ相続でした。ですが、1947年に相続人が平等に財産を分ける均分相続制度に移行してからは、相続でもめるご家族が年々増えてきています。実際に、49年ごろの遺産分割調停件数が853件であったのに対して、直近の調停件数は1万3千件を超えています=資料1参考。
均等分割で平等となったことが悪いわけではなく、相続が起きた後に財産の分け方を決めようとして、兄弟だけで話し合いをするからもめるのです。それを防ぐためには誰にどの財産を引き継がせたいか、ご両親が元気なうちにあらかじめ決めておくことが大事です。
元気な時とは、心身共に充実していて自分の意思で思いを明確に伝えられる時です。病気や認知症などで自分の意思で伝えることができない状態になってしまってからでは遅いのです。
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になる可能性があります=資料2。
ご家族が集まる旧盆に少しでもご先祖様の歴史と未来への幸せ相続計画の話をしてみてはいかがでしょう。ご先祖様も喜ぶことと思います。
文・亀島淳一
(株)シナジープラス代表
幸せ相続計画推進協会代表理事
かめしま・じゅんいち/身内の相続トラブルを機に相続を学ぶ。相続の幅広い専門知識と豊富な実務経験をもとに、行政やメディアなどの依頼による講演も行っている。上級相続アドバイザー、全米不動産経営管理士(CPM)、全米不動産投資顧問(CCIM)などの資格も持つ。
電話/098-963-9266
http://www.synergy-plus.co.jp/
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1652号・2017年9月1日紙面から掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。