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2019年5月31日更新

中2階生かし開放的|間+impression

[お住まい拝見|台形地にスキップフロアの平屋]豊見城市の住宅街にあるUさん(34)宅は、台形地に建つスキップフロアの平家。「家族の時間を大切にしたい」と、LDKを中心に居室も庭も開放的につながる。


家の中心であるLDKは天井が高く、背後にある和室、子ども室とつながるオープンな空間。子ども室(写真右奥)をスキップフロアで設けることで、メリハリのある空間に
 

集いを大切に

Uさん宅
RC造/自由設計/家族5人

「実家は子ども部屋が2階で、私は部屋にこもりがちでした。学生時代はそれで楽しかったけど、親として家造りを考えたとき、家族で過ごす時間を大切にしたくて、平屋にこだわりました」とUさん。

約25畳のLDK北側に、子ども室と和室、トイレ、ウオークインクロゼット、寝室が並び、「LDKにいると、家族の気配が感じられる」。


庭に面したLDKの大開口は約4m。両サイドをはめ込み窓にし、中央だけ開閉するようにしたのは、掃除のしやすさを考えたUさんのアイディア。高い外壁が視線を遮ってくれるから、「開け放っても気にならない」と夫人

子ども室だけはフロアの高さを変え、中2階に設けた。「オープンになっていても空間が緩やかに分かれ、子どもが巣立った後も活用しやすい」

子ども室の下部は倉になっていて、大容量の収納庫としてだけでなく、5歳、4歳、1歳の子どもたちの遊び場に。「デッキも庭もあるから、遊びの幅も行動範囲も広がりました」と夫人(34)。

プライバシーを考え、庭の周囲は高い白壁で囲んだ。「LDKの窓を開け放っても、視線が気にならない。庭ではバーベキューを楽しんでいます」

夫婦でキッチンに立つことも増え、「広いので手の込んだ料理も作りやすくなった。友だちの呼びがいがあります」。キッチン背後にある室内物干し場には、折りたためる作業台を造り付けた。「洗濯物の片付けが楽」と喜ぶ。

祖父の思いを反映
夫婦の実家の中間地点である豊見城市豊崎に家を建てたいと、土地公募に申し込み当選。理想の家造りを手掛けている建築士を新聞記事で知り、設計を依頼した。「普段は夫婦で好みが合わないけど、家に関しては一致していました」と笑う。

床の間やテレビボードには夫人の祖父が「子、孫が家を造るときのために」と、集めていた貴重な木材(黒檀)を加工して活用した。「天国のおじいちゃんも喜んでいるはず」と思いを馳せた。
 


壁付けテレビボードは、収納部分上部に、夫人の祖父が収集していた黒檀を加工したカウンターをのせてしつらえた


東側の外観。シンプルでスッキリしたフォルムが印象的。小窓があるあたりに、中2階の子ども室がある


ここがポイント
階高変え収納と空間分け
一つのフロアに床の高さを変えた空間を設けるスキップフロアに憧れ、「平屋で、収納を多くしたい」という夫妻の要望から、建築士の儀間徹さんは、天井高1.4メートルメー筒以下で固定資産税の対象床面積に含まれない「倉」のある家を提案した。

まず室内は、玄関から建物中央へ向かう軸線の左右に居室を配置。スペースを無駄なく効率的に活用しながら、簡潔な動線を作り出した。

和室と隣り合う子ども室は、LDKのフロアより半階分上げたスキップフロアに。その下部を利用して大容量の収納空間「倉」を設けた=下写真参照。全体の構造は鉄筋コンクリート造壁式だが、子ども室と和室部分を柱と梁で支えるラーメン構造にすることで、自由度の高い空間設計を実現した。

「1階の床下空間を高くし、倉部分の床は掘り込んで設けることで、蔵の天井高を確保しました」と儀間さん。倉へは、和室と玄関側の2面から出入りできるようになっている。

敷地は南と東を道路に接する角地で、周囲に戸建てや集合住宅も隣接する。プライバシーに配慮し、窓の形状を工夫、LDKが面する南側の庭の周りは、高さ約2メートルの壁で囲んだ。「外壁は、周囲から建物内が見えづらい上、室内から外を見ても圧迫感がなく、様子もうかがえる高さに。角ごとにスリットを入れて、ヒビ割れを予防する工夫をしています」


3畳の和室脇に設けた階段を上った中2階に、4.5畳と5畳の子ども室がある。子ども室の下部には倉があり=下写真、アウトドア用品の収納にも重宝




バスコートがすがすがしい浴室は夫妻ともにお気に入り。奥に行くほど横幅が広がる台形状なので、より開放感が高まる


採光抜群の室内物干し場。壁付けの作業台は、使わないときは折りたたんでスッキリ


ラベンダー色のアクセントウォールが目をひく寝室



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:305平方メートル(92坪)
1階床面積:109平方メートル(33坪)
建ぺい率:42%(許容70%)
容積率:35%(許容200%)
用途地域:第一種住居地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造(一部ラーメン構造)
設  計:間+impression 儀間徹
構  造:建築設計庵 長間大輔
施  工:(株)南山開発
電  気:大清電気
水  道:大皓設備
キッチン:(有)MOV照屋涼子



[問い合わせ先]
間+impression
098-892-3635
http://ma-impression.com/


撮影/比嘉秀明  取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1743号・2019年5月31日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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