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2019年3月29日更新

集いへ誘う路地空間|(有)真玉橋設計事務所

[お住まい拝見|入り口・シーン切り替えもてなす]「たくさんの人を招き、集う場に」と希望したHさん(45)のもてなしは、門扉を開けた瞬間からスタート。粋な路地空間は玄関、和室へも直接誘い、シーンに合わせ客人を歓待する。

路地は客人をもてなす粋な空間。琉球石灰岩風に仕上げたアプローチ脇の玄関=手前右手=から客人を迎え入れるだけでなく、先に続く玉砂利の路地からは直接和室=奥右手=へも


「家でも居酒屋」気分

Hさん宅
RC造/自由設計/家族5人
琉球石灰岩風に仕上げた大壁が目を引く外観。門扉を開けると、足元で光と影がしま模様を描くアプローチと、その先には玉砂利が敷き詰められた路地が、訪れる人を室内へ誘う。「たくさんの人を招きたい」という、Hさん夫婦のもてなしの心が現れた粋な空間だ。

Hさん宅がある中城村は「人が集まる地域性がある」という。親戚も多く、ゆくゆくは仏壇を継ぐため「和室は絶対に必要」。また、Hさんが経営する会社の従業員を招き、「お酒を楽しみたい」との要望もあり、パブリックスペースは大きく設けた。

デッキテラス側からリビングとキッチンをみる。ダークブラウンと白で統一し、モダンな演出に
 

玉砂利の路地は、たくさんの人を招き入れるアマハジのような空間。Hさんの希望で「地域の人も訪ねてきやすいように」とあえて塀は設けていない


「『ビール6缶パック持参で』と伝えて従業員を招き、バーベキューを楽しんでいる」と、うれしそうなHさん。リビング、デッキテラス、大きな庭を一体に使ってもてなす。

Hさんの希望だった掘りごたつのダイニングでは、「家でも居酒屋にいる気分。外で飲むことが減った」と笑う。少人数で会話がはずむ。横並びにキッチンがあり、「キッチンカウンターで話し込むこともしばしば。気分を変えられていい」と夫人(45)も満足そう。人数が増えれば、12畳の和室も使い、玉砂利の路地から客人を招き入れる。
 

ダイニングは高窓で採光し、足元の窓からはライトコートの植栽がのぞく。「冷蔵庫がすぐ隣で、飲み物がサッと取り出せる」とHさんは笑う


大座敷の和室では「従業員が雑魚寝することもある」とHさん。色は淡い緑と明るい茶色でコーディネートされ、和モダンな雰囲気に。廊下との仕切り戸を閉めれば、独立した空間に

キッチンから真っすぐ洗面室へ。「サッと動ける家事動線」と夫人は満足そう


公私はきっちり区分
「この土地だから家づくりを進められた」と夫人。お互いの実家のちょうど中間で見つけた土地は農地。宅地に転用するまで時間を要したという。長年団地住まいで、子どもたちの個室はなかった。「2階に個室があると、将来、娘たちが嫁いだら使わなくなる」と考え、平屋の家を建てた。
 
子ども室や夫婦の寝室は最小限の広さにして、自然とリビングに集まるようにした。「以前と比べて、子どもたちも伸び伸びと過ごしているようで安心」と夫人はほほ笑む。駐車場から出入りできるサービスコートは、プライベート空間への勝手口にもなり、来客時でも家族が気兼ねなく過ごせる。念願の家に「すべて満足」とHさん夫婦は笑った。

 

ここがポイント
陰影・素材使いで演出
夫妻の要望は「たくさんの人を招き、皆で集まれる場所にしたい」と明確。そこで個室や水回りといったプライベート空間は最小限にとどめ、広々としたLDKを軸に、二間続きの和室やデッキ、庭までが一体的につながる「集いの空間づくり」を重視した。人数やシーンに応じてさまざまに使い分けられるよう工夫。水場のあるサービスコートは、行事の際は第2のキッチンに。東西で公私を分け、来客時も気兼ねなく過ごせる。

目を引くのが「もてなし」の演出だ。建築士の野里雅樹さんが心掛けたのは、「施主の持つイメージが、よりグレードアップする提案」。その一つが、門扉から和室へと誘う路地空間だ。玄関から和室へ直接行き来できる便利さに加え、「柱を連ね、その奥には玉砂利を敷き詰めることで、視覚的には陰影が楽しめるだけでなく、砂利を踏みしめる音も心地いい上品な和のたたずまいに。Hさんの要望で玉砂利は光沢感のある大ぶりな物を選んだことで、より高級感が増しました」。

圧迫感が出がちな北側駐車場の大壁は、「スタンプコンクリートで琉球石灰岩風の風合いを出し、柔らかな雰囲気に」。さらに装飾壁や前述の路地空間の列柱は「Hさんたっての希望でライティング。夜は温かな光がこぼれ、道行く人々の目も楽しませてくれます」。

そのほかシャープなデザインやモダンなカラーコーディネートで、路地や大座敷など、和の要素を取り入れつつも全体的にスタイリッシュな雰囲気にまとめた。


夜の外観。門扉までの階段だけでなく、駐車場の大壁までスタンプコンクリートで琉球石灰岩風に。淡いベージュの光が反射して道行く人の足元を照らす。スリット状のライティングはHさんのこだわり。大壁と玄関の目隠し壁兼アプローチの庇(ひさし)は、どちらも周囲の視線を遮る現代版ヒンプンだ。上空でクロスさせることで印象的な外観デザインに(真玉橋設計事務所提供)


[DATA]
家 族 構 成:夫婦、子ども3人
敷 地 面 積:500平方メートル(151坪)
1階床面積:217.85平方メートル(65.9坪)
建 ぺ い 率:46.14%(許容60%)
容 積 率:37.17%(許容200%)
用 途 地 域:未指定
躯 体 構 造:壁式鉄筋コンクリート造
設         計:(有)真玉橋設計事務所 野里雅樹、大城達人(CM担当)

構   造:与儀建築工房
施   工:(株)沖秀建設 その他10社により分離発注
電   気:(株)中原電設
水   道:(株)石原設備




[問い合わせ先]
(有)真玉橋設計事務所
098‐937‐2777
http://www.madanbashi.com


撮影/比嘉秀明 取材/川本莉菜子・徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1734号・2019年3月29日紙面から掲載

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好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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