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2018年3月2日更新

動線上に仏壇配置|(株)青空設計

[お住まい拝見 先祖・親戚・友人集う広々空間]鉄筋コンクリート造2階建てのOさん宅は、動線上にある仏壇が身近な存在となっている。仏壇のある和室とLDKが一体化する広い空間で、先祖も含めた親戚や友人が集う。

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大人数の配膳も楽に

Oさん宅
RC造/自由設計/家族3人

初春の心地よい風が吹き抜ける西原町の高台。Oさん宅では、外から帰ってきた長男(15)や長女(8)が、玄関を開けながら仏壇に向かって「ただいま!」と元気な声で帰宅を知らせる。仏壇のある和室が、玄関と隣接しているためにできる行為だ。もちろん、外出するときにも「いってきます」の声が響く。

Oさんは「前の家では仏壇のある和室が奥まった場所にあり、花が枯れても誰も気付かないことが多かった。それが今では子どもたちが靴を脱いだその足で、賞状をもらったことを仏壇に報告に行くなど、とても身近に感じる」とうれしそう。

和室の引き戸を全開にすれば、リビングやキッチンと一体化。旧盆や正月に親戚が来たり、友人を招いて楽しく語り合うなど、「多くの人が集まってもゆったり過ごせる」。

大人数の配膳の準備をする際には、キッチンカウンターや腰高の食器棚の天板、ダイニングテーブルなどがワークスペースとして役立つ。近くに住む母(67)も「キッチンが広くて使い勝手がいい。4人ぐらいで作業しても余裕」と満足げだ。


仏壇のある和室が隣接する玄関。広い玄関は人が集まったときでも混雑しないだけでなく、自転車競技に励む長男の作業スペースにもなっている

 

黒白赤でリゾート風

以前は宜野湾市で暮らしていたOさん。「自分が生まれ育った西原町で子育てしたい」と、長女の小学校入学を前に家づくりをスタートした。

「イメージはバリ島のリゾート」という内装は、黒・白・赤が基調。
和室とリビングの間には、花や植物が彫られた木製レリーフを設置したほか、テラスにはストーンランプも置き、雰囲気を一層高めている。「夜、リビングから眺めるランプの光が、日々の癒やしになっている」。

LDKと和室、同居予定の母の居室がある1階は床全体が平らで、ロボット掃除機が活躍。2階には、Oさんと子どもたちの個室、洗面・浴室、ベランダもあり、「洗濯物を持って階段を上り下りしなくて済む。この家に住み始めて家事が楽になった」とOさんは笑顔を見せた。


天井の高さほどもある大きな窓で開放的な1階リビング。壁に貼られた革調のタイルが高級感を演出している


1階にある母の寝室。デスクワークをするため造りつけた書斎スペースの花柄のクロスをはじめ、各個室のアクセントクロスは家族それぞれが好みのものを選んだ


ここがポイント
借地を避けつつ駐車場4台確保

Oさんが求めたのは、「動線上に仏壇」「将来的に同居する母の居室」「子どもの成長を見据えた4台分の駐車場」を設けること。設計担当者はまず、家族が必ず通る玄関に、仏壇のある和室を隣接。母の居室は1階に配置し、気兼ねなく友人を招けるように母専用の客間も設けた。

課題だったのは駐車場。4台分を確保するには、道路から5メートルほど建物を南西側に寄せる必要があった。しかし、敷地の南西側は借地だったため、その部分にはかからないように建物を設計しなければならなかった。

そこで担当者は南西側の隣地境界線いっぱいまで建物を寄せ、ひさしを浅くする代わりにオーニングを設置。「背後は3メートルほどのよう壁になっているので、ひさしを深くすると圧迫感も出そうだった。オーニングだと面積を調節できるので、広げて日差しを遮ることも、畳んで室内に光を取り込むことも自在」。

人が集まる機会が多いことから、1階はパブリック空間、2階はプライベート空間として、上下で公私を切り離した。また、1階の和室はLDKとつなげて広く使えるようにしたほか、キッチンとリビングをあえて横並びにしたことで互いに行き来しやすい動線にした。

工事に関しては、建築士のアドバイスの下、施主が各専門業者と直接契約する「分離発注方式」を採用。建設会社を通して各専門業者にまとめて発注する「一括発注方式」にするよりも、施主が自らやり取りした分、建築コストをカットできた。Oさん宅では、その分を内装や照明、テラスのタイルなどに充てた。


1階キッチン。Oさんが夕飯の準備などをしていると、子どもたちがカウンターに座って、宿題をしたり、その日の出来事を話す


バーベキューをしたり、夏場に子どもたちがプールで遊ぶテラス。「囲まれているので人目を気にせず楽しめる」とOさん


白とオレンジのコントラストが目を引く外観。手前は駐車場で、「数年後には子どもたちが車を運転するようになるから」と、同居予定の母も含めた4台分を確保した


[DATA]
家族構成:Oさん、子ども2人
敷地面積:167.37平方メートル(約50.62坪)※このうち借地部分は45.21平方メートル
1階床面積:77.81平方メートル(約23.53坪)
2階床面積:77.81平方メートル(約23.53坪)
塔屋床面積:9.3平方メートル(約2.81坪)
建ぺい率 :52.18%(許容60%)
容 積 率:98.53%(許容150%)
用途地域 :第2種低層住居専用地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート造壁式構造
設  計 :(株)青空設計
構  造 :獏建築設計事務所
施  工 :(株)上江洲建設
      (株)糸満建材店
​       大沢電設
​       長浜塗装
​      (資)第一設備
       大真インテリア
​       エッカ石油(株)
      (株)共立アルミ
​      (有)中部タイル
      (有)ダイコク


[問い合わせ先]
(株)青空設計
098・890・7000
https://aozorasekkei.com


撮影/高野生優(フォトアートたかの) 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1678号・2018年3月2日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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