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2016年6月10日更新

愛車眺めて暮らす| アーキデザインワークス一級建築士事務所

沖縄県本島中部、中城村の住宅街に車好きのAさんが建てたのは、敷地の高低差を生かして屋内ガレージを設けた2階建て。玄関を通るたびに愛車を眺め、休日は趣味の車いじりを楽しむ。

敷地生かしスキップフロアに

Aさん宅 RC造/自由設計/家族3人


白い箱が浮いているような外観。1階屋内ガレージには作業スペースも
 

生活感出さずスッキリと

ガレージは屋内にとこだわった。「野ざらしにしていると日差しや台風、防犯上も気になる。これなら天気も時間も気にせずに作業できるし、途中でもそのままにしておけますしね」とAさん。隣接する1階玄関からガラスの引き戸越しに愛車を眺めるさまは、さながらショールームのよう。そんなAさんを「ガレージに入ったら夢中で、ご飯だよーって呼んでも出てこない」と夫人は笑う。

愛車を眺められる吹き抜けの明るい玄関から階段を半階分上った中2階に水回りと寝室、子ども室、さらに半階上った2階にLDKを設けた。
 

作る過程も楽しむ

天井が高いリビングは、通りのある東側一面を窓にしたことで明るく、開放感もいっぱい。向かいの庭の木々や近くの公園の緑も見え、すりガラスがはめ込まれたベランダの手すりのおかげで、通りからの視線も気にならない。「風通しもいいからソファは昼寝スペースに最高! ダイニング横の窓からは夕日が、トップライトからは月も見えるんですよ」とAさんは喜ぶ。

夫人がこだわったのはリビングから床を約90㌢上げた見晴らしのいいダイニングキッチン。「緑を眺めながら家事がしたくて。パン作りが好きなので天板は奥行きのあるステンレス製でシンクも幅広にしてもらって大正解。掃除もしやすいし、子どもがまだ小さいのでお風呂もここで入れられて助かってます」とにっこり。「生活感を出さず、スッキリさせたい」と、内装は白いタイル張りを基調にし、収納を設ける場所や数を厳選。家電類も収納内に収めた。

家づくりを振り返り、「公園が近いなど環境が気に入って購入した敷地でしたが、高低差があっただけに複数社に相談した」と夫妻。無駄のないシンプルなライン、スキップフロアの提案が依頼の決め手になった。「楽しく過ごせる住まいにしたかったから、提案してもらった時はワクワクして」とAさん。家具や照明類にもこだわり、建築士とメールで何度もやりとり。「完成した時は寂しく感じたくらい」とつくる過程も楽しんだ。

今では友人らとバーベキューをするのも楽しみの一つ。「次は車好きの仲間と一杯やろうかな」と計画は尽きない。


2階のキッチンからリビング側を見る。北側の窓は高さを取らずに横長にしたことで、隣家の視線は遮りつつ、公園の緑を取り込んだ


壁の杉板模様にこだわった」というアプローチ。特に日没後のライトアップされた雰囲気が気に入っているそう


室内側からガレージを見る。玄関から愛車が見えるよう、ガラス張りの引き戸に。ガレージにも直接出入りできる


2階バルコニーから見たLDK。3方に住宅が近接しているため、通りに面する東側(手前)以外大きな開口はないものの、トップライトや階段側へも視線が抜け、広がりを感じる空間に。ダウンライトの温かな光に包まれる夜の雰囲気も「日中とは異なる趣で気に入っている」とAさん


中2階側から見た階段。この吹き抜けが、各階に光と風を通し、家族の気配を伝える


中2階の水回り。洗面脱衣室と洗濯場、トイレを兼ねているものの狭さを感じないのは、横長にした鏡とカウンターの効果


中2階の子ども室。将来、二部屋に仕切ることもできるよう、窓や引き戸の位置も考慮した
 

ここがポイント
スキップフロアで動線短く光風通す

Aさん宅の敷地は、南と西に住宅が近接、北側も家が建つことが予想された新興住宅街の一角。前面道路と約1メートルほどの高低差もあった。

そのような条件下で「屋内ガレージとLDKは広く」「プライバシーも確保したい」との要望に応えるべく1級建築士の佐久原好光さんが導き出したのは、スキップフロアの家。通りに面する東側半分を彫り込んでガレージを設け、中2階にプライベートスペース、2階にLDKを配置=下イラスト。これにより、敷地の形状を生かしつつ、要望を実現。

「各フロアへの動線も短いので、家族の気配が伝わりやすく光風も家中に行き渡る一方、公私は緩やかに分けることができます。またLDKを2階に上げたことで、通りの視線を気にすることなく近隣の緑地の眺めも生かすことができました」と佐久原さん。

さらに室内は凹凸だけでなく、使う素材の数も減らすことで、スッキリとした空間づくりを実現。Aさんお気に入りの家具や照明、緑がより映える住まいとなった。


Aさん宅の断面図。スキップフロアでできた段差を活用してダイニングキッチンの床高を上げたことで見晴らしを良くし、床下収納も設けた(建築士提供)


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:193.30㎡(約59.38坪)
1階床面積:70.12㎡(約21.21坪)
2階床面積:46.96㎡(約14.20坪)
建ぺい率:42.68%(許容52.97%)
容積率:47.71%(許容164.83%)
用途地域:第一種低層住居地域
第一種中高層住居地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:アーキデザインワークス一級建築事務所 佐久原好光
構造設計:一級建築士事務所ASDplanning
施 工:(株)紀建設
電 気:丸嘉電気工事社
水 道:(有)インター設備

[設計・問い合わせ先]
アーキデザインワークス一級建築事務所 
098・890・1288    
www.archi-dw.com
写真/泉公・ララフィルム撮影
編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1588号・2016年6月10日紙面から掲載
 

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