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2015年5月8日更新

コンパクトで楽々光・風通り眺めよく|建築設計工房 paraya(パラヤ)

沖縄本島北部の新興住宅地、見晴らしの良い角地に建つ安原尚さん(41)宅。コンパクトな空間構成ながら、家中に涼風が通る、明るい平屋だ。「家族みんな伸び伸び過ごせる」と安原さん夫妻。完成から5年たった現在も家中スッキリ。住み心地は抜群という。

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家中、外へ視線が抜ける

安原尚さん宅 (家族4人)自由設計 補強CB造


1階、キッチン側からのリビングの眺め。視界の広がりや風通しの良さを高めているのが、大きなデッキスペースや窓。ソファの後ろ側の横長の窓の先には曲線を描く外壁、その上方に青空が見える

涼風呼ぶ二つのデッキ
玄関から廊下を抜けると、真っ先に目を引くのが、遠方に山々を望むリビングからの眺め。 視界が開ける北側のデッキと一続きになったリビングで一日の大半を過ごす。尚さんが趣味のギターを楽しんだり、子どもたちが遊び、勉強するのもこのスペース。「涼しくなるとデッキでゴロゴロ。風が通るのでリビングにクーラーは付けていません」と尚さん。
リビングを囲むようにキッチン、食事室、浴室、寝室が並ぶコンパクトな造り。視線が少しずつずれるように各居室が配置されているため、程よくプライバシーを保ちつつ、つながりも感じられる。
家中に涼風が流れるのは、北側と南側に配した二つのデッキによる効果。裏庭とダイニングをつなぐ南側のデッキは洗濯・物干し場も兼ねる。「料理や洗濯などの家事が、短い距離でこなせて動きやすい」と満足げな妻の由希子さん。

ゆっくり根を張って
共に県外出身で東京に暮らしていた安原さん夫妻が、沖縄に移り住んだのは10年前。「毎日片道2時間かけて通勤するせわしい生活を変えたい」と沖縄への移住を決意した。
「自分たちの家が欲しい」。土地を探し始め2年たったころ出合ったのが、道路に沿い弓形に区切られた今の敷地だった。
敷地を見た時「眺めの良さに迷わずココにしようと決めた」という。だが、土地の価格は予算を大幅に上回り、建築費を圧縮せざる得なかった。
敷地の形状や予算を考えても、単純に造ると費用を抑えるだけの小さい家になる可能性がある。「設計は提案力がある建築士にお願いしようと思った。少しでも明るく、風通しのいい家にしたかったので」
そこで、以前から気になっていた建築士に依頼することに。「フィーリングが合ったし、大まかな希望を伝え、提案してもらったプランにも大満足。その後も、プラスαの提案が出てきて、ワクワクした」と夫妻。
住み始めて5年。家を建てて良かったと感じるのは、走り回る子どもたちを見ている時や毎日の何気ない瞬間だ。
「ゆっくり沖縄に根を張っていきたい」と笑った。


北側のデッキからリビング、キッチンを見る。写真右の窓やキッチンの天窓から陽光が広がる


北側のデッキからの開放的な眺め。「家庭菜園は始めたけれど、BBQはまだ実現できてないので、今年は庭でしようと思う」と夫妻


食事室まで短い距離で行き来できるキッチン。右奥の物干しを兼ねたデッキから光が広がる
 

ここがポイント
必要な空間を厳選 スッキリ、快適に

設計に際し安原さん夫妻が建築士に伝えた主な要望は、「十分な明るさと収納の確保。食事室とリビングは分け、ゆっくり過ごせるように」だった。
施主の希望と敷地の環境から建築士が導き出したのは、コンパクトな間取りでもプライバシーを保ちつつ、開放感も感じられる住まい。ポイントになったのが、通風と採光を促す窓の工夫と視線計画だ。
通りからの視線は目隠し壁を曲線でデザイン(下写真)することで、周囲と緩やかに仕切り、穏やかな光を室内に取り込む効果も。
周囲に建物がなかった建築当初から、将来は東と西側を建物に囲まれること、敷地の高低差で隣地から見下ろされる可能性があることを予測し、視界が開ける北側に幅広のデッキを設け、大きく開いた。
「南側にも裏庭とデッキを設けることで、南北の風を通しながら、部屋の延長として利用できるように計画しました」と建築士。予算の関係から、間取りはシンプルな田の字形をベースに、通路に居室の機能を持たせるなど空間を最大限利用した。中心部が暗くなりがちな田の字形のデメリットは、天窓やスリットなどを各所に設けて光を取り込み、視線の広がりも得て解消した。
また、打ち合わせでは、当時の住まいの不便な点も伝え、改善策を取り入れてもらった夫妻。予算が厳しいことでやりたいことや必要な物が厳選され、経年後もスッキリ、暮らしになじむ住まいとなったよう。


食事室。隣地との間にデッキ、裏庭を設けることで奥行きが感じられる


プレイルームは、暮らしの変化に合わせて仕切ったり、オープンに


食事室の横から玄関を見る。縦スリットがあることで、広がりと明るさが得られ、爽やかな雰囲気に


パウダールーム。天窓から陽光が降り注ぎ、明るく、清潔感が漂う。シンプルな造りで掃除もしやすい

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:351.50㎡(約106坪)
1階床面積:83.89㎡(約25.3坪)
建ぺい率:50%(許容33.13%) 容積率:100%(許容23.87%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:補強コンクリートブロック(CB)造
設 計:建築設計工房 paraya 島袋勝也
構 造:(有)建築構造研究所 金城 敦
施 工:嘉数組 嘉数 明
電気・水道:屋良産業 屋良良利

[設計・問い合わせ先]
建築設計工房 paraya(パラヤ)
0980-56-2955
メール paraya@viola.ocn.ne.jp
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1531号・2015年5月8日紙面から掲載

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