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2015年3月20日更新

念願のスペイン風 機能的で家事ラク|(有)武一建設

ローンの返済や維持費を考え20代で建てた家を手放して以来、賃貸暮らしだったKさん(54)。2度目の家造りで完成させたのは、スペイン風のデザインと、機能性が光る平屋建て。花壇や菜園で土いじりも楽しんでいる。

花壇・菜園も楽しむ

Kさん宅(家族3人 自由設計 RC造)


1階寝室側からLDKを見る。窓際に設けた畳スペースは、ベンチや、泊まりに来た母親のベッドにもなる。リビングに隣接するパティオやアーチ型の漆喰壁はKさんのお気に入り


バブル期に建てた以前の家を手放してからは、アパート住まいだったKさん一家。2度目の家造りのきっかけは年頃の息子の「ここで結納するの?」の一言。「確かに。アパートじゃ狭いし孫が来ても泊められないなと、思い切って建てることにしました」とKさん。
敷地は子どもの学校に近く、生活に便利な沖縄県の本島中部の住宅街に購入。設計は、住宅情報紙で見て、ずっと気になっていた建築士に依頼した。「アーチの柔らかな雰囲気やパティオが好きでしたが、『高そう』と他を当たっていたんです。諦めきれずダメもとで訪ねたところ、いろいろ相談できそうな人柄が決め手になりました」。
プランニングの際は予算を率直に伝えた上で、「ワンフロアで全てが済む平屋に」「30年、好きで集めたランプや家具類を生かせる空間にしたい」「家事室や庭が欲しい」こと以外は「お任せ」した。

お気に入りに囲まれて
青空に爽やかな白の外観が映えるKさん宅。室内は自身の寝室を中心に、東にパティオが隣接するリビングとダイニング・キッチン、西に水回りや家事室、子ども室が配置されている。
リビングの一角、パティオに隣接するように設けられた低めの畳スペースは、腰掛けたり、昼寝にも便利。「毎朝、ここで新聞を広げたり、ストレッチしたり。昼は青空、夜は星も見えるから最高!」とKさん。要望だった家事室も「外の物干し場から洗濯物もすぐ取り込めてパパッと片付いちゃう。娘もここに来てから『畳んで仕舞う』が上手になりました」と喜ぶ。
他にも「玄関から入ってきたときに見える廊下の、漆喰の柔らかな雰囲気」「スタンプでさりげなくデザインが施された駐車場のタイル」「年を取っても靴の脱ぎ履きの際、腰掛けられて安心なポーチや玄関先のベンチ」など、お気に入りを挙げたらキリがない。
完成から半年。「日当たりがいいから、植物がよく成長してくれるの」と楽しげに眺める花壇では色とりどりの花が咲き乱れ、手作りの菜園では真っ赤なトマトが実をつける。2度目のわが家での豊かな暮らしが垣間見えた。


ダイニング。凝ったデザインのペンダントライトや間仕切りにはめ込んだアイアンが空間のアクセント


ダイニングからキッチン、家事室へのつながりを見る。短い距離で行き来でき、家事効率もアップ


アプローチ。写真手前には花壇があり、色とりどりの花々を眺めながら玄関への歩みを楽しめる。老後に備え玄関扉は引き戸に、扉の正面には一休みできるベンチも設けられている


玄関。土間と床の境「上がりかまち」を曲線にしたことで、広がりや優しい雰囲気が感じられる空間に。右手壁側には大容量の靴箱もあり、玄関をスッキリ保つことができる


ここがポイント
老後便利なワンルーム風

Kさん宅を設計するにあたり建築士の末松渚さんが配慮した点は二つある。
一つは2人の子どもが巣立った後も快適に過ごせる造りにすること。「寝室を中心にLDKや水回りを配置することで、必要なものにすぐ手が届くワンルーム的な便利さがありつつも、物が雑然としない、機能的な空間づくりを目指しました」。
寝室の引き戸を開け放しておけばLDKやデッキまで一続きになる上、トイレや浴室までの距離も短いので夜間の行き来もラク。来客時は引き戸でサッと目隠しも。
水回りの一角に設けた家事室もポイント。「キッチンに近く調理や片付けをしながら行き来が可能。洗濯物がリビングに出しっぱなしになることもありません」と説明する。
二つ目は、メリハリのある予算配分。建具など造作工事が増えるとコストがかさむことから、リビングと隣接する寝室などパブリック空間になり得る所は引き戸や飾り棚を設けたが、子ども部屋の収納は扉を省き一つに集約。照明も気分を上げたい家事室やパブリック空間は凝ったデザインに、それ以外は安価なシーリングライトにした。
コスト面に加え、使い勝手の点からも工夫が光るのが独立させた洗面所。トイレの手洗い場と洗面台をまとめることでコストを抑えただけでなく、「朝、思春期のお子さんが脱衣所に居ても、気兼ねなく支度ができる。リビングに近いので来客も使いやすい」と機能的だ。
「こだわりどころを絞り込むことで、限られた予算の中でも満足いただける空間に仕上げることができました。Kさんとは感性が近く打ち合わせがスムーズだった点も大きい」と話した。


家事室。「疲れている時でも気分が上がるように」と左手の壁はピンクにし、照明もこだわった。造り付けた幅の広いテーブルは正面扉奥の物干し場から取り込んだ洗濯物の一時置き場になるだけでなく、アイロンを掛けたり、化粧台としても使える


キッチンと家事室の間にある洗面所。周囲に回遊性を持たせたことで、右手にあるトイレや左手手前のリビングとも行き来しやすい。家族はもちろん来客も気兼ねなく使える造りとなっている。タイルや照明使いで上品な雰囲気も演出


白壁が爽やかな印象の外観。向かって右手前に花壇、左手に菜園が設けられている


正面が西側の収納、両サイドにあるのが子ども室。収納は子ども2人が共用

[DATA]
家族構成:母、子ども2人
敷地面積:264.46㎡(約80.14坪) 1階床面積:92.20㎡(約27.94坪)
建ぺい率:30.97%(許容60%) 容積率:27.56%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:(有)武一建設 末松 渚
施 工:(有)武一建設


[設計・問い合わせ先]
(有)武一建設
098-965-3001
http://takeichikensetsu.com/
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/徳正美

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1524号・2015年3月20日紙面から掲載

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