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2016年10月28日更新

大開口で眺めと風光|陽設計

那覇市の高台にあるTさん(39)宅は、前面道路との段差を生かしたスキップフロアの2階建て。事務所も併設する。リビングの大開口が眺めと風光を取り込み開放的だ。

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スキップフロアで事務所併設

Tさん宅 RC造/自由設計/家族6人

2階ダイニングキッチンからLDKを見る。半層下がっている分、天井が高く、南側の大開口からの眺めと相まって開放感抜群。曲線を描く階段の手すりもアクセントに


職住一体 家事も楽に
室内に入ってまず目に飛び込んでくるのは、リビング南側の大開口から見える街並み。「お客さまが『すごい!』って驚くのが快感。景色の良さにキッチンでの仕事も楽しくできます」と夫人(37)は笑う。
デザイン業を営み、11歳の長男を筆頭に二男二女、4人の子どもがいるTさん夫妻。2階建ての事務所併設住宅は、4層で構成されている。北側の前面道路に面した2階にはダイニングキッチンと水回り、半層下がったフロアにリビングがある。さらに階段を下りると、夫妻の寝室である和室と子ども室、最下層の1階は事務所だ。「仕事をしていても、家族がずっと一緒にいられる安心感がうれしい」と夫人。
家づくりでは、家事や片付けのしやすさとインテリア性を重視した。水回りの並びには、家族の衣類を収めるウオークインクロゼット。キッチン裏のストックルームは勝手口に抜けられ、買い物後の運び入れも楽にできる。ダイニング西側に設けた壁面収納は、夫人のアイデアで一部に扉を付けた。「見えてもいいものと隠したいもの、用途に応じて収められます」。白を基調にしたシンプルなLDKで存在感を放つ大きな壁時計も、夫人が選んだ。

意見を出し合って
Tさんの父親から土地を譲り受け、「家を建てるなら事務所併用で」と考えた夫妻。見学会や雑誌を見てイメージを固め、仕事仲間から紹介を受けた建築士に設計を依頼した。
前面道路との高低差が最大3・8メートルある敷地。コスト面も考慮した建築士はスキップフロアを用いた2階建てを提案した。「家族のコミュニケーションや高齢になったときを考えると平屋がいいと思っていました。でも、暮らしてみると、どこにいても家族の気配が感じられるし、階段の上り下りも思いのほか苦にならない」と夫人。子どもたちも家の中でかくれんぼをしたりと、遊び心を刺激されているよう。
「こまめに打ち合わせをして、意見もいろいろ聞いてもらった。おかげで思い通りの家ができました」と、満足そうにほほ笑んだ。


リビングからダイニングキッチンを見る。奥が玄関。一部に収納を設けた幅広の階段は子どもたちの遊び場にも。右側の壁を彫り込んだ棚は将来、仏壇スペースとして使う予定


洗面の奥に、家族全員分の衣類を収納するウオークインクロゼット、洗濯機置き場、物干し場と続く。「洗濯から片付けまでとてもスムーズ」と夫人


キッチン。玄関を入ってすぐの場所にあり、来客から手元が見えないよう立ち上がりをつけた。壁はマグネットが張れるペイント仕上げに。奥には大容量のストックルームを設け、勝手口に抜けられる

 

ここがポイント
敷地の高低差利用  大開口で景色強調

北側の前面道路と敷地の段差は3・8メートル。夫人が希望した平屋建ての建築には盛り土が必要で、費用も高額になることが予想された。また事務所併設のため公私の区分けも課題に。さらに、南側ががけになっていて、条例で建物をよう壁から後退させなければならず、事務所への通路も別に確保する必要があった。
これらの制約を踏まえ、家族6人の居住スペースを確保するために建築士の玉城飛雄馬さんは、段差を生かした2階建てを提案。スキップフロアを採用し、家族のつながりを持たせながら、階層でゆるやかに公私の空間を分けた。
LDKを配した2階は、南側の大開口からの光と風を取り込むため、仕切りのないオープンな造りに。細長いトンネル状になったLDKが狭く感じないよう、「玄関からリビングまでひと続きの天井に。リビングフロアをダイニングキッチンより1メートル下げることで開口部の高さを出し、南側の景観に目がいくようにしました」と玉城さん。
家事のしやすさも重視した。洗面脱衣室とウオークインクロゼット、物干し場はひと続きに配置。玄関向かいに設けた勝手口は、ストックルームを通ってキッチンに抜けられる造りに。「買い物の荷物を最短で収納して、そのまま家事に取り掛かれます」。無駄なくコンパクトに動ける動線計画が光る。


夫妻の寝室として設けた中2階の和室。階段の先にあるリビングの大開口から入った光が廊下まで届き、明るさは十分。小上がりの造りにして下部には引き出し式収納を設けているため、物も散らからずにすむ


和室隣にある子ども室。写真左側の出入り口の正面にもう一つ出入り口が設けられていて、将来は間仕切り壁で仕切って2部屋として使えるようになっている


前面道路に面した北側の外観。中央に見えるドアは勝手口で、その正面に玄関がある。手前は駐車スペースで、右側は1階の事務所への通路。壁を掘り込んで窓を設けることで、すっきりシンプルな外観を生む

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども4人
敷地面積:330㎡(約100坪)
1階床面積:87.30㎡(約26.40坪) 2階床面積:78.90㎡(約23.86坪)
建ぺい率:26.87%(許容50%) 容積率:50.27%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設 計:陽設計 玉城飛雄馬
構 造:金城企画
施 工:㈲大光建設産業
電 気:屋宜電気工事
水 道:㈲丸栄電気水道工業
内 装:金城内装、マスミ内装
外 装:㈱小波津塗装
クロス:マルショウ

[設計・問い合わせ先]
陽設計 098-911-6947  http://www.hyuma.info/
写真/泉公 ララフィルム撮影  編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1608号・2016年10月28日紙面から掲載
 

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比嘉千賀子

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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