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2016年8月19日更新

年月が味になる家に|(株)佐平建設

沖縄県那覇市に中古マンションを購入した大城宗貞さん(46)。ヨーロピアンビンテージをテーマに、既設の物を極力生かして改修。施工費約640万円でお気に入りの住まいを実現した。


中古マンション 640万円で改修 

大城宗貞さん宅 築14年/マンション/家族4人
  
ヨーロピアンビンテージがテーマのLDK。改修前、壁付けだったキッチンを対面式に変え、カウンターも設けた。実家で長年使っていたダイニングテーブルもリメイクして使う。


色で遊んで長く楽しく
住まいのイメージは、100年の時を経た住宅。築14年、3LDKの中古マンションをリノベーションした。「新築のようなきれいな空間だと、傷付けたり、汚れたらと気を使う。年月を味わいとして楽しめるようにしたかった」と大城さん。
室内は、壁付けだったキッチンを対面式に変更。LDK隣の和室を洋間に変えて壁を設け、夫妻の寝室として使う。会社を経営しているため家に人を招く機会も多く、玄関やLDK、トイレの内装は集いともてなしを意識して特にこだわった。

だんらんの中心となっているLDKは、淡いブルーやグリーンを壁のアクセントに利かせたカフェのようにくつろげる空間。コンクリートをむき出しにした天井に、無骨な配管パイプを使ったスポット照明がともる。妻の陽子さん(46)は、「仕事を終えた社員たちが立ち寄って、よく飲み会に。高校生の長男(16)、次男(15)も、友だちを連れてくるのでにぎやか」と笑う。
大城さん一番のお気に入りは、一目ぼれしたタイルを使ってポップにしつらえたトイレ。「ドアを開けた瞬間、みんなびっくり

亡き母への思い込め
暮らし方や好みの変化、子どもの成長に応じて、新築マンションなどを住み替えてきた大城さん。今回の住み替えは、母・春子さんとの同居が目的だった。徒歩で買い物に行ける立地の良さと、子どもが巣立った後、暮らすにも適当な広さが購入の決め手になった。
リノベーションは物件探しから相談していた建設会社に依頼。大城さんは、「打ち合わせをするのが楽しかった。費用を抑えながらもやりたいことができて満足」と振り返る。

施工中に春子さんが病気で急逝し、同居はかなわなかったが、家には亡き母への思いを込める。リビングに設けた仏壇スペースは、「扉の内側は母の好きなピンク色。きっと喜んでいると思います」。
飽きっぽい性格で、家にも変化を求めてしまうという大城さん。「壁色を塗り替えたりと、長く楽しく住めそう。リノベーションだからこそ、気楽に手を加えられる。これまでの住まいで一番のお気に入りです」と笑みを浮かべた。

キッチンからリビングダイニングを見る。テレビ後ろのブルーのアクセントウオールが印象的。写真右手の出入り口の隣にある扉が仏壇スペースに


【リフォーム前】LDKの隣、ふすまのある部分の奥は和室だった(改装前の写真は佐平建設提供)

「コーヒーがおいしく飲める空間に」と造作したカウンターは、シンプルな白のモザイクタイルが存在感を放つ。キッチン背面の収納の中は棚を設けず、市販のラックを収めて活用する
 


大城さんが遊び心を発揮したトイレ。亡き母が好だったというピンクの壁、カラフルなタイル使いが目をひく


洗面室はポップな柄の壁紙を貼って個性的な空間に。洗面台は使い勝手と空間への調和を考慮して新調した


ここがポイント
既設活用でコスト圧縮

個 室  クロス張りでコスト減

3室ある個室は、壁をクロス仕上げにしてコストダウンを図った。ペイント調の壁紙は、ほかの個室でも同じものを使っている。写真は次男の部屋。もともとは亡き母・春子さんが使う予定だったこともあり、奥のベッドスペースとの間には仕切り戸を設けて、静かにくつろげるような空間づくりに配慮した。仕切り戸は和室のふすまを再利用したもので、壁紙を張ってシックに仕上げた。


リノベーション前は白だった靴箱を、輸入塗料を使ってシックなグリーンに塗り替えた。扉表面に板張りで凹凸を付け、取っ手類もアンティークのものに付け替え、ビンテージ感を演出する。照明もアンティーク調のものに取り換えた

 

部屋ごとにメリハリ

 

大城さんが購入した中古マンションは、築年数が14年とさほど古くなく、設備や間取りの大幅な変更が必要というほどでもなかった。しかし、物件購入費が当初の予算以上になったこともあり、リノベーションに掛ける費用を抑えながら、夫妻が希望する「ヨーロピアンビンテージを感じさせる空間」をどう実現するかが課題となった。

リノベーションを手掛けた佐平建設の加納賢一さんは、「費用を掛ける、抑えるのメリハリを付け、既設のものをできる限り生かすことで施工費を約640万円に圧縮。施主が気に入っていたオーストラリアの輸入塗料、個性的な壁紙やタイルなどでビンテージ感と存在感を演出した」と説明する。

具体的な工夫を紹介する。床は上から塩ビタイルを張り、壁は来客の目に触れる玄関からLDK、トイレをペイント仕上げに。玄関の靴箱はもともとある物を塗り替え、取っ手はアンティーク調に付け替えた。個室や洗面室の壁はクロス仕上げにしてコストを抑えた。

新たに造作した建具でもコストダウンを図る。キッチン背面の収納は、中はオープンにして市販のラックを活用する。ビンテージ感を演出するためにドアや扉に施した加工は、「大城さん宅では、板を張り付ける手法を提案しました。費用は掘り込む場合の約3分の1すみ、見た目に大きな差はありません」。

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
施工面積:75.22㎡(約22.75坪)
躯体構造:鉄筋コンクリート造(マンション)
築年数:14年
工 期:約3カ月
設 計:㈱佐平建設 加納賢一
施 工:㈱佐平建設
木工事:㈱アフター
電 気:エース電気工事社
水 道:HAMAシステム
内 装:木晴内装
塗 装:㈱平真塗装工業

[設計・問い合わせ先]
(株)佐平建設
098-941-2222
http://www.sahira.co.jp
写真/泉公撮影・ララフィルム
編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1598号・2016年8月19日紙面から掲載
 

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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