特集・企画
2020年1月3日更新
土地の形生かし 夫婦で趣味反映|(株)徳里産業
[車と雑貨、夫婦で趣味を満喫!]本島中部のTさん宅は、道路との高低差を生かしガレージを設けた2階建て。玄関扉を開けた右手にはガラス戸越しにTさんの愛車が見え、手前には作業スペースも。半階上ったLDKや2階は、夫人こだわりのアンティーク雑貨でまとめられている。時にはDIYで手を加えてきた家には、夫婦の「好き」が詰まっている。
Tさん宅
RC造2階建て
(株)徳里産業
出入りのたびに愛車眺める
「古い車が好きなんですよね。雨ざらしにしたくなかったので屋根付きのガレージでぬれずに家に出入りしたかったし、できれば平屋でリビングから愛車を眺められる家にしたかった」と夫妻。だが敷地は道路から奥に行くにつれて高くなり、最大高低差は1.5メートル。そこで㈱徳里産業が提案したのが、ガレージ、1階、2階と半階ずつ上がる現在のカタチだ。営業企画課長の池宮城秀成さんは「よう壁を作ると予算がかかる。敷地の形状を生かすことで無理なく平屋に近い感覚でガレージや居室を設け、プライバシーも確保することができました」と説明する。
リビングからこそ見えないものの、「外出時や帰宅時など、玄関ホールを通るたびに愛車が眺められるように」とのTさんのこだわりから、ガレージへの出入り口はガラスの引き戸に。完成時は土間だった倉庫には「自分たちでPタイルを貼り」、くつろげるスペースを作り上げた。ジュークボックスやヘルメット、ガラスの洗濯板など、夫妻が独身時代から集めてきたという古い雑貨がズラリと並ぶそこは、さながら大人の遊び場。「ガレージとの間にあるサッシは、ガラスでなくポリカーボネートにしてもらったので、安心して作業ができる」とうなずく。
床壁シンプル 雑貨で遊ぶ
一方、夫人の好みを色濃く反映しているのが室内だ。「アンティーク調の建材をオーダーするとなると予算がかかるし、インテリアの好みは年齢と共に変わる。それならアレンジしやすいようにと、大きな面積を占める床や壁はシンプルな色調を選んだ」と夫人。その分、細部にはこだわりを存分に反映した。テレビ裏の壁紙はレンガ調、床の間には夫人が好きな作家の壁紙を貼り、シーリングファンやペンダントライトなども自分たちで調達した。リビングの一角を飾る輸入もののマントルピースは、住み始めてから設置したとは思えないほどなじみ、「床や壁はシンプルにして正解でした」と笑う。
夫人こだわりのインテリアが映える1階LDK。庭とつながる掃き出し窓から光が差し込む。リビングとのなじみを考え、畳はあえて「和室らしくない」色に
1.スリット窓や高窓、吹き抜けで明るく伸びやかな玄関ホール。手前左手にガレージの出入口がある
2.玄関ホールとリビングの間の階段。写真右手の壁は、夫妻の希望で工事途中にアイアンを組み込んだ
ウオークスルーで片付けやすく
夫人が重宝していると喜ぶのが、水回り側と玄関側、どちらからでも出入りできるウオークスルークローゼット。「お風呂に入る時や洗濯した後も服をすぐ出し入れできるし、帰ってきたら上着や荷物を置いてそのままキッチンへ」。物が1カ所にまとめてしまえるため、生活感を出さない暮らしにも一役買っている。
家づくりについては結婚当初から考えていたという夫妻。Tさんの親に敷地を譲ってもらい、薦められた徳里産業に建築を依頼した。「もともと好きだった雑貨屋めぐりに拍車がかかり、取引のない店舗の扉を入れたいとお願い。工事の途中で、壁を視線が抜けるアイアン造作に変えてほしいとお願いした時も、配線類に影響のない範囲で中央をくり抜いてくれたり」と感謝の表情を浮かべる。夫妻が希望していた庭も、「建物を道路や実家のある北西側に寄せ、L字に配置することで確保。南東側からの光も家全体に取り込むことができました」と池宮城さん。
完成して4年がたった現在、その庭の一角には、夫婦で作り上げたばかりの小屋が鎮座する。「アンティークの雑貨をディスプレーしながら、ガーデニングが楽しめる空間にしようかな」。楽しい計画はまだまだ続く。
3.2階寝室。右手はたっぷり収納できるウオークインクローゼット。個性的な引き戸は輸入もの
4.2階の廊下は、夫人こだわりのアンティークな雰囲気でまとめられている。こちらの扉も好みの雰囲気に合う輸入もの。右手奥にはTさんがプレゼントしたというアンティークのベビーベッド、手前の棚には古い8ミリカメラやティーカップなどが飾られている
5.洗面室はホテルライクなイメージにしたいとの要望から、広くゆったりと。北側だが高窓から差し込む光で明るい
6.庭側から建物を見る。向かって右手が1階リビングダイニングと和室、左手がガレージと2階。リビングダイニングの外には大人数でバーベキューが楽しめるよう、タイル張りのスペースを広めにとった
7.キッチン。奥はパントリーになっている。パントリーは、向かって左手は収納、右手は夫人のパソコンスペース
[DATA]
家族構成:夫婦+子ども1人
敷地面積:332.94平方メートル(100.71坪)
床面積:1階113.94平方メートル(34.4坪)
2階60.1平方メートル(18.2坪)
車庫38.4平方メートル(11.6坪)
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式構造
用途地域:第1種低層住居専用地域
設計・施工:(株)徳里産業
[問い合わせ先]
(株)徳里産業
098‐956‐0789
https://www.tokuzato.co.jp/
撮影/比嘉秀明
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1774号・2020年1月3日紙面から掲載