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2018年10月26日更新
応援!おきなわ技能五輪・アビリンピック2018|木工[6]
23歳以下の青年技能者が技を競う「技能五輪」大会が11月2日(金)から沖縄で開かれる。仲宗根亜季さんはフラワー装飾競技に参加する。同競技は「花束」「ブライダルブーケ&ブートニア」「テーブルデコレーション」の3種を製作し、完成度を競う。仲宗根さんは「デザイン性を高め、金賞を狙う」と意気込みを語る。
花生かし個性も演出
仲宗根亜季さん(23)/ラパン
技能五輪挑戦の意気込み
一番いい賞を取り、職場の皆さんや応援してくれる方々へ恩返しがしたい!
仲宗根さんに聞きました
■フラワー装飾を始めたきっかけは
お花のポスターに引かれ、県立中部農林高校の園芸科学科へ入学しました。当初は「植物に触れてみたい」くらいの気持ちだったのですが、フラワー装飾技能士検定への挑戦を通して意識が変わってきました。学校では同技能士2級の資格を取ることが必修。花の扱いの難しさや、デザインに四苦八苦しながら「もっとうまく作れるようになりたい!」と心に火がつきました。
■花屋に就職し、やりがいや大変なこと
農業高校で園芸を学び、花屋に就職するのは「王道」のように見えるかもしれませんが、実は少数派なんです。専門学校や大学に行く人が多く、同級生で花屋に就職したのは私くらいだったと思います。私は、早く実務経験を積みたくてこの道を選びました。
ラパンに就職し、新しい発見の毎日でやりがいを感じています。花屋で大変なのが水替えですが、キーパーの中に入っているお花たちのイキイキと元気な姿を見たら作業も楽しくなります。
初めてみる花は、種類や扱い方だけでなく花言葉も調べます。花束を作るときに聞かれることも多いから。花束を作るのは緊張するし責任も感じるけれど、やはり楽しい。私はおしゃべりなので(笑)、お客さんとお話をしながら、受け取る人の好みや雰囲気を探り、一人一人に“どストライク”のものを作れるように心掛けています。
上司(柳さん)は「技能グランプリ※」で銀賞を取っていて、憧れの存在! 普段の仕事でアドバイスをくれるのはもちろん、大会の練習も見てくださる。本当にありがたいです。
■技能五輪への意気込み
技能五輪への挑戦は3回目。過去2大会では、自分の固定観念を崩せず、作品に個性が出せなかったのが敗因でした。でも、仕事でさまざまなお客さまの声に応えていくうちに、頭が柔らかくなってきたと思います。
今回は、花を生かしつつ私の個性も出し、見た人の心を弾ませるような作品をつくりたい。仕事で経験を積んだので、段取りには自信があります! どのくらいデザインを作り込めるかがカギになると思います。
大会で視野広げて
柳真衣さん/ラパン
「憧れ」の上司から
仲宗根さんは何でも一生懸命取り組む姿勢が素晴らしい! 賞を取れるよう全力でサポートします
柳さんに聞きました
■県内のフラワー装飾技能士のレベルは
確実に上がってきています。勉強熱心な人が多く、積極的に県外で学んだり、大会に出場して腕を磨いている人が増えているのがその理由でしょう。先日「Japan Florist of the year 2018 日本花職杯」の九州・沖縄ブロック予選会に出場したのですが、
全国大会へ出場する5人のうち、私を含め3人が県勢でした。県外の方に「沖縄こわい!」と言われたほど。業界では県勢がダークホース的存在になっていると思います。
■柳さんはさまざまな大会に出場していますが、その意義は
普段の仕事ではお客さまの声や思いを形にしていきますが、大会は自分自身と向き合い、技やセンスなどをすべてぶつけられる貴重な場所だと思います。
受賞すればなおのこと、自信になります。私も「技能グランプリ※」で銀賞を取ったときは「今までやってきたことは間違いじゃなかった!」と、モチベーションアップにつながりました。
また、他の出場者の作品を見て感動したり、心を動かされる経験も大事。視野が広がり、デザインの引き出しが増えます。
■仲宗根さんへ応援メッセージ
仲宗根さんは明るくて人懐っこく、コミュニケーションが上手でうらやましいぐらいです!
あと、意志が強くて、こうと決めたらきっちりその通りに作品をつくっていく。そこは昔の自分を見ているようで、いとおしくも歯がゆい(笑)。
自分を芯に置いてものづくりをすると、どんどん視野が狭くなっていってしまい、作品が窮屈になってしまう。周りの人(受け手)や花を芯に置くことが、柔軟な発想の源になると思います。
仲宗根さんは持ち前の素直さで、視野が広がってきた。あとはリラックスして挑めば、必ず入賞できると思います!
大会マスコットキャラ 「ワジャサー」フラワー 装飾
「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」いよいよ来週から開催!!
「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」がいよいよ来週 11月2日(金)~5日(月)に開かれる。
技能五輪とは、23歳以下の若手技能者が全国から集まり、技を競う大会。造園や左官、ウェブデザインや洋菓子製造など42種を予定。アビリンピックとは、全国障がい者技能競技大会で、15歳以上の障がいのある人が技能を競い合う。表計算や洋裁、機械CADなど22種目を予定。
いずれも年1回開催されており、沖縄での開催は初めて。仲宗根さんら15人が出場するフラワー装飾は沖縄市の「沖縄県総合運動公園(レクドーム)」で開催される。
来週号(11月2日発行)では、おきなわ技能五輪・アビリンピック全競技の会場紹介など特集記事を掲載する。
※「技能グランプリ」とは技能五輪が青年技能者を対象とした技能競技会であるのに対し、技能グランプリは年齢に関係なく熟練技能を競う全国規模の大会。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1712号・2018年10月26日紙面から掲載