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2017年8月11日更新

相続登記、放っておいて大丈夫?|【寄稿】那覇地方法務局 不動産登記部門首席登記官 佐藤典康さん

最近、相続登記をしないまま長い間放置されている土地について、所有者が誰なのか、どこにいるのかが分からないため、公共事業や地域の再開発が進まないなどの問題が全国的に起こっています。何代にもわたって相続登記をせずに放置しておくと、相続人は増える一方で、相続人を探し出すだけで多くの時間を費やすだけでなく、すぐに不動産を処分できないといった問題も生じてきます。手続きの負担を軽くする「法定相続情報証明制度」が始まったこの機会に、相続登記の重要性について考えてみてはいかがでしょうか。

新制度で手続きの負担減

相続人増え訴訟に

ご家族が亡くなった場合,被相続人(亡くなった方)名義の銀行預金や不動産などがあれば,その相続手続きが必要になります。
不動産の場合,相続登記をして被相続人名義から相続人名義に変更しなければ、次の登記ができません。例えば、相続人が土地を担保に入れたり売りたいというとき,すぐに担保権の設定や売買の登記ができないことになります。
相続登記が何代にもわたって放置されているケースでは,相続人の数が多くなり,相続分に納得しない相続人が出てきたりして手続きが進まないばかりか,遺産の分割方法を巡って訴訟に発展することも考えられます。また,公共事業で道路を拡幅するために民有地を買収する,あるいは地震や大雨による災害の復旧をしようとする際,土地所有者が不明だったり相続人が特定できないために、買収や復旧工事が進められないという事例も多発しており,社会問題となっています。
このような問題を未然に防ぎ,子どもや孫に将来の負担を残さないためにも,早めに相続登記を行うことが重要です。
 

証明書を無料交付

法務省・法務局では,今年の5月29日から,相続登記の促進のため,新たに「法定相続情報証明制度」の運用を開始しました。


新制度「法定相続情報証明制度」|週刊タイムス住宅新聞


これまでは相続の手続きの度に、誰が相続人か証明するため、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本といった戸籍書類一式(戸籍の束)など,多くの書類が必要でした。何度も書類を集めたり、被相続人の口座解約などで銀行に提出した書類の返却を待つのに疲れ、不動産の相続登記手続きは後回しになってしまっていたようです。
この制度は,戸籍の束の代わりに、相続関係の一覧図を登記官が証明書として発行するものです。証明書は必要な通数を無料で交付しますので,戸籍の束を何度も集める手間がなくなる上、手続きを同時に進められ、審査も非常にスピーディーになります。
銀行での手続きや相続登記だけでなく,相続を証明する必要がある各種手続において、ぜひご利用ください。
そのほか、全国の法務局では,相続登記を早めに行っていただくための広報活動に取り組んでおり、那覇地方法務局でも沖縄県司法書士会との共催で,相続登記の促進についての講演会、無料相談会を開催します。「相続登記のことをもっと知りたい」「相続関係で悩んでいる」といった方は、ぜひお越しください。


相続登記の相談窓口

那覇地方法務局
098-854-7952
(来所の際は電話予約が必要)

沖縄県司法書士会
098-867-3526

司法書士総合相談センター
098-867-3577
 

2017年8月26日(土)に相続登記講演会・相談会

法務局では,沖縄県司法書士会と連携し,相続登記に関する無料相談会や講演会等を開催する。



「相続登記講演会&無料相談会」

日時
2017年8月26日(土)
講演会/午後1時~同2時30分
無料相談会/午後2時45分~同4時45分

場所
地域交流センター南風原町立中央公民館黄金ホール(南風原町字喜屋武236番地)

内容
相続・遺言についての講演会(入場無料)。
講師は井手口衛一法務局統括登記官、日高憲一司法書士。
無料相談会は司法書士が対応。予約不要、定員あり(先着順)。

問い合わせ
県司法書士会事務局(電話=098-867-3526)



執筆
那覇地方法務局 不動産登記部門首席登記官 佐藤典康さん|週刊タイムス住宅新聞
那覇地方法務局
不動産登記部門首席登記官
佐藤典康さん


<寄稿>
相続登記 2017年5月から新制度
 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1649号・2017年8月11日紙面から掲載

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