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2018年7月6日更新
相続登記 2017年5月から新制度|【寄稿】那覇地方法務局 不動産登記部門首席登記官 佐藤典康さん
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際にその不動産の登記名義を相続人に変更すること。近年、相続登記が長年放置され、所有者不明の土地や建物が増加し社会問題となっている。法務省・法務局は改善のため、昨年5月から手続きの負担を軽くするなどの取り組みを行っている。
相続登記 2017年5月から新制度
手続きの負担減 手数料も無料
最近、相続登記が長年放置されているために直ちに所有者を把握することができない所有者不明土地が全国的に増加しているとして社会問題化しています。相続登記が何代にもわたって放置されているために所有者を探すことができず,震災復興や防災・減災事業等の公共事業を進める上での大きな障害ともなっています。
政府としては、この問題に国を挙げて取り組むこととしており、法務省・法務局としても相続登記を促進するために、次のような取り組みを行っています。
1.法定相続情報証明制度
被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸除籍謄本や相続人全員の戸籍謄本といった書類を提出していただき、法定相続人が誰であるかの証明書を登記官が発行する制度です。この証明書は金融機関などにおいて、相続手続きをする際に利用することができます=左イラスト参考。
手数料は無料で必要な通数を請求できますし,法定相続人が誰か一覧で分かりますので,相続手続きの負担が大きく軽減されます。
2.登録免許税の免除措置
相続登記の申請の際、納付する免許税を一定の場合に無料にする制度です。なお、2021年3月31日までの期限付きです。
3.長期相続登記等未了土地解消作業
地方公共団体が行う公共事業のうち、法務大臣が指定した事業に関する土地の所有者の相続人を登記官が探索し、相続人等の利害関係人は、その結果を利用して相続登記ができるようにするという制度です。
4.相続登記促進の広報
法務局の職員が相続登記に関する説明を行い,相続登記の必要性について広く知っていただく取り組みです。
そのほか、全国の法務局では相続登記を早めに行っていただくための広報活動に取り組んでいます。那覇地方法務局でも沖縄県司法書士会との共催により、ことしは7月8日(日)に浦添市立中央公民館で講演会と相談会を開催します。相続登記でお悩みの方は是非お越しください。
手続きごとに戸籍謄本の束が必要なため、いくつも束を準備するか、手続き後に返却されるのを待たなければいけなかった
戸籍の束の代わりとなる「法定相続情報一覧図」の写しを必要な通数、無料で交付するので各種手続きが同時に進められる
「九州・沖縄一斉! 相続登記講演会・相談会~未来につなぐ相続登記~」 |
<日時> 2018年7月8日(日) 浦添市立中央公民館(本館)3階ホール |
<講演会> 「相続登記、放っておいて大丈夫?」/午後1時~同2時30分 ※入場無料 |
<相談会> 「司法書士による無料相談会」/午後2時45分~同4時45分 ※予約不要だが、定員あり(先着順) |
<問い合わせ> |
県司法書士会事務局(電話=098-867-3526) |
【那覇地方法務局】電話=098-854-7952(来所の際は電話予約を) |
【沖縄県司法書士会】電話=098-867-3526 |
【司法書士総合相談センター】電話=098-867-3577 |
<寄稿>
・相続登記、放っておいて大丈夫?
執筆
那覇地方法務局
不動産登記部門 首席登記官
佐藤典康さん
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1696号・2018年7月6日紙面から掲載