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2017年3月24日更新

頭でっかちにはワケがある[Iさん邸(沖縄県那覇市))]|愛しのわが家・まち

上が大きくて下が小さい“頭でっかち”な家。アンバランスにも思えるその形で家を建てたのはなぜなのか? 施主に遊び心があったから? それとも設計者が独創性を誇示したくて? 2軒の実例を取材して分かったのは、頭でっかちのワケはそのどちらでもないということだった。

施主の人柄からひらめいて

Iさん邸(沖縄県那覇市)

優しくてキュートな形

那覇市のIさん邸は、設計した細矢仁さんいわく、「カピパラのような、優しくてキュートな」形をしている。
「最初に提案したのは、鳥っぽいV字型のデザインでした。そこから始まり、最終的にはずんぐりむっくりした、カピパラみたいな優しい形になりました」
鳥にしろ、カピパラにしろ、なぜそんな個性的な形を提案したのだろう。
「Iさん自身は決して特殊な形の家を望んでいたわけではないんです。しかし、Iさんの人となりがとてもハッピーで、温かくて、楽しくて、Iさんと接しているとなぜか面白い形の建物ばかりが僕の中に浮かんできたんです」

駐車場と庭も確保

施主さんの「ハッピーな」人柄とともに、敷地が持っていた“個性”も、この家の形を決める要因になった。
「敷地の条件もありました。土地が交通量の多い国道に面していたんです」
国道の喧噪(けんそう)から離れるために、細矢さんは家の両サイドを地面から浮かせることにした。このアイデアは、あと二つ、別のことも同時にかなえた。建物が浮いた分1階がコンパクトになったので、敷地に余裕が生まれて、Iさん夫妻が希望した2台分の駐車スペースと「雨の日でも外に出られる庭」をつくることができた。
「僕にとって、この家の形は施主さんの個性と敷地の条件から導き出されたごくごく自然な形です。常々思うことですが、建物は施主さんの個性で決まります。この家に関わって改めてそれを痛感しました」
Iさんの娘さんも一目で気に入ったという”カピパラ”似の家。本物のカピパラのように、いつかのっそりと動き出しそうな雰囲気もちょっぴり漂うその家では、「温かくてハッピーな」施主さん、Iさんとその家族が笑いの絶えない暮らしを日々紡いでいることだろう。



細矢仁さんが設計したIさん邸のデザインは、「前向きで、明るくて、一緒にいると心地よい」施主の人柄から導き出された(提供/細矢仁建築設計事務所)


建物を浮かせた分、2台分の駐車スペースと庭が確保できた。側面を膨らませたのは「キュートな形を目指した」ためと、雨だれの汚れを付きにくくするため


Iさん邸の1階。「どこにいても家族の気配が感じられる住まいがいい」というIさんの希望をくみ、吹き抜けで2階とつないだ(提供/細矢仁建築設計事務所)


「頭でっかちにはワケがある」もう一つのお家は、
眺望と広さにこだわって[Nさん邸(沖縄県南城市)]
 


ライター/馬渕和香
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1629号・2017年3月24日紙面から掲載

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