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2016年10月7日更新

離島出身学生を地域で支援【那覇市繁多川公民館】|共に支える地域のチカラ⑤

2014年から「NPO法人1万人井戸端会議」が運営を受託している那覇市繁多川公民館。さまざまな活動を通し地域で支え合える仕組みづくりに取り組んでいる。

高齢化が進む中、世代を超えて地域で支え合う仕組みをつくろうと頑張っています。

繁多川公民館は真和志地区のまちづくりの拠点となっていて、地域には小中高大学と多くの学校がある。2015年、繁多川公民館では地域で一人暮らしをしている高齢者宅を、離島や遠隔地から進学する学生の下宿先として提供する独自の「GESHUKU事業」を実施。大きな反響を呼んだ。
現在、離島から沖縄本島へ進学する高校生は約600人。そのうち公立寮に入寮できるのは10%程度で、夏休みには寮も使えなくなる。また、繁多川の高齢化率は25・7%と高く、特に独居高齢者を地域で見守る体制づくりは課題の一つ。館長の南信乃介さんは、「部屋を学生の下宿先として提供してもらうことで、高齢者の見守り、生きがいづくりにもなる。学生にとっては金銭的負担の軽減と安心できる生活環境が守られる」と事業の意義を話す。
同事業について、高校の教師からは「生徒は家族のぬくもりを感じて生活ができることで、情緒の安定が見られた」との報告。保護者は「食事や生活面など安心できとてもありがたかった」と感謝し、事業継続を希望する声が多く寄せられている。
「公民館と住民との信頼関係があったからこそ始められた。事業の必要性と同時に、継続には事前のマッチングやルール作りが重要だと感じた」と南館長。今年からは同館を運営するNPO法人へ事業主体を移し、さらなる発展を目指す。

支え合う地域目指し
目指すのは、「社会教育の視点で地域・学校・企業が連携し、持続的に地域で支え合える仕組みをつくること」。地域の豊富な人材を発掘・活用する「すぐりむん認定」や、11月27日に識名園で開催予定の「識名園友遊会」もその取り組みの一つ。後者は、公民館が事務局となり地域住民と企業、学校が連携して取り組む教育・文化まつり。地域のつながりを強め、魅力の発信にも一役買っている。
「地域で支え合う具体的な取り組みの中で育まれた子どもたちが、また地域を創造する人になる。将来に希望を持ち、生きていく喜びを感じることができる」と力を込めた。
◆ ◆ ◆
「歴史と文化、そして豊富な人材が繁多川の魅力」と胸を張る南館長。その誇りと愛情が、地域づくりの原動力になる。


地域で一人暮らしをする高齢者宅に下宿した沖縄工業高校駅伝部の学生たち=2015年8月(繁多川公民館提供)


公民館あたりから見た繁多川地域


識名園を会場にした「識名園友遊会」(玉井栄良実行委員長)では、伝統芸能の演舞、園内めぐり、出店などが楽しめる


那覇市繁多川公民館館長 南 信乃介さん(35)

地域の名人を認定​
Q. 繁多川公民館はユニークな取り組みが多いですが、「すぐりむん認定」とは?
A. 南  地域の豊富な人材を発掘・活用することを目的に「すぐりむん」と称した名人認定を行っています。「島言葉(シマクトゥバ)」「豆腐づくり(トウフジュクイ)」「物知り(ムヌシリ)」「おいしい料理作り(マーサムンチュクヤー)」など、現在さまざまな分野で78人が認定。公民館の講座などへの協力など、具体的な活動へとつながっています。
すぐりむんの皆さんは地域の誇りを伝える伝道者。子どもたちや若者を育み、地域の魅力を支えてくれています。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1605号・2016年10月7日紙面から掲載
 

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