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2017年1月27日更新

RC造編② 品質の良いコンクリートとは?|構造のはなし[10]

家づくりの代表的な構造体について、専門家が分かりやすく解説する。RC造編2回目は、品質の良いコンクリートについて。建築士の根路銘安史さんは、「コンクリートの密度を高めるほど、強度と耐久性のある品質の良いコンクリートになります」と話す。

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密度高めるほど良質になる


写真左側が密度の高いコンクリートの断面。右は一般的なコンクリートの断面。左側には空気の小さな穴がほとんどみられず、強度も耐久性も高い


化学反応で硬化する
まず、鉄筋コンクリートの材料について説明します。コンクリートは、セメント、水、砂、砂利、混和剤等を混ぜ合わせて固めた物です。
セメントの材料である石灰岩は、本部半島で採れます。砂利と砂の骨材も一般的に、その石灰岩を砕いた物が使用され、除塩した海砂も使用されています。
鉄筋は再生鋼材等が使われ、ベニヤ板の型枠以外は、ほとんど沖縄で生産されています。
コンクリートは乾燥して固まるのではなく、水とセメントの水和反応で固まります。セメントが水と徐々に反応し、ガラス質の結晶を生成していきます。
接着剤となるのはセメントと水を混ぜたセメントペーストです。水が多いと表面がひび割れたり(乾燥収縮ひび割れ)、接着剤としても弱くなります。水とセメントの比率は、水の少ない配合が強度と耐久性を増します。
コンクリートは、大きさの異なった大小の固い石を隙間なく詰め、その間を接着剤で固めた密度の高い状態が理想です。そのために必要なのは、なるべく水と砂を少なくすることです。
水と砂が多ければコンクリートが柔らかく、作業性は良くなります。逆に少ないと作業人数や振動機の数、打設の時間も長くなり、その分の費用も上がりますが、強度と耐久性は増します。

表面の密度で耐久性
コンクリート表面は、型枠をはずした後に表面を水で覆い水和反応を促し、ガラス質を生成させることにより密度が高くなります。
水養生せずに表面の水分がなくなるとセメントが反応できず、手で触ると未生成セメント等の白い粉が付きます。その表面組織は、目が粗くて水や空気が進入しやすく、中性化や塩分の進入が早くなってきます。打設後には、水の養生が必要です。

水の使い方が重要
生コンの状態では、水が少ない方が良く、打設後は十分に水を与えることが必要です。
そのために必要な打設方法は次の通りです。
①打設前の型枠や鉄筋には十分に散水します。
その目的は、温度を下げることと摩擦抵抗を減らすことです。
温度は、コンクリートの硬化に影響を与えます。摩擦抵抗が少ないと、生コンと鉄筋や型枠との滑りが良くなり、空気を巻き込まなくなります。そのため鉄筋との接着が良くなり、コンクリート表面はピンホール(小さな穴)などがないきれいな面となります。
②打設は丁寧に行い、水と空気をすべて抜きます。
バイブレーター等の振動機で、生コン内の水と空気をすべて抜くことを心掛け、丁寧に打設します。少し時間をおき、鉄筋や砂利の下にたまった水や空気を再度、バイブレーターを使って抜くのも効果があります。そのためには、分離しにくい生コンの配合が必要です。
③打設後は、コテによる加圧で表面密度を上げ、十分に水養生します。

打設における散水、水養生のポイント
コンクリートをあらかじめ組まれた型枠のなかに打ち込む打設では、次のような養生が行われる。
 コンクリート打設前 

型枠、鉄筋に散水する

 コンクリート打設後 

水をためて水養生する

 型枠を取り外した後 

コンクリート表面をビニールで覆い、水分を保つ

◇ ◇ ◇

次回は「魅力とメリット」です。


執 筆 者ねろめ・やすふみ/アトリエ・ネロ代表。一級建築士、専攻建築士。高品質なコンクリートづくりに取り組む。

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1621号・2017年1月27日紙面から掲載

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