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2017年1月20日更新

建築紛争防ぐには冷静・誠実に対応|楽しい!ものづくり 沖縄未来建築塾2016より⑩

若手建築士の育成などを目的に行われている「沖縄未来建築塾」。2016年12月20日に開かれた6回目は、建築士や弁護士が、「建築をめぐるトラブル・紛争について」説明したほか、昨年、多くの塾生が参加した設計競技「ティーダフラッグス2016」を振り返った。塾生の勝連健さん(24)は、建築をめぐるトラブルの実情を聞き、「もしものときの対応を学ぶことができた」と話す。勝連さんの視点から、6回目の塾の内容を紹介する。

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12月20日に開かれた塾の第一部の様子。ベテラン建築士や弁護士が建築紛争について説明した


塾の二部、ティーダフラッグスコンペに出した作品を改めてプレゼンした。プレゼンした生徒は緊張している様子だったが勉強になったと話していた

◆建築トラブル防ぐ3ポイント
4人の講師が話した建築紛争予防のポイントは大きく分けて三つあった。
第一は、建築基準法に適合する建築物を設計することだ。建築基準法に適合していても民法などの法律に違反していることもあり、建築士が求められる知識の幅は広いことを痛感した。
施主は、建築士なら基準法を熟知していると思って要望を伝えるため、対応するためには日々の自己研鑽が不可欠だと感じた。
第二は、施主とのコミュニケーションを大切にすること。施主の価値観や趣味を引き出すだけではなく、潜在的な考え(+α)を引き出し、建築物へと反映させることが建築士の仕事である。
そのためにはイメージの共有が重要となる。専門用語を用いずに説明したり、言葉だけではなくスケッチで考えを伝える、などの手段が有効だと話していた。そして、考えを理解してもらえるように根気強く説明することも大切だと学んだ。
第三に書類・記録を保管すること。設計変更による追加工事後の金銭トラブルの発生が見受けられるという。その際に書類や記録があれば、裁判を回避しやすくなる。仮に裁判になったとしても書類を証拠として提出できる。
また、設計の契約を結ぶ前の施主とのやりとりを業務として行う場合と、サービスとして行う場合があるが、その境界を曖昧にせず書面などに明記することもトラブルを回避する手段の一つだと話していた。
これら三つのポイントを順守してもトラブルが起こるケースはあるそうだが、順守することで施主に対し、冷静かつ誠実な対応が可能だと話しており、とてもためになった。

◆先輩の助言 実務に生かしたい
第二部では、「ティーダフラッグスU-40コンペ」に参加した塾生が、自分の作品のプレゼンテーションをした。コンペでは、1次通過者しかプレゼンできなかったため、こうした機会を与えられたことは非常に有意義な時間であった。
発表後には、講師からコンペの際の設計手法・プレゼンに対する心構えなどの助言があった。CG(コンピューターグラフィックス)での作品が多い中、模型や手描きの絵が与える印象の違い・プレゼンの内容の発表順序や構成といった具体的な話は、特に参考になった。
残り2回となった建築未来塾でも多くの知識・考えをインプットし、実務でアウトプットできるよう精進する所存だ。


文/ 勝連健(沖縄未来建築塾受講生、mino archi-lab所属)

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1620号・2017年1月20日紙面から掲載

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