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2016年11月4日更新

学習支援し居場所づくり【名護市大中公民館の「無名塾」】|共に支える地域のチカラ⑥

名護市の大中公民館で、小中学生の学習支援を行う「無名塾」。地域の協力を得て、子どもたちの放課後の居場所づくりと学習環境を支えるボランティアの取り組みが、注目されている。

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共働きも多く、子どもたちの居場所と学習環境づくりが課題。地域の協力で、少しずつ進んでいます。

大中公民館では毎週水、木、金曜日に、ボランティアによる小中学生の学習指導が行われている。その名も「無名塾」。子どもたちは宿題や、やりたい課題を持ち寄り、講師の斉藤佳代さんと一緒に勉強に励む。
同塾はことし1月にスタート。息子の療養のため昨年、名護市に移り住んだ斉藤さんが、大中区の協力を得て開いた。東京の進学塾や大学で講師をしていた斉藤さん。「東京との所得、学習環境や情報の格差に驚いた。共働きが多い沖縄では、子どもの放課後の居場所づくりも課題。友人から『学習支援する場を作ってほしい』と言われ、どうにかできないかと考えました」と話す。
友人を通じて大中区に相談し、公民館の使用を取り付けた。「区長さんも、地域の子のために何かしたいという思いを持たれていたよう。理解していただき、ありがたかった」
授業は午後5時~6時30分。毎回10人ほどの小中学生が集まる。「学びたいときに通いやすいように」と、受講料は1回300円に設定した。開校当初から通う名護小6年の葉貫宗一郎くんは、「苦手だった理科で100点も取れるようになって、うれしい」と笑顔。
斉藤さんは、「継続して通っている子は特に、勉強に取り組む意識が変わってきています。小学校の教頭先生から、『通っている子が、学校生活でも落ち着きを取り戻した』と感謝の声もいただきました」と喜ぶ。

地域連携で環境整え
活動を続ける中で地域の関心、協力も深まった。大中区では、倉庫となっていた公民館の一室を教室として使えるように整備。タブレット端末の導入も進める。また、同区にゆかりのある企業からパソコンが寄付されるなど、学習環境の整備が進んでいる。
斉藤さんは、「子どもの学習意欲を育む一つが、『学びの環境』。地域と連携して学力向上につなげたい」と力を込めた。
◆ ◆ ◆
講師を務めるのは、斉藤さんのほか、海外での生活経験のある女性や国立高専の学生など4人のボランティア。「休み時間に、先生方の経験談を話してもらうことも。話を聞くことで視野が広がり、将来の選択肢や意欲が増すきっかけになれば」。地域の大人の温かな関わりが、子どもたちの未来を開く。


「宿題を出そうと思うんだけど、できる?」。斉藤さん=左端=の問い掛けに、この日、塾に集まった小学生は「文章問題がやりたい!」「僕は漢字がいい」と元気いっぱい=10月26日、名護市大中公民館


塾が開かれる大中公民館の周辺。商店街にも近く県立北部病院など公共施設も点在する


企業からの寄付で、公民館の図書室には子どもたちが使えるパソコンも用意された


ボランティア塾「無名塾」代表 斉藤佳代さん(37)

募金で教材の拡充図る
Q. ネット上で募金を募るクラウドファンディングを利用して、学習教材などの充実を図っていますね。
A.  斉藤  塾で学んで、いま高校に通う生徒の受け入れや、中高一貫教育の受験にも対応できる教材などを購入するために、クラウドファンディングに挑戦しました。おかげさまで目標額を達成し、参考書や問題集などを充実させることができました。

北部にはまだ中高一貫教育校はありませんが、小学5、6年生は、受験用の問題に触れるだけでも刺激になると思う。問題が解けた経験は、勉強への意欲につながります。都市と地方の学力差を埋めるお手伝いをしていきたいと思っています。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1609号・2016年11月4日紙面から掲載
 

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