防災
2024年1月26日更新
火災保険だけでは不十分! 地震保険の基礎知識
1月1日に発生した能登半島地震では多くの人が犠牲となった。家屋の倒壊も多く、大災害の恐ろしさを痛感するとともに備えの大切さを再認識した。今回は、地震で被災した時の助けになる「地震保険」の基礎知識について、(一社)日本損害保険協会沖縄支部の松代貴志事務局長に聞いた。
Q1 地震保険に加入するには
A・国と保険会社が共同で運営している保険のため、どの会社も内容は共通です。
1964年6月に起きた新潟地震(マグニチュード7.5)を受け、66年に地震などによる被災者の生活の安定に寄与するため「地震保険に関する法律」が制定されました。地震保険はそれに基づき、政府と民間の保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。したがってどこの保険会社でも、補償内容や保険料は共通です。
Q3 補償の対象と保険金
A・地震・津波・噴火を原因とする火災や損壊、流失などの損害をカバーします。
地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)を補償します。対象となるのは「建物」と「家財」で、それぞれ別で加入する必要があります。契約できる金額は付帯する火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で、限度額は建物は5000万円、家財は1000万円です。支払われる保険金は、損害の程度に応じます=下表。
※例えば……地震保険【建物】に加入。契約金額は1000万円、損害が【大半損】だった場合、支払われる保険金は(1000万円×60%)で600万円
地震による火事や津波被害は火災保険の対象外! 火災保険は、地震による火災や倒壊、津波による被害は補償対象外です。したがって、地震のリスクに備えるためには地震保険が必要です。
Q4 保険料は
A・県内の鉄筋コンクリート造の建物で契約金額が1000万円の場合、年間保険料は1万1600円。割引制度もあります。
保険料は、基本的に建物の構造や所在地によって決まります=表①。ちなみにイ構造は主として鉄骨や鉄筋コンクリート造、ロ構造は主として木造です。所在地に関しては、地震発生の危険度などに応じて都道府県別に細分化されています。沖縄は鉄筋コンクリート造で1160円、木造で1950円です(いずれも契約金額100万円あたり)。免震・耐震性能が優れていると割引が受けられる=表②=ほか、長期一括払い(最長5年)でも割引されます。
①地震保険の年間保険料(契約金額100万円あたり)
※2022年10月1日以降に保険期間が始まる契約に適用
※イ構造は主として鉄骨・コンクリート造の建物。ロ構造は主として木造の建物
※紙面の都合上、全都道府県は記載していない
②割引制度 ※割引を受けるためには所定の確認資料の提出が必要
※①~④の割引は重複して適用を受けることはできない
沖縄県は地震保険の付帯率 全国ワースト2位
2022年度の火災保険の契約件数のうち、地震保険をセットした契約件数の割合(付帯率)をみると、全国平均は69.4%、沖縄県は57.6%でした。全国平均より11.8%低く、長崎県に次いで全国ワースト2位です。
沖縄は地震が少ないという声を聞くこともありますが、2023年に発生した震度1以上の地震は80回で、全国13番目に多いです。決して地震のリスクが低いとは言えません。さらに、海に囲まれているため地震による津波のリスクもあります。
地震保険の保険金だけで、必ずしも元の家を再建できるわけではありません。しかし使途が限定されていないので、生活費、住宅ローンの返済、車の購入など被災後の生活再建を支えてくれます。防災リュックの準備や避難場所の確認など、日頃の備えはもちろん、地震保険による「経済的な備え」も大切です。
保険料のシミュレーションや地震発生リスクが分かる
日本損害保険協会は地震保険の特設サイト(https://www.jishin-hoken.jp/)を設置しており、地震保険の詳細や、都道府県別の地震発生リスクなどを知ることができます。保険料のシミュレーションもできます。
【教えてくれた人】
まつしろ・たかし
(一社)日本損害保険協会沖縄支部事務局長、琉球大学非常勤講師、防災士
https://www.sonpo.or.jp
A・必ず火災保険とセットで契約。単独契約はできません。
地震保険は、単独では加入できません。必ず火災保険とセットで加入する必要があります。現在、ご加入の火災保険に地震保険をセットしていない場合、契約期間の中途からでも加入できます。
A・国と保険会社が共同で運営している保険のため、どの会社も内容は共通です。
1964年6月に起きた新潟地震(マグニチュード7.5)を受け、66年に地震などによる被災者の生活の安定に寄与するため「地震保険に関する法律」が制定されました。地震保険はそれに基づき、政府と民間の保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。したがってどこの保険会社でも、補償内容や保険料は共通です。
Q3 補償の対象と保険金
A・地震・津波・噴火を原因とする火災や損壊、流失などの損害をカバーします。
地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)を補償します。対象となるのは「建物」と「家財」で、それぞれ別で加入する必要があります。契約できる金額は付帯する火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で、限度額は建物は5000万円、家財は1000万円です。支払われる保険金は、損害の程度に応じます=下表。
※例えば……地震保険【建物】に加入。契約金額は1000万円、損害が【大半損】だった場合、支払われる保険金は(1000万円×60%)で600万円
地震による火事や津波被害は火災保険の対象外! 火災保険は、地震による火災や倒壊、津波による被害は補償対象外です。したがって、地震のリスクに備えるためには地震保険が必要です。
Q4 保険料は
A・県内の鉄筋コンクリート造の建物で契約金額が1000万円の場合、年間保険料は1万1600円。割引制度もあります。
保険料は、基本的に建物の構造や所在地によって決まります=表①。ちなみにイ構造は主として鉄骨や鉄筋コンクリート造、ロ構造は主として木造です。所在地に関しては、地震発生の危険度などに応じて都道府県別に細分化されています。沖縄は鉄筋コンクリート造で1160円、木造で1950円です(いずれも契約金額100万円あたり)。免震・耐震性能が優れていると割引が受けられる=表②=ほか、長期一括払い(最長5年)でも割引されます。
①地震保険の年間保険料(契約金額100万円あたり)
※2022年10月1日以降に保険期間が始まる契約に適用
※イ構造は主として鉄骨・コンクリート造の建物。ロ構造は主として木造の建物
※紙面の都合上、全都道府県は記載していない
②割引制度 ※割引を受けるためには所定の確認資料の提出が必要
※①~④の割引は重複して適用を受けることはできない
沖縄県は地震保険の付帯率 全国ワースト2位
2022年度の火災保険の契約件数のうち、地震保険をセットした契約件数の割合(付帯率)をみると、全国平均は69.4%、沖縄県は57.6%でした。全国平均より11.8%低く、長崎県に次いで全国ワースト2位です。
沖縄は地震が少ないという声を聞くこともありますが、2023年に発生した震度1以上の地震は80回で、全国13番目に多いです。決して地震のリスクが低いとは言えません。さらに、海に囲まれているため地震による津波のリスクもあります。
地震保険の保険金だけで、必ずしも元の家を再建できるわけではありません。しかし使途が限定されていないので、生活費、住宅ローンの返済、車の購入など被災後の生活再建を支えてくれます。防災リュックの準備や避難場所の確認など、日頃の備えはもちろん、地震保険による「経済的な備え」も大切です。
保険料のシミュレーションや地震発生リスクが分かる
日本損害保険協会は地震保険の特設サイト(https://www.jishin-hoken.jp/)を設置しており、地震保険の詳細や、都道府県別の地震発生リスクなどを知ることができます。保険料のシミュレーションもできます。
【教えてくれた人】
まつしろ・たかし
(一社)日本損害保険協会沖縄支部事務局長、琉球大学非常勤講師、防災士
https://www.sonpo.or.jp
取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1986号 2024年1月26日紙面から掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:349
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。