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2023年2月3日更新
「引っ越しは家事をラクにするチャンス!」 空間デザイン心理士®︎がそう語るワケ|家と心理⑪
新年度に向け、引っ越し準備に追われる人も多いでしょう。引っ越し作業やその後の暮らしが楽になる手順を、本紙で「家と心理」を連載するまえうみさきこさんに教えてもらいました。カギは「家具の配置や、各居室に収納するモノを入居前に決める」こと。荷造りや荷ほどき、新居の収納不足にお悩みの方必見です。
モノの配置は入居前に決める
県内唯一の空間デザイン心理士®で、一級建築士、2児の母でもある、まえうみさきこさんが空間を心理学的に解析。今回は暮らしの一大イベントである「引っ越し」を機に、日々の生活を快適に整えるテクニックを紹介します。
「その場で決める」はロスのもと
新居の収納量を確認
引っ越したものの、「モノの置き場が決まらずいまだに開けていない段ボールがある」という声を度々耳にします。せっかくの新居なのに、段ボールと生活するなんてもったいなーい!
引っ越し作業は、住まいを整えるチャンスでもあります。引っ越し前にやっておくことは二つです。
①モノを減らす。
②家具の配置とモノの収納場所を決める。
まず①について。実は荷造りの時こそ、モノを最適な量にするグッドタイミングです。
モノを減らせば引っ越し作業がラクになり、運搬費用も安くなります。今までよりも狭い部屋に引っ越す場合は荷物を減らすことが肝心です。
どれだけ減らすかは、新居の収納量をチェックすることで見えてきます。例えば、今までの家では靴箱の棚が5段あったのが新居は3段になるのなら、2段分の靴はあふれてしまいます。現実的に持って行けるモノの量を知るためにも、内覧の際に新居の収納も必ずチェックしてください。
引っ越し前にすべきこと
①モノを減らす
②家具の配置を決め、収納計画を立てる
間取り図で家具配置
次に②家具の配置を決め、収納計画を立てる―です。
家具の配置は、部屋の寸法と家具の実寸を合わせて考えましょう。そうすれば搬入時に「入らない! どうしよう」というトラブルを防ぐことができます。
私がおすすめするのは、新居の間取り図に家具を書き入れることです。間取り図は不動産業者から入手しましょう。平面図の縮尺が100分の1のものなら、1㍍=1㌢となり分かりやすいです。
そして収納計画を立てます。収納計画を立てておくと、引っ越し時に荷物の搬入場所が的確に指示でき、作業がスムーズに進みます。現地で決めようとすると、運搬スタッフの手が止まってしまい結構な時間のロスが生じます。
収納計画を立てるときは、「生活動線」と「家事動線」を意識します。生活動線とは生活で移動するルート、家事動線とは、家事で移動するルートです。
例えば私の生活動線は、起床したら洗顔と歯磨きをするために洗面室に移動し、そこで化粧もします。それを踏まえると、化粧品は洗面室に収納した方がスムーズです。
家事動線は、日々の洗濯、掃除、料理をする際の動線をもとに考えます。
例えば洗濯。最近は洗濯・乾燥機を導入しているご家庭も多く、昔のように洗濯物を干す、という動線よりは洗濯機から収納場所にしまうまでの動線が短くなるよう考えることも多いです。
◆ ◆ ◆
いかがでしたか? 引っ越しは事前の準備が大切です。
・新居を下見したり間取り図を入手して、新生活のイメージや収納計画を明確にする。
・スケジュールや段取りをきちんと立てる。
の二つで作業がスムーズになり、その後の暮らしが快適になります。参考になさってくださいね。
効率的な引っ越しの手順
1.新居の収納量を事前に確認し、新居に持って行くモノ、持って行かないモノを分ける。
2.引っ越し業者に見積もりを依頼する。引っ越しの1~2カ月前に依頼しておくと慌てずに済む。
3.新居での家具の配置を決める。不動産屋から間取り図を入手して、家具を書き入れていくと考えやすい。
4.収納計画を立てる。自分や家族の動線を意識しながら、「各部屋の収納ごと」に収納するモノを検討。
5.不用品はリサイクルショップに引き取ってもらい、なるべく持っていくモノを少なくする。
6.段ボールに荷詰めをする。部屋ごとに分けると搬入時、ラクになる。段ボールには部屋名と内容物を記入する。
7.引っ越し当日! 引っ越し業者に家具配置やどこの部屋にどの段ボールを置くか書いた間取り図を渡して搬入は任せ、自分は業者が荷物を運びこむと同時に段ボールを開けて、部屋に収納する。このときに事前の収納計画が役立つ。
8.荷ほどきは、大きな家具とすぐに必要となるものから開けていきます。例えば、カーテン、食器、洋服などから出しておきましょう
収納が足りない時のアイデア
新居で、どうしても収納が足りない場合もありますよね。そんなときはつくっちゃいましょう♪ 私の家(賃貸アパート)で実践しているアイデアを紹介します。壁やちょっとした隙間があればできちゃいますよ。
即席クローゼット
壁面すべてを利用してクローゼットを作るアイデア。キャスター付きのラックを使えば移動も可能(写真/ディノス)
壁面収納
壁面を利用した収納。カラーボックスで作ったり、スチールラックや突っ張り棒などを利用すれば壁の広さをフル活用できる(下写真/ディノス)
家具付き収納
家具付きの収納にすれば、デッドスペースや隙間が活用できる(写真/ディノス)
家具付き収納
家具付きの収納にすれば、デッドスペースや隙間が活用できる(写真/ディノス)
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1935号・2023年2月3日紙面から掲載