［沖縄］建築系学科がある大学・大学校②｜県立芸術大学（那覇市）美術工芸学部デザイン専攻

多彩な分野のデザイン学ぶ

県立芸術大学（那覇市） 美術工芸学部デザイン専攻は

◆学ぶ領域はデザイン全般。グラフィック、イラストやアニメ、建築やインテリア、プロダクトなど。多彩な授業の中から、学生が主体的に興味のある分野を選択できる

◆そのため就職先はさまざま。在学中に建築系の分野に興味を持ち、その道に就職する生徒も少なくない

※オープンキャンパスは毎年３月・６月・７月ごろ開催。

過去の就職先／㈱アレックス、㈱コンセプション、WSP（中国の建築会社）、㈱国建、そら植物園など。　※インテリアや店舗設計、都市計画系の会社が多く、ゼネコンやハウスメーカー系への就職は少ない
 
県立芸術大学の「デザイン専攻」は、建築やインテリア、グラフィック、アニメーション、イラスト、家具やパッケージデザインなど、あらゆる分野のデザインを広く学べる。デジタルからアナログまで満遍ないカリキュラムが魅力だ。

同専攻で建築系の授業を受け持つ宮里武志准教授は「初めから『建築を学びたい！』と入学してくるというより、さまざまなデザイン制作をやってみて、後天的に建築に興味を持つ、という感じ」と話す。ちなみに建築関係に就職する学生は同専攻の定員２０人のうち「毎年２人前後が設計関係で、プロダクトデザイン系は３人くらい」。
 

ものづくりに適した時間割

カリキュラムも、ものづくりに特化した芸大ならでは。毎日、午前が座学で午後は実技。

授業内容は、１年次では絵画や工芸、デッサンなど造形基礎を通して描写力や構成力を養う。建築系の授業は簡単な模型を作る「空間構成」がある。

２年～３年次は選択制。多彩なデザインの授業から、興味がある分野を選ぶ。建築系では、設計の実務に欠かせない「建築ＣＡＤ」や模型制作、街に出て都市計画を考える授業など。４年次は卒業研究を行う。

「芸大は就職率が低そうと言われるが、デザイン専攻の就職率は良いし、大学や研究生として学びを深める学生もいる。どの業界もニーズが多様化する中で、広い視野を持った人材が求められている。建築業界に進むにしても、美術系の思考力があると、他の人とは違う発想につながる」。

ただし、他大の建築系学科では卒業後に建築士の受験資格が得られるが「当校では建築法規など資格認定の専門科目がなく、実務経験を積まなければ受験資格が得られないのがネック」と話した。



 わが校のここがイイ！ 

デザイン専攻３年
西銘紗希さん＝左、豊川麻央（まちか）さん

◆県芸のデザイン専攻で大変なこと、良かったこと
（西銘）興味があった建築の分野に限らず、広告やアニメーション、家具や文房具など身の回りのさまざまなデザインについて学べることが良かったです。美術の分野も学ぶことができるので、その知識が建築の造形的な部分でも生かせています。大変なのはコロナ渦で午前の授業は自宅でオンライン、午後の実技は学校で行うための移動ですね。
（豊川）建築やインテリアをもっと芸術的な観点から捉え柔軟に考えることができると感じています。大変なことは芸大ならではの奇想天外で意表を突く同級生の作品を見て、自分はまだまだだと感じる時かな。ですが、思考する中でアイデアを形にできた時は、自分を見つけた感じがしてうれしいです。

◆将来の夢
（西銘）将来はテーマパークや美浜の「アメリカンビレッジ」のような大がかりな設計をやってみたい。卒業しても伸び伸びとしたアイデアを大事にして、仕事に生かせていけたらいいなと思っています。
（豊川）ものづくりを続けていけたら良いなと思っています。まだ、空間を満たす要素一つを考える事で精いっぱいですが、卒業後は空間デザイン系の仕事に就けたらと今は考えています。


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取材／東江菜穂・出嶋佳祐・市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1917号・2022年9月30日紙面から掲載