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2022年1月21日更新
[沖縄]withコロナの部屋探し事情
新生活に向けた引っ越しシーズン到来!部屋探しの現状、コロナ禍でも接触機会を減らす探し方を県内不動産業者に聞いた。部屋探しから引っ越しまでのステップも参考に計画的に動こう。
理想の部屋は情報集めが鍵
県内不動産会社によると、コロナ禍の引っ越し控えで物件数は例年よりも少なめ。タイミングや需要の高まりを見越して、早めに部屋を決めたり引っ越ししたりする人もいるという。そのような中、情報量も豊富で内覧の疑似体験までできるインターネットが重宝。接触機会を減らすことにも役立つ。物件数減 小まめに探す
進学、就職、子どもの入学―。新生活に向けて引っ越しを考える人も多いだろう。「物件数が最も多くなるのは例年3月ごろ。ただ今年は、コロナ禍だから早めにと、2月中に引っ越しする人もいます」と話すのは、中部興産具志川店の我如古和貴さんと仲村渠舞さん。
一方、コロナ禍で引っ越しを控える人もいて、例年より物件の動きは鈍く、空き物件の数も少なめだという。「需要が高まることを見越して、内覧せずに即決する人もいる。すでにキャンセル待ちする人も出始めています」
昨今の部屋探しはインターネットが主流。「当社もそうですが、これから空く予定の物件も含め、全ての物件を自社ホームページや物件情報サイトで公開しているところがほとんど。来店して探すのと変わらない情報量です。理想に近い物件をインターネットで小まめにチェックしておくといいでしょう」と仲村渠さん。
最近は内観を動画などでも紹介する。同社では店頭でVR(バーチャルリアリティー)映像を使った内覧体験が可能。「パソコンやスマホなどで見られる360度映像もホームページなどで公開しているので、ご自宅で疑似内覧もできますよ」。
敷金ありが退去時安心
敷金礼金なしの物件が近年増えている。敷金は貸主に預ける保証金で、退去時の清掃や原状回復の修繕費にも充てられ、差額分が戻ってくる。「敷金ありの場合、退去時、急にお金が必要になるといった心配が少なくなります」と我如古さん。そのため同社は、敷金なしの物件では、前もって清掃費を預かるようにしているという。
賃貸から賃貸へ引っ越す場合、退去と入居のタイミングも気になる。「入居日を決めてから退去届を出すのが安心」と2人。特に、これから空く予定の物件は要注意。「コロナ禍の影響で清掃員の人手不足や修繕設備の入荷遅れなどがあり、入居日の目途がつけにくい。新居の不動産会社と相談しながら決めてほしい」と話した。
中部興産具志川店 賃貸営業部
仲村渠舞さん(左)、我如古和貴さん
賃貸物件管理件数で県内トップの実績を持つ同社。引っ越しシーズンに合わせ、3月末までの賃貸契約者を対象に「住み替え応援キャンペーン」を実施中。契約時にQuoカード500円分をプレゼント。抽選で家電や家具に使える商品券も当たる
ステップ1 理想に合った部屋を探そう
引っ越し計画のファーストステップは、理想の部屋をイメージすること。収入に見合った家賃、家族に合わせた間取り、通勤・通学しやすいエリアなど、新生活をイメージしながら条件の優先順位をつけてみよう。インターネットで物件情報サイトや不動産会社ホームページへアクセス。新しい物件情報が次々アップされるので、スキマ時間などを使って小まめにチェックするのがおすすめ。防犯面や家事のしやすさ、今の住まいで改善したいところなども設備類でカバーできるか見てみるといいだろう。
【部屋探しでチェックする点】
◆毎月の家賃や共益費
◆間取り、階数
◆築年数
◆エリア
インターネットだと物件の所在地がマップアプリなどで確認できるので、通勤・通学の所要時間も把握しやすい
◆設備…インターネット(Wi-Fi)、エアコン、バス・トイレの配置、室内洗濯機置き場、衣類乾燥機、オートロック、宅配ボックス、温水洗浄便座など
◆駐車場、エレベーターなど建物の設備
◆敷金…貸主に預ける保証金で、相場は家賃1カ月分。家賃滞納時の補てん、退去時の清掃・修繕費などに充てられる。退去後に差額分が返金される。敷金なしの物件でも退去時用の清掃費を前払いする場合がある
◆礼金…貸主に対して、部屋を貸してもらうお礼の意味で渡す一時金で返金はない。相場は家賃1カ月分。那覇などの昔からある住居エリアでは、礼金あり物件が多め
※初期費用には、敷金礼金のほか、初月分の家賃、火災保険料や仲介手数料などが含まれる
ステップ2 パソコンやスマホで疑似内覧
中部興産が公開する360度映像。画面上で指をスライドすると床を歩くように室内を移動でき、壁をスライドすると見える方向が変わるまるで部屋の中を歩くように操作できる360度映像や動画などが公開されている。家にいながら内装、収納の配置、コンセントやエアコンなどの設備配置などが確認できる。人との接触機会を減らすため実際に内覧する物件数を絞り込む、または内覧に行けない場合などに役立つ。
ステップ3 不動産会社に問い合わせ実際に内覧
【内覧時に確認しておきたいポイント】・日当たり
・窓や収納などの配置と寸法
・コンセント、エアコン、照明などの設備
・駐車場の有無、形状
・水圧(水道を止めていて確認できない場合もある)
・前面道路などの騒音、これまであった苦情
・スーパー、コンビニ、避難所といった周辺施設など
※メジャーやメモ帳持参。夜間の様子も見ておく
ステップ4 入居申し込み・契約
部屋を決めたら入居申し込み、審査(1週間前後)、契約へと進む。契約時には原状回復の範囲など退去時に関わる内容も確認しておこう。現在、賃貸住まいの人は入・退去のタイミングに注意。新居の入居日が決まってから、現住まいの退去届(契約内容によるが一般的に1カ月前)を提出するのが安心。部屋探しから引っ越しまでの流れ
コロナ禍でもスムーズに引っ越しできるよう今日から部屋探し!引っ越し予定を3月下旬と想定して、各ステップや引っ越し準備の大まかな流れをまとめる。□今日からできること
・理想に合った部屋を探そう(ステップ1参照)
・退去届の期限、原状回復などを契約書で確認
□2月中(引っ越し予定1カ月前)
・物件情報を小まめにチェック
・パソコンやスマホで疑似内覧(ステップ2参照)
・不動産会社に問い合わせ・実際に内覧(ステップ3参照)
★新居決定!
・引っ越し業者の手配
・賃貸住まいの人は入居日が決まり次第、退去届を提出
・入居申し込み・契約(ステップ4参照)
・持っていく家具や家電の選別、配置図づくり
・粗大ごみ処分の手配
・学校の転校手続き
□3月上旬(引っ越し予定2週間前)
・インターネットや固定電話の開設・移設手続き
・新聞などの配達先変更、郵便物の転送手続き
・市役所での転出手続き(転出届、印鑑証明など)
・荷造りスタート
□3月中旬(引っ越し予定1週間前)
・近所へのあいさつ
・金融機関やクレジットカードなどの住所変更
・電気・ガス・水道などインフラ停止の連絡
・愛犬の鑑札の住所変更
引っ越しで必要になる諸手続きリスト
□手続き(届け出先|期限)□転出届(現住まいの役所|転居14日前から)
□マイナンバーカード(転出届と同時に変更)
□転入届(新居の役所|転居後14日以内)
□転校手続き(各学校と役所)
□印鑑登録の住所変更(新居の役所|転居後14日以内)
□車庫証明などの住所変更(管轄警察署|転居後15日以内)
□犬の鑑札の住所変更(新居の管轄保健所)
※市町村によっては転出届を郵送やマイナンバーカードを使ったオンラインでできる場合もある。現住まいの市町村ホームページなどで確認を
編集/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1881号・2022年1月21日紙面から掲載