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2021年8月13日更新
【沖縄】土地価格の目安を知る|気になるコト調べます![71]
土地を買う時・売る時、気になる取引価格。その目安になるという行政機関が発表する三つの土地の価格について、特徴や活用法を不動産鑑定士の濱元毅さんに聞いた。
「公示地価」「基準地価」「路線価」三つの価格から
土地価格の目安を知る
行政機関が毎年発表する土地の価格は、①国が発表する公示地価、②都道府県が発表する基準地価、③国税庁が発表する路線価の三つ。「このうち①の公示地価は、取引価格の指標や③の路線価の基準になるなど、重要な役割を持っている」と濱元さんは話す。
近くの地価を目安に比較
土地は一つ一つ立地や形状などが違い、価格が分かりにくいもの。公示地価はその指標となるよう、現在の社会経済情勢も踏まえた適正な価格を国が示したもので、濱元さんは「利害の偏りがない客観的な時価相当の価格」と言い換える。評価地点数は沖縄県内に約190地点で、評価地点がない町村もある。
また、基準地価は公示地価を補う役割があり、同じように取引価格の指標になるもの。評価地点が約280地点、公示地価の約1.5倍あり、県内全市町村にあるのが特徴だ。
公示地価と基準地価は、評価地点となっている土地1平方㍍当たりの価格を発表。併せて、前面道路の状況や建てられる建物の規模、周辺の環境などの条件も公開している。価格を知りたい土地の近くの評価地点を目安にして、「便利な道路に面している」「建てられる規模が小さい」など、条件の違いによって高くなるか低くなるかの比較ができる。
路線価あれば目安価格の算出も
一方で路線価は、相続税や贈与税などの算定基準に使われる土地の価格。公示・基準地価と違う特徴は、評価するのが特定の土地ではなく、特定の道路に面する土地1平方㍍当たりの価格となっていること。既に市街化が進んだ地域では、住宅街の中の道まで細かく価格が設定されている。
もう一つの特徴は、その土地の前面道路の路線価が分かれば、公示地価の評価地点から離れていても目安価格が分かること。法律などに沿って、路線価は他の行政機関が発表する価格とのつりあいや適正、税負担の公平性などを考慮して、国税庁が公示地価の80%程度をめどに設定しており、「逆算して路線価を0.8で割れば、公示地価相当の大まかな価格が算出できる」と濱元さん。公示地価を基準にしたその土地自体の価格が出るので目安にしやすいだろう。
「ただ、これらの価格はあくまでも目安。取引価格は立地や土地形状、『早期売却したい』という売り手の事情、『この土地だからほしい』という買い手の意向などに大きく左右され、実際の取引価格は公示地価から大幅に変動する」と濱元さんは話した。
道路上に記された数字が路線価。沿道の土地1㎡当たりの価格が千円単位で示される。数字末尾のアルファベットは相続税算定時に必要な借地権割合を示す
各機関のホームページで土地価格を公開
◇国土交通省「土地総合情報システム 地価公示都道府県地価調査」(アンケートで得た実際の取引価格も見ることができる)
https://www.land.mlit.go.jp/webland/
◇国税庁「路線価図・評価倍率表」
https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
<気になるコト調べます!一覧>
取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1858号・2021年8月13日紙面から掲載