【沖縄】家はケーキのように分けられない!!~後編~|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[14]文/川端ゆかり|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

2021年12月17日更新

【沖縄】家はケーキのように分けられない!!~後編~|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[14]文/川端ゆかり

離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル
どうも! 川端です。不動産に関わる仕事に携わって四半世紀が経過し「あの時に紹介いただいた、住宅ローンの返済が終わりました。ぶじ完済です。

文/川端ゆかり

タグから記事を探す

夫婦のカタチ 正解はそれぞれ
家はケーキのように分けられない!!〜後編〜


どうも! 川端です。不動産に関わる仕事に携わって四半世紀が経過し「あの時に紹介いただいた、住宅ローンの返済が終わりました。ぶじ完済です。ありがとうございます」と時折ご報告いただくことがあります。不動産エージェントとして感慨深くまた、改めてこの仕事へのやりがいを感じる瞬間です。

一戸建てを購入したけれど…

当時2人目のお子さんがいたOさんご夫妻へ中古の一戸建てをご紹介したのが23年前。

現在は残存年数(耐用年数-築年数)以上の住宅ローン期間がくめるケースも多く見受けられますが、当時は基本的に残存年数=ローン期間の計算式にあてはめられていたため、物件の築年数によってはローン期間も短く、Oさんたちが購入した中古住宅の場合、鉄筋コンクリートブロック造の耐用年数-築年数(47年ー24年)の23年が住宅ローンの期間で、金利は2.3%前後が主流でした。

土地付き築24年2500万円の物件に対して、毎月の返済額は11万3千円で総返済額は3255万円でしたが、途中で金利の見直しを行い、月々の返済を1万2千円減額、返済総額を350万円も圧縮することができました。「わ! プリウス1台分お得になった!」とOさんご夫妻にも喜んでいただけました。

離婚の危機に…

住宅のご購入→リフォーム→住宅ローン金利見直しのご相談など、Oさんご夫妻の人生に触れることのある立ち位置におりましたが、途中「離婚の危機」もありました。

末のお子様妊娠中からご主人の帰宅が遅くなり…ざっくり言うと「元々威圧的な夫に浮気を問い詰めたら、逆切れして妻や子供に暴力を振るうようになった」という内容でした。

話を聞いた私はまだまだ、血気盛んなけんか上等バツイチ30代。そうした際に重要になる「聞く姿勢を持つ」「選択肢を広く」「目指す着地点を明確に」の3点のアドバイスが全くできておらず、完全に怒り心頭でした。

お子様は小学生から保育園児の4人、奥さまはパートの事務職で手取りは月々の住宅ローンにも手が届かないという状況。ご実家の援助を得ていったん距離を置いては? という選択肢も、「夫が嫌がるから」と結婚してから実家兄弟との関係も疎遠になっており、難しい状況でした。

「夫には恐怖しかない」「私に経済力があれば離婚したかった、でも実家にも頼れないし、行動に移す勇気はない。話を聞いてもらえたらいい」という奥さま。4人の子供を女性ひとりで育てるのは大変な決断が要ります。そのお気持ちも痛いほど伝わりました。

それからしばらく奥さまのお話を聞く日々が続きましたが、それが夫に伝わると私との連絡も取ることもできなくなってしまい、結局そのまま疎遠に。ご自宅の近くを通る際など気になりましたが「結局のところ、ご夫婦のことはご夫婦にしか分からない。何かの時にはご連絡いただけるだろう」と、都合よく自分に言い聞かせるしかない私でした。

正解はあなたの中に…

それから時は過ぎ、先日、奥さまから住宅ローン完済のご報告をいただいた時には鳥肌ものでした。その間のご家族の日々はどうだったのか。あの住宅ローンがなければ自由だったのではないか。かなりネガティブな思いがよぎる私をよそに「あの時は誰にも話せないことを聞いてくれてありがとう。子供たちが巣立った今は夫と2人で楽しく暮らしています。すっかり落ち着いていて丸くなって、この人がいなくなったらどうしようって思うの。彼には長生きしてほしい」と、奥さまから感謝の気持ちとお言葉をいただけました。

「ハ? マジで? おみそ汁の塩分マックスとかでなくて?」と冗談交じりに笑いましたが、奥さまの表情も「気」も明るく感じたのでこちらまでハッピーに。そしてしみじみ、「夫婦、家族のかたちの正解ってわからないものだな」と考えさせられました。

ケーキやカステラのように分けられないご自宅。そこに暮らす夫婦のあり方もすっきりと解決することだけが選択肢ではないのかもしれません。
次回は「民泊物件を所有していた場合の離婚」です(^^)/
 

執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり) 1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ
執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1876号・2021年12月17
日紙面から掲載

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2401

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る