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2021年10月22日更新

住まいと暮らしとSDGs②

本コーナーは、住まいと暮らしの中で取り組めるSDGs(持続可能な開発目標)について、読者と共に考えていきます。

トルコキキョウ農家であり、環境生態の国際的な研究員でもある伊波克典さんは、「今の生活には地球1.7個分の資源が必要。まずは暮らしと資源のつながりを知ってほしい」と話す。今月から3回にわたり、持続可能な暮らしに向けた考え方や暮らし・住まいのヒントを、伊波さんに執筆してもらう



今年の資源は7月29日に使い切った

私たちの暮らしは、どのくらい地球の資源を「使い過ぎ」ているのか。それを表す象徴的な日があります。それが「アース・オーバーシュート・デー」。自然の再生能力で生まれる1年分の資源を人間が消費し尽くす日のことで、国際調査研究機関グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)により毎年算定されます。

2021年の世界のアース・オーバーシュート・デーは7月29日。つまり、人類は今年分の資源を8月までに全部使い切ったことになります。残り5カ月は、将来の資源を切り崩して生活するしかありません。このような自然の再生能力を超える消費生活は1970年代から続いているといわれ、耕作地の生産性の低下、漁場資源の枯渇、森林伐採による生物多様性の損失、地球温暖化などの問題につながっています。


​ 図1 生活と自然資源のつながり

 生活は自然の恵みから成り立つ。食料は牧草地・漁場・耕作地から家の木材は森林から生産される。建物や道路などは生産地を覆い排出したCO2は木々が吸収する

現代の生活は地球1.7個分の資源が必要

私たちの暮らしとつなげて見てみましょう。例えば、朝食に食べたパンやリンゴは耕作地で農家が栽培したもの、牛乳は牧草地でつくられた酪農製品、昼食で食べた魚は海の漁場から捕れたものです
=上図1。車やバス、電気の使用などで出る二酸化炭素は森林地で吸収されます。このように、私たちの生活は、朝起きてから夜眠るまで、自然の恵みに支えられています。

食料の消費や二酸化炭素の排出といった、生活で使う・排出する資源の量を「エコロジカル・フットプリント(エコフット)」と呼びます=図2
一方、食料生産や二酸化炭素の吸収といった、自然が再生する資源の量を「バイオキャパシティ」と呼びます。家計の収支バランスを見るようにこの両方を比べ、バイオキャパシティの方が大きければ黒字、エコフットの方が大きければ赤字となります。残念ながら、現在の世界的なエコフットは地球
1.7個分にも達し、とても持続可能な状態とはいえません。


 図2:エコロジカル・フットプリント


エコロジカル・フットプリントは、人々の生活が環境に与える負荷を表す指標。どこからどれくらいの資源を得ているかを見える化する

資源の「使い過ぎ」をなくし、地球1個分の暮らしに戻すためには、エコフットを減らし、バイオキャパシティを高める活動を、日々の暮らしの中で実践していくことが大切になります。幸いなことに、多くの試みと工夫がすでに動き出しています。次回は、沖縄のエコフットについて考察していきたいと思います。

(図:WWFジャパン、グローバル・フットプリント・ネットワーク)



屋根の表面温度を測る知念さん。測定している白セメント部には遮熱効果が期待される炭酸カルシウムの粉が混ぜられている。知念さん宅では芝と畑で屋根を緑化し、屋根コンクリートが熱せられるのを抑え、天井に伝わる熱を抑えている

執筆者

伊波克典/いは・かつのり。
1973年、読谷村出身。グローバル・フットプリント・ネットワーク研究員。トルコキキョウ農家でもあり、沖縄の自然資源循環を研究している

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1868号・2021年10月22日紙面から掲載


 

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スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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