ローン完済! 笑顔でお別れ|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[4]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2021年1月15日更新

ローン完済! 笑顔でお別れ|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[4]

自身も2度の協議離婚を経験した「とまとハウジング」代表の川端ゆかりさんがアドバイス! 離婚を考えた時に知っておきたい不動産の知識と、離婚=すべてがネガティブなわけではないという少しの元気をお届けします。

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ローン完済! 笑顔でお別れ|互いを思いやれるうちに離婚したケース



こんにちは。川端です。新しい年に、紙面を通してあなたと出会えることに感謝!! コロナ禍で自由が利かず落ち込みもしますが、その分、幸せに敏感になる日々です。

ところで、占いって信じますか? 私は占いの言葉に縛られそうで自ら進んで…というタイプではありませんが、職業柄、お客さまが占い師というご縁に(とくに弱っているときに限って)恵まれることがあります。昨日がそんな日でした。

「そもそもあなたは結婚に向いていない」「自己中心的で要は中身が男」「今後も合う人がほぼほぼいない。結婚は考えない方がいい」

「…でしょうね」とうすうす自覚していた黄金(くがに)言葉3点セットをいただきました。イェ~イ! お墨付きゲット!(笑)しかも年を重ねるほどに結婚運以外の「運」はずっと右肩あがり! 仕事運はピカイチ! 全体的に運のいい人生らしいです! …え? 本人的には若干、いや、かなり疑問は残りますが。2021年もご依頼いただいた仕事と真(しん)摯(し)に向き合い、お役に立つ生き物でありたい所存です。


家を売却しようか悩んだら…
まずは自宅の価値を把握


前置きが長くなりました。さて、本題。

「住宅を売却しようか一人で悩んでいる女性がいるので相談にのってほしい」と知人からご紹介いただいたのがA子さんでした。早速、ミラーボールの回る弊社接客ルームにてお話を聞かせていただくことに。

「結婚して6年。夫と仲が悪いわけではないが、このままでは後悔しそう。先が見えない」と、A子さんの大きな瞳から涙があふれてきました。A子さんのお話をまとめると以下の通りです。

(1)憧れの彼と結婚もできてすごくうれしかった。(2)彼はいい人だけど夢見がち。経済力に乏しく生活費はほぼA子さんが負担。(3)2人で購入を決めた戸建は夫名義(所有権)となっているものの、頭金500万円と月々の返済はA子さんが支払っている。(4)「子供は作らない」という結婚の条件だったけれど、「もし、チャンスがあるなら子供がほしい」という葛藤がA子さんにある。(5)A子さんはスキルアップと転職を考えており住宅ローンの返済が足かせとなっている。

「結婚したら彼も変わると思っていた。こんなはずじゃなかったのに、と、一緒に暮らしていてもさみしいんです」。根深い価値観の相違がうかがえましたし、それと同時にA子さんの彼への愛情も感じ、わたしももらい泣き。

そんなA子さんにまずご提案したのは(1)売却査定と(2)賃貸査定。現在の自宅の価値を把握し結論を急がずに今後を一緒に考えていくことになりました。

結論が出ない時は     
じっくり考える時間も必要 


数週間後、査定結果をもって待ち合わせのカフェへ行くと、前回より明るい雰囲気をまとったA子さんがいました。「あれから彼と話し合って別居することにしました。住宅に関しては、正直、まだ結論がでません」というA子さんに、しばらく独り暮らしをしてみることをお勧めしてみました。頭金もローンの支払いもしてきたわが家で、じっくりと今後を考える時間をもつことも必要ではと感じたからです。

そして2カ月後「川端さん、もう十分気が済んだから売却します。彼にも話しています」とご連絡がありました。2人のこれまでと独りの今、そしてこれからを考えたとのこと。

実は、離婚を伴う不動産売買の際、ここからさまざまな問題が起こるのが通常です。所有者である「彼」が売却に同意しない。彼が知り合いの業者に売買を頼むといっている。売却して残ったお金は全部自分のものだと彼が言っている…etc。さて、今回はどのカードが出てくるかな、と内心思っていました。が、拍子抜けするほど、A子さんの「彼」は弊社史上ナンバーワンの「男前」でした。

所有者である彼が責任を持って販売、契約、とすべて自ら動き協力し動いてくれたおかげさまで、スムーズに売買も成立。住宅ローンも完済。手元に残ったお金はすべてA子さんへ。との申し出まで。お引き渡し当日の午後に2人は離婚届を提出しました。

お互いのこれからを思いやる気持ちが残っているうちに離婚できてよかった、と話すおふたりが印象的でした。離婚という決断からの思いやりってのがね、あるんですよ。

次回は実際の事例~ケースその2-住宅ローンの返済がじつは止まっていた~です。


執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1815号・2020年10月16日紙面から掲載

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