2020年12月11日更新
商店街の盛衰を写真に|全国「古民家フォト甲子園」銅賞に輝いた 花城ゆりあさん[集まれ! スゴ技学生-5-]
Vol.5 当連載では、ものづくりの大会で入賞したり難関技能検定に合格などした学生を紹介する。
全国から132点の写真応募があった「第9回古民家フォト甲子園」で、美来工科高校3年コンピュータデザイン科の花城ゆりあさん(18)の作品が銅賞に輝いた。受賞作品は沖縄市の銀天街を撮った写真で「今はシャッター通りだけど、昔は商店街として栄えていた。写真にだけでも残して、時代の移り変わりを伝えたい」と思いを込めた。
商店街の盛衰を写真に
受賞作品「銀天街」。花城さんは「道の奥に進むほど昔のにぎわっていた通りの風景が感じられる」と話す。200枚近く撮った写真の中から選んだ
全国の中高生を対象にした「古民家フォト甲子園(主催・全国古民家再生協会)」は、地域に残る古民家や街並みなどを写した風景写真のコンテスト。9回目を迎えた今年のテーマは「100年後に残したい私の町」。132点の中から7点が入賞、花城さんの作品は銅賞に輝いた。「初めて写真コンテストへ作品を応募。まさか受賞するとは思わなかった」と照れ笑いを見せる。
受賞した作品は沖縄市の銀天街の一角を写したもの。「今でこそシャッター通りだが、昔は栄えた商店街。時代が移り変わり、廃れてしまった今の姿に哀愁を感じた。いつか無くなってしまうと思うと悲しい。写真にだけでも残して、『昔はにぎわっていてね…』と町の記憶を伝えたい」と、写真に込めた思いを語る。
花城さんが趣味で写真を撮り始めたのは高校2年の終わりごろ。3年の夏休みから本格的に撮るようになった。「おじいちゃんから一眼レフを借りてチャレンジしているけど、スマホがやっぱり使いやすい」と、登下校の合間にスマホで撮影する。
テーマに沿って構図練る
古民家フォト甲子園応募のきっかけは塾の先生からの紹介。普段は空や夕日で逆光になった建物を撮っていたが、「コンテストの題材が古民家だったので、沖縄市や北谷町周辺の狭い道に入っては、懐かしさを感じる風景を探した」。両側ともシャッターが閉まった店が並ぶ銀天街内の細い路地を見つけ、「エモさ(哀愁や懐かしさ)を感じた。路地を撮るつもりが、いくつも並ぶオーニングも入れたい、空も入れたい、となって…」と試行錯誤。作品は手前にある営業中の店舗から奥のシャッター通りへと続き、時代の変化を表すような構図の工夫が感じられる。
コンテストを機に、赤瓦の家や鉄筋コンクリート造の家などを撮影して、身近にある風景への愛着が湧いた。学校では映像やデザインなどのコンテンツ制作を学ぶ花城さんは、「学校や趣味で身に付けた技術、テーマへの向き合い方を生かして、将来は映像クリエーターになりたい」と目を輝かせた。
思い立った時にパッと撮れて加工もしやすいスマホを使い、多い日は1日に10~20枚近くの撮影する
◆担任・川田竜誠教諭からのメッセージ 撮影で構図を練るのと同じく、学校の課題研究でも何度もブラッシュアップを重ねていた。試行錯誤、自己研さんする姿勢は将来の大きな武器になると思うので、今後も生かしてほしい。 |
★難関技能検定に合格した学生や、ものづくりコンテストで入賞した学生を募集します。
タイムス住宅新聞社(電話=098・862・1155)かメール(h.jyuutaku.jht@gmail.com)にご連絡ください。
内容を精査した上、記者が取材に伺います。
取材/川本莉菜子
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1823号・2020年12月11日紙面から掲載