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2017年5月19日更新

[リノベーション]姉妹で2世帯住宅

1階は工場、2階に3室の賃貸住宅。父親が所有する築32年の建物を譲り受け、2世帯住宅にリノベーションしたNさん、Gさん姉妹。1階のNさん世帯は仕切り壁のない広い空間を活用、2階のGさん世帯は2室分を生かして、「新築以上に価値のある住まいができた」と姉妹は喜ぶ。


1階 Nさん世帯
白を基調にシンプルにしつらえた1階のLDK。北側にある約6畳の和室は間接照明でシックな雰囲気だ

工場を住宅に


2階 Gさん世帯
2階のLDK。天井高に変化を付けて広く見せた

賃貸2室を23坪2LDKに

 

大空間をムダなく 家族の交流、絆育む

南風原町の住宅地。築32年になるコンクリート造2階建てをリノベーションした2世帯住宅には、1階に姉のNさん家族、2階に妹のGさん家族が暮らす。
建物はもともと、父親所有の工場兼賃貸住宅。Nさん一家は、結婚当初から2階の賃貸部分を借りて暮らしていた。Nさんは、「建築士でもある父が、私たちのために2室をつなげてリフォームしてくれて。約20年住んでいるので愛着はありましたね」と話す。


1階キッチンからリビングダイニングを見る。造り付け収納でスッキリ統一感のある空間に

リノベ-ション中
ブロックを積んで開口部を調整し、床板を受ける根太を組んだ状態


外 観
塗装でコンクリートを保護
築32年になる建物は、もともと1階が工場で2階が賃貸住宅だった。外壁はコンクリート打ち放しで無塗装だったが、構造体には特に目立った劣化はみられなかった。リノベーションを機に外壁は塗装で保護。1、2階で窓の位置などそろえ、一つの建物としての一体感を作り出した。


リノベ-ション前
 

父親の助言に感謝

建物も古くなり、年齢的に父親も仕事を続けるかどうかという時期にさしかかっていた。他市でアパート住まいだったGさん一家も、長男の小学校入学を機に引っ越しを考えていたことから姉妹で2世帯を建てる話が進んだ。
新聞やホームページを見て気に入っていたデザイン事務所に相談。建て替えも考えたが、「建物を壊して新築するとなると、ものすごい金額になることにびっくり。父の助言もあって、建物を生かしてリノベーションすることにしました」。
最初に設計、工事に入ったのは1階部分。大空間を無駄なく使えるよう、玄関や居室を配置した。打ち合わせには「自分たちの勉強に」と、Gさん夫妻も同行。Gさんの夫は施工中も現場に足を運んで工事過程を見学し、知識を深めた。
1階完成後に2階が着工。構造上抜けない梁も多かったため、大梁を生かしてデザインした。父親からの財産分与として、1階、2階それぞれの世帯で名義を分けて登記した。姉妹は「父の建物があったからこそ、費用を抑えながら新築以上の理想の家ができた」と感謝する。


寝 室
駐車場に面する窓 フィルムで目隠し
1階南側にある6.5畳の寝室は、ダークブラウンをアクセントカラーにしたシックな空間。ベッドの背となる壁の両サイドにある窓から明かりと風を取り込み、明るく心地いい。窓は駐車場に面しているため、すりガラス風のフィルムを貼って視線を遮る。壁一面を使って設けたクローゼットと押し入れで収納もたっぷり。

 

インテリアに個性

1階、2階ともに白が基調の明るい内装だが、インテリアにそれぞれの個性が光る。
もとは工場だった1階は、親族が集うことも意識して約21畳のLDKの隣に約6の畳和室を設けた。モノトーンの家具にシックな色合いのアクセントクロス。「収納も造り付けにして、シンプルでスッキリとした空間に。大学生(19)と中学生(12)の娘2人の部屋もできたので、家族一人ひとりがゆったり過ごせるようになりました」とNさん。「新しい家に移ってから、夫も掃除好きに。毎日のように掃除機をかけています」と思わぬ効果も。
2階のG家は、夫婦と小学生の長男(8)の3人家族。夫妻は「リビングを広くとって、ほかはコンパクトに」と希望した。家具やアクセントクロスにビビッドな赤や緑を用いて、モダンな空間に仕上がった。
Gさんは、「息子にとっては、めいっ子たちがお姉ちゃん代わり。よく1階に遊びに行っています。引っ越してからとてもにぎやかになりました」と喜ぶ。
週末は2世帯が1階に集い夕食をともにすることも多い。Nさんは、「実家の行事の際は一番上の姉のマンションに集まっていたけれど、いまではわが家が集いの場に。夏にみんなでバーベキューをするのが楽しみ」とほほ笑む。
新たな形で住み継がれた建物が、家族の交流と絆を深めている。


娘2人が共用する1階の子ども室は、ピンクや花柄のファブリックでかわいらしくしつらえた。写真左手から、母娘の衣類を収める納戸につながる

1階の洗面・浴室は明るく、掃除や家事も楽に。「湯船にのんびりつかるのが楽しみの一つです」とNさん
 

暮らしに合わせ減築 建物にも一体感

リノベーションにおいて、建物の状態は重要なポイントの一つ。状態に応じて耐用年数や補修に必要な費用が大きく変わるからだ。
Nさん、Gさん姉妹の建物は「構造体の状態はそれほど悪くなく、大がかりな補修は必要なかった」と、リノベーションを手掛けた糸洲芳彦さんは話す。2階部分の雨漏りなどを修繕し、打ち放しだった外壁に塗装を施すことで構造体を保護した。
1階部分は工場だったため天井が高く、内部に間仕切り壁もない広い空間。Nさんの暮らしやすい広さに合わせて、よう壁に接する西側を3坪減築した。その上で「和室と寝室、子ども室がほしい」というNさんの希望と、2階へ上り下りする外階段の動線を考慮。空間をムダなく効果的に使えるよう、玄関の位置と各居室を配置を決めた。
「姉世帯の設計の打ち合わせから妹夫婦が同行していたので、上下階別世帯でありながら、一つの不動産として見栄えのいい建物にするという共通意識も作りやすかった」と糸洲さん。床材やブラインドなどは1、2階とも同じものを使用。上下階の水回りや窓の位置をそろえたことで、外観にも一体感が生まれた。

 

天井高変え視線抜く

Gさん世帯が暮らす2階部分は、天井高が低く、賃貸2室をつなげた空間のため梁の多い造りだった。梁をデザインとして生かし、天井高の変化で圧迫感を和らげながら空間をムダなく使う工夫が光る。


2階のLDKは、赤のソファや壁紙がアクセントとなったモダンな空間。テレビ台裏のレンガ張りの壁は、設計を手掛けたデザイン事務所で使われていたのを見て希望した


寝 室
リノベーション前の寝室から位置を東にずらして配置。グリーンのアクセントクロスが華やかな印象。写真左手の引き戸の奥はウオークインクローゼット

リノベーション前​


子ども室
リビング北側の子ども室は4畳とコンパクト。造り付けのデスクと収納でスッキリしている


玄 関
以前は玄関を入るとリビング・ダイニングが丸見えだった=上写真。リノベーション後は、空間を有効活用するために玄関を西側に移動。中央に化粧梁を通して視覚のアクセントにした。写真左手の引き戸の奥は大容量のシューズクローゼットになっている


リノベーション前



2室分をつなげ、姉世帯が居住
もともとは3室のアパートだった2階部分。姉のNさんが結婚した際に、娘夫婦のために父親が東側の2室をつなげてリフォームした。リノベーションするまで、Nさん一家が約20年暮らしていた

 

梁生かし居室を配置

2階部分の天井高は最大2.3メートル。構造上抜くことができない梁も多かった。圧迫感とスペースのムダをなくすために糸洲さんは、大梁をデザインとして生かす居室配置をした上で、天井の高さに変化を付けて間接照明を活用する手法を取った。
家の中心を南北に貫く高さ50センチ、厚さ60センチの大梁=リノベーション前平面図赤線部。床から梁までは2メートルの高さしかなかった。南側のLDKでは、対面式キッチン上部の仕切り壁にすることでデザインとして取り込んだ。LDK北側はトイレと浴室、収納だった部分を寝室に変更。大梁を挟んでウオークインクローゼットを設けることで、空間の仕切りとして利用した。
集いの中心となるLDKは、天井高に変化をつけた。東西に伸びる梁を隠すように両端に約2メートルの高さで天井板を張り、間接照明を設置。天井高の変化と間接照明が生み出す柔らかな陰影が圧迫感を緩和し、東側の腰窓から外へと視線が抜けるため実際よりも広く感じられる。



[DATA(1階)]

家族構成 :夫婦、子ども2人
施工面積 :115.70平方メートル(約35坪)
躯体構造 :鉄筋コンクリート造ラーメン構造
築 年 数:32年
工   期:約4カ月
設計・施工:(有)エバデザイン 糸洲芳彦、島尻郁美
 

[DATA(2階)]

家族構成:夫婦、子ども1人
施工面積:77.68平方メートル(約23.5坪)
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
工  期:約3カ月


[問い合わせ先]
(有)エバデザイン
098-878-5008
http://www.evah-d.com


写真/比嘉秀明 編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1637号・2017年5月19日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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