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2025年4月4日更新

離島活性に期待 二地域居住の試み|どうするその空き家⑬

文/山入端学(全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長)

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 文/山入端 学
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部事務局長)

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。今回は、都市部と地方部の二地域居住への支援制度について説明します。
 
離島活性に期待 
二地域居住の試み

 
全国的に顕在化している空き家問題に関し、加速化する超高齢化社会・少子化による人口減少・若者の流出を考えると、「移住・定住」だけでは到底間に合わず、地方同士で人口の取り合いをしても根本的な解決にはならないと言えます。

現在、「空き家」「遊休施設」を活用し地域活性化を推進する法人を自治体が指定(予算措置)する二地域居住等支援法人指定制度が2024年11月末にスタートしました。都市と地方間で、人の流れを活性化させることで空き家問題などの解決を目指すものです。自然豊かな離島県である沖縄では有効な取り組みではないでしょうか。


都市部と地方部
二地域居住とは


当協議会では年に数回、各省庁からレクチャーを受ける機会があります。先日も東京・永田町の参議院会館で国土交通省・内閣府による勉強会があり、二地域居住支援の説明がありました。

二地域居住とは、主な生活拠点とは別に、特定の地域に生活拠点(ホテルなども含む)を設ける暮らし方を指します。




勉強会では、その意義として、①地方への人の流れを生むことで、地域の担い手の確保や消費などの需要創出、新たなビジネスや後継者の確保、雇用創出、人口の拡大②都市部も過密を避けつつ、国土の多様な自然資本・文化資本を活用し、国際競争力を強化③多様なライフスタイルの実現を通じたウェルビーイングの向上、新たな暮らし方や働き方の実現、学びの創出④自然災害やコロナ禍のような危機や変動に対処できる予備装置を平常時から備えるリダンダンシーの確保-などが挙げられました。

都市部では都心オフィスへの出勤、高度な研究や教育拠点の活用、大規模イベントや文化活動への参加、海外との交流などが期待されます。一方、地方は自然豊かな環境での生活や子育て、副業やテレワークの実施、地域交流や地域活動への参加、ルーツや縁のある地域への貢献などが考えられます。都心部と地方部を往来することによって生まれるさまざまな効果が期待できます。

さらに、以下の事例が紹介されました。

【①20代夫婦、共に都会出身、都会在住、将来は地方で暮らしたい】
・短期の休暇などでお試し居住を実施。
・転職を視野に、地域での仕事探しを進めたい。
・移住者との交流などを希望。

【②30代夫婦(地方出身)共働き、子供、都会在住、子供と自然を楽しみたい】
・ほど近い地方に通いアウトドアや趣味を満喫し、テレワークとも組み合わせている。
・ホテルや旅館などの定額サービスを利用。
・地域の祭りやボランティアにも参加したいと考えている。

【③30代単身、専門職、都会で就職、スキルを生かして地域に役立ちたい】
・地方でも働き、都会の便利さと地方の豊かさを享受。
・専門技能を活用し地域企業や地域のまちづくりに協力し、起業も視野に入れている。

それぞれのライフスタイルに応じて新たな暮らし方を追求する興味深い取り組みと言えます。


地域課題を解決
担い手の確保へ


二地域居住は、「毎日の勤務を必要としない」、「複数のシフトを組む」場合に可能ですが、地方に住むハードルを下げることで、地域の担い手の確保につながります。

また、都市と地方に居住するメリットとして、①地方は人手不足感の少ない都心よりも報酬水準が高いことが多い②地域コミュニティーへの関わり方を調整できる③教育、文化などの集約効果の高い都心ならではの施設やコミュニティーへのアクセスを維持できる④実際に医師のようなエッセンシャルワーカーの確保を二地域居住によって果たしている地域もある-などが挙げられます。

離島地域などでは医療・介護・保育などがますます深刻化する恐れがあります。これらの課題解決に向けて、移住・定住だけでは十分な担い手が集まらない場合や、質の高い人材の確保を図る場合に、「空き家」や「遊休施設」を活用した二地域居住が有用な選択肢・切り札になると思います。




やまのは・まなぶ
1969年生まれ、名護市在住。昨年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長

全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2048号・2025年4月4日紙面から掲載

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