深刻化の原因 実は片付け!?|どうするその空き家⑪|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

沖縄建築賞アーカイブ

マネープラン

相続

2025年2月7日更新

深刻化の原因 実は片付け!?|どうするその空き家⑪

文/山入端学(全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長)

相続

タグから記事を探す

 文/山入端 学
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部事務局長)

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。今回は空き家問題の深刻化を招く要因「片付け」について、同支部が提供中のサービスとあわせて紹介する。
 
深刻化の原因
実は片付け⁉︎

 
独り暮らしの所有者が施設入所したため、5年ほど放置された空き家の内部

放置すると劣化
解体しか道なく


空き家を所有している半数以上は「相続」で空き家を所有しています。実際、ご自身が実家を相続したら、ご自身が住む・賃貸・売却などの活用を検討している方は全体の約7割にのぼります。しかし、実際に空き家を相続して、有効活用できているのは全体の約3割、残り約7割は、空き家を所有してから放置したままとなっています。

その原因の一つが「片付けができていない」ことです。

引き継いだ空き家を売却または賃貸に出す際、まずは家の中にある物の片付けが必須です。家の中が片付いていないと、その片付けが先延ばしになり、5年、10年たつと建物自体が劣化してしまい、売却・賃貸などの有効活用ができなくなることが非常に増えます。建物が劣化してしまうと、解体しか選択肢は残らなくなります。

「解体費用はかけたくない」「解体すると土地の固定資産税が高くなる」などから劣化した空き家が解体されることは少なく、放置されたまま、近隣の方に迷惑を与えてしまう空き家(管理不全空家)が生まれ、10年ほど経過する頃には放置すると危険な「特定空家」となってしまうのです。

 
独り暮らしの所有者が入院・他界したことで10年ほど放置された建物

プロに任せて
早めに片付け


「特定空家」「管理不全空家」とは昨年行われた空き家法の一部改正により定められたもので、「特定空家」「管理不全空家」になると固定資産税の優遇が解除され最大約6倍になる可能性があります。つまり、実は「片付け」という小さなステップをクリアできないがために、非常に深刻な事態を引き起こしかねないのです。

しかし、今では実家と離れたところで暮らす方々も少なくなく、まとまった「片付け」の時間を確保することは困難な場合が非常に多いです。

もし遠方に住んでおり、「片付け」がなかなかできないという方は専門業者に依頼してみるのも一つの手となります。現在は「遺品整理サービス」を行っている業者も増えてきており、自身で引き継いだ空き家の「片付け」をできない方にはおすすめのサービスとなります。

ご自分で時間をかけ、その間に建物を劣化させてしまうよりも、費用はかかりますが、プロに任せて早めに「片付け」を行い、建物を有効活用する方が、長い目で見れば効果的となります。


空き家管理システム
yamori


一方で、空き家の利活用を検討している間、空き家の適正な管理も所有者には重要な課題となります。空き家を放置していると、急速な劣化や庭の植木や草花の成長、不法侵入・不法投棄火災や延焼のリスクなど、さまざまな問題が起こります。

そこで(一社)全国空き家アドバイザー協議会では、地域の空き家管理を行うサービスを2024年4月からスタートさせております。沖縄県内での取り扱いは現在名護市内エリア(一部地域を除く)のみ。

当協議会名護支部では、所有者の代わりに住まいの管理やお手入れをおこなうサービス「Yamori」を導入し全国支部連携の対応を可能としています。

サービスを受けたい所有者は直接「Yamori」本部に依頼を行うことで、所有者に代わり物件の状況調査に伺い、現状の写真や報告書の作成、郵便物などがあった場合には、回収・転送を行うなどが可能になります。

料金プランもサービスの内容により三つから選択可能で、屋外のみ点検においては20分程度で外観の確認、草木の確認、郵便物の回収・転送など、屋内・屋外まとめて点検では40分程度で内観確認、室内の換気や通水・雨漏り確認、簡易清掃などをおこないます。

空き家となり間もない物件を相続し、数カ月に一度手入れに訪ねていた県外の所有者、または同じ都道府県に住むものの遠方に住む方などからの依頼が多く、年齢層は40~50代の働き世代から、今まで遠方から管理をされてきた70~80代が中心となっています。

やまのは・まなぶ
1969年生まれ、名護市在住。昨年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長

全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613

↓画像をクリックすると、
Yamoriの公式ホームページに移動します。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2040号・2025年02月07日紙面から掲載

相続

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2521

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る