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2024年9月6日更新

活用か処分か? 価値下がる前に|どうするその空き家 あなたの実家も!?

文/山入端学(全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長)

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 文/山入端 学
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部事務局長)

 
全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。6回目は空き家を所有することになった時の選択肢と注意点について紹介する。
 
活用か処分か? 価値下がる前に

国土交通省の空き家実態調査では、空き家の所有者になる経緯の半数以上は相続です。また、アットホーム調べによると、もし実家が空き家になったらどうしたい? のアンケートに約9割が「活用を考えている」と回答するものの、価値総合研究所の調査では実際に所有するとその約7割が「特に何もしていない」放置したままの状況です。さて実際にあなたが、ご実家・空き家を所有、またはこれから所有することになったらどうしますか?

空き家対策特別措置法で規定されているように「空き家の予防・管理」の責任が課せられます。そこでまずこの大きな二つの選択をすることになります。それが「持ち続けるか?」「手放すか?」です。
 

利活用のメリット
劣化遅らせ収益化

「持ち続ける」場合は、さまざまな利活用を検討することになります。当協議会では、図のようないくつかの選択肢を提案しております。

また、利活用のメリットは建物の劣化を遅らせながら収益化できる可能性があります。ただ、これらを選択するには空き家の現状を踏まえ、そのまま住めるか、改修が必要か、その費用はどうするか。活用するにあたり、立地はいいのか悪いのか、かかる経費とその収支予測など、各専門家による調査や見積もりなどの相談が必要になります。
 


まずは不動産査定
判断材料明らかに

まずは、現状の不動産としての価値を判断するため、不動産査定を行うことになります。不動産と言っても、ご実家の土地建物だけに留まらず、時にはその他の資産(土地、畑、原野、墓地など)にも及びます。沖縄では相続される資産がどこに、どのくらい、どのような状態であるのか、全く分からないというケースも意外とあります。特に元々相続する予定のなかった母方の家系の資産を相続することになったケースなどでは多くみられます。

不動産の現状価値(査定価格)や改修に要する費用など数字的な判断材料が見えてくると、次は費用の捻出は可能か、活用見込みがあるのか、賃料の設置額は、収支は取れるか、などについて専門家に相談・確認を進めていくことになります。


売却できるか解体か
経費と残金を把握

一方、「手放す」を選択した場合には、前述の不動産査定を踏まえ、現状の土地建物として売却が可能か、それとも建物を解体して更地にしないといけないのか。また、それらに係る費用見積もり、例えば建物改修、建物解体、売却時にかかる諸経費(測量費用、所有権移転登記や各種登記費用、仲介手数料、印紙代など)や売却後の税金(不動産譲渡所得税)などを踏まえ、最終的に手元にどのくらいお金が残るのかなどを細かく把握する必要があります。

なぜなら、その残金から今後のご両親の介護や仏壇お墓の整理費用などを支払うケースが少なくないからです。

建物は数年間空き家になり空気の入れ替えなどを怠ると、劣化・腐食・シロアリ被害などが進みその価値は大きく低下、場合によっては解体除却しか方法がない状態になるケースも残念ながら多くみられます。ぜひ、資産価値が下がる空き家になる前に専門家へご相談し、事前の対策をご家族で話し合われることをおすすめ致します。




やまのは・まなぶ
1969年生まれ、名護市在住。昨年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長

 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2018号・2024年09月06日紙面から掲載

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