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2021年12月24日更新

[沖縄・マンション売買]case30「税制改正による住宅ローン控除への影響」

12月といえば年末調整や住宅ローン控除などによる税金の還付が臨時ボーナス的でうれしい時期です。お得な制度である住宅ローン控除に来年以降動きがあるようです。
文・友利真由美

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◆相談内容◆

来年の税制改正で住宅ローン控除が縮小されると知り、マンション購入をためらっています。実際どのように変わるのでしょうか?
 

一般家庭には影響少ない

控除額が1%から0.7%に縮小
住宅ローン控除とは、住宅購入のために金融機関から融資を受けている方が利用できるお得な制度です。適用期間中は毎年末の住宅ローン残高の最大1%が、その年の所得税や住民税から還付されます。現在の住宅ローンの金利が1%前後であり、住宅ローン控除適用期間中はその金利と同等額が納めるべき所得税などから還付されることから、節税対策として住宅購入の後押しとなっています。

しかし、来年度の税制改正でこの住宅ローン控除が見直され、控除額が0.7%に縮小される見通しとなりました。これによりどのような影響が出るのか確認していきましょう。


13年で約100万円の差
2021年1月10日にマンション購入の契約をし、3千万円の住宅ローンを組んで、2月には住み始めたAさんを例に計算してみます。

1年目の年末のローン残高は2928万円。これに1%を乗じた29万円が住宅ローン控除額の上限です。住宅ローン控除の適用期間については、2021年中の入居であるため、従来の10年がコロナ特例で13年に延長されています。この期間中の控除額合計は321万円となります。

これが2022年1月10日の契約で翌月に住み始めた場合、1年目の住宅ローン控除の額は1年目の年末のローン残高2928万円に0.7%を乗じた20万円となり、適用期間13年間の控除額合計は225万円となります。

つまり今回の改正により、従来の制度よりも100万円近く控除額が下がる計算となります。

還付しきれない控除額
Aさんの年収は400万円で所得税の年額は約6万円、住民税は約11万円です。改正前の購入の場合、2021年分の住宅ローン控除額は29万円なので、所得税の6万円は還付されます。所得税で控除しきれなかった額(29万円−6万円=23万円)については、翌年の住民税から控除(23万円−11万円=12万円)されますが、それでも控除額全額を還付で使い切れていません。

改正後の購入の場合、2022年分の住宅ローン控除額は20万円ですが、それでも控除額を全て使い切ることはできません。収入や家族構成が同条件であった場合、8年目以降でやっと控除額を全額還付される状況となります。

見直しに至った経緯
住宅ローンの金利は歴史上最低を記録しており、県外の金融機関などでは金利0.4%台の商品も出ているそうです。住宅ローン控除の上限1%よりも住宅ローン金利が低いため、いわゆる「逆ザヤ状態」となっており、収入が多く、多額の住宅ローンを借りられる人だけが大きく得をしやすい状態が続いていました。

住宅ローン控除は納めるべき所得税や住民税が還付される制度。控除額がどんなに大きくても、所得税や住民税が還付される以上に得する制度ではありません。

Aさんのように一般的な収入で扶養家族がいる場合、今回の改正による影響はそう大きくないと思われます。相談者も一般的な収入であれば、改正で大きく影響を受けるとは考えにくいと言えます。源泉徴収票などから今支払っている所得税や住民税の額を確認した上で、来年以降の住宅ローン控除を上手に活用していきましょう。


 友利の結論 
・住宅ローン控除は所得税や住民税が還付され るお得な制度
・2022年の税制改正で控除の割合などが縮小さ れることが決定
・住宅ローンの歴史的低金利で逆ザヤとなり収 入の多い人が得する制度となっていた
・一般的な収入の家庭であれば改正による影響 は少ない


ともり・まゆみ
(株)エレファントライフ代表。不動産専門ファイナンシャルプランナーとしてマンションの売却や不動産相続の相談に応じている。生粋のマンション好き。 電話098・988・8247


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1877号・2021年12月24日紙面から掲載

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