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2016年1月22日更新

南仏風の平屋建て 暮らしもすっきり|アトリエPAD

「フレンチモダンな雰囲気で、夫婦でゆったり過ごせるコンパクトな家を」と希望したTさん夫妻。住まいは、フランス瓦の勾配屋根が印象的な鉄筋コンクリート造の平屋建て。白が基調の室内にはアンティーク雑貨などが飾られ、上品な雰囲気だ。

夫婦でゆったり過ごす

Tさん宅 RC造/自由設計



白を基調にすっきりとした1階LDK。北から南に緩やかに傾斜する天井は、高さ最大3.7メートル。北側には高窓を設け光を取り込む。目を引くエイジング加工された梁には、お気に入りの照明を取り付けた


一面だけ色を変えた鮮やかなグリーンの壁がアクセントのダイニングキッチン。床はタイル張りでモダンな雰囲気


Tさん宅は、沖縄県本島中部、沖縄市の静かな住宅地にある。道向かいには公園の緑地帯が広がり、「鳥のさえずりも聞こえるんです」と夫人。環境が良く、きょうだいも近くに住んでいることから現在の土地を購入した。

白が基調のすっきりとした室内は、南側にLDKがあり、北側には寝室や書斎、水回りがまとまっている。キッチン裏の家事室から洗面、浴室、寝室へと抜けられる造りになっていて、「使い勝手が良く、暮らしやすいです」と夫妻はほほ笑む。

南側と西側に掃き出し窓があるLDKは、南に庭と沿道の緑地帯、西に中庭が眺められ開放的だ。ひと際目を引くのが、キッチン背後の鮮やかなグリーンの壁。「アクセントになる色がほしい」と、Tさんが選んだ。

天井が高いリビングでは、エイジング加工された梁が存在感を放つ。「以前の住まいで使っていたお気に入りの照明を取り付けたくて、梁を渡してもらったんです」とTさん。Tさんが趣味で楽しむギターや、夫人が好きなアンティーク雑貨が並ぶ空間で、映画を見たり、本を読んだり、夫妻はゆったり過ごす。



念願だった猫足のバスタブを据えた洗面・浴室。奥に見える寝室から出入りしやすく、家事室にもつながる

 

暮らしやすい動線


「夫婦でゆったり過ごせる、プロバンス風の住まい」をと、2年ほど前に家を建てた。

「マンションも探していたのですが、理想的な土地が見つかったので」とTさん。設計は、姉や弟の家を手掛けた建築士事務所に依頼した。
「細かく希望を聞いてもらい、思い通りの家ができました」

家づくりでは、暮らしやすい動線を重視した。要望の一つとして挙げたのが、玄関からも、車庫からも行き来できるシューズクロークを設けること。夫人は「雨の日もぬれずに出入りできるし、お客さまを迎える玄関もきれいに保てます」と喜ぶ。

休日は、庭の手入れや菜園での野菜づくりを楽しむ。「目下の課題は、中庭をきれいに整えることかな」と、Tさんは穏やかに笑った。



西側=写真奥=に中庭が広がり、開放的なキッチン。壁際の棚は建築中に一つひとつ気に入ったものをそろえた

 

ここがポイント
西に開き視線遮る 公私の動線明確に


間接照明を取り入れた寝室は、板張りの床に淡いクリームイエローの壁とナチュラルな雰囲気。奥に見えるのは夫妻の書斎


フランス瓦を配した勾配屋根が印象的な外観。写真奥が車庫。外からの視線を遮る塀も弧を描くようにデザインされている


緑が間近にある住宅地に建ち、南側に道路、東側と北側にアパート、隣家があるTさん宅。設計を手掛けた饒平名知善さんはプライバシーを考慮し、空き地がある西側に開くプランを提案した。

敷地西側の中央部に中庭を設け、それをコの字に囲むように車庫や住宅を配置。南側の道路に面した車庫は、視線を遮る役割も担う。また、夫妻が「道向かいにある緑地帯も眺望に取り込みたい」と希望したことから、LDKは西と南に開口を設けた。「通りからの視線は、目隠し壁と植栽で遮っています」と饒平名さん。

北から南へ緩やかに傾斜するリビングの天井高は、最大3.7メートル。北側には高窓を設けて光を取り込む。LDKの床は、スッキリとしたタイル仕上げを提案。「冷たそうな印象だったけど、思ったほど寒さは感じない。建築コストが抑えられたし、掃除もしやすい」と夫人は喜ぶ。

室内は来客時のプライバシーを守りながら、生活しやすい動線をつくることに気を配った。寝室、書斎、洗面・浴室を北側にまとめ、キッチン裏に設けた家事室を基点にLDKと分離した。饒平名さんは、「来客と家族の動線をしっかり分けることが、快適な暮らしにつながります」と話す。


 
玄関ホール。左側ドアが来客用の玄関。右側はシューズクロークで、その奥は車庫への出入り口/写真左。
書斎−仕事柄増える本や資料を収めるため、天井いっぱいまで壁面収納を造り付けた/写真右


[DATA]
 家族構成 :夫婦
 敷地面積 :314.09平方メートル(約95.01坪)
 1階床面積:147.07平方メートル(約35.6坪)
 建ぺい率 :162.10%(51.61%)
 容 積 率:35.28%(46.83%)
 用途地域 :第一種低層住居専用地域
 躯体構造 :鉄筋コンクリート造壁式構造
 設計・構造:アトリエPAD 饒平名知善
 施  工 :(有)大協建設
 電  気 :アート電気
 水  道 :(有)名設
 キッチン :クッチーナ沖縄

[設計施工・問い合わせ先]
 アトリエPAD
 098-943-3235
 http://www.pad‐cy.sakura.ne.jp/
撮 影/比嘉秀明
編 集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1568号・2016年1月22日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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