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2015年2月13日更新

庭挟み兄弟の家 程よくつながる|アーキ・ドゥ(株)

沖縄県本島南部、南風原町の與那嶺健也さん(30)は、祖母が所有する三つの敷地のうち二つの敷地に、兄の徹さん(34)とそれぞれ平屋の住まいを建てた。建物同士を離し、間には両家の庭を置いた。健也さん宅には、趣味のバイクを建物内部に収納できるガレージも設け、「家族の時間も趣味も充実している」と喜ぶ。

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両家で子に目配り

與那嶺健也さん宅(家族4人) 徹さん宅(家族5人)自由設計 RC造


弟・健也さん宅のリビングからキッチン方向を見る。北側の掃き出し窓(写真右)と三方の高窓から光が入り、明るい。掃き出し窓の外は約90坪の広さがある庭。兄・徹さん宅の庭とつながっている 

いとこ同士仲良し
大通りから1本入った静かな住宅地に、健也さんと徹さん兄弟の家は建つ。
北西の敷地には徹さんの家を、南東の敷地には健也さんの家を建てた。南西の敷地には将来、おじの家が建つ予定だ。 両家の間にある庭で、互いの子どもたちが自転車で遊んでいるのが日常の光景。
健也さん宅は平屋建て。「家族が顔を合わせやすい造りに」と要望したことから、LDKが家の中心部にある。LDKを囲むように西側に寝室とガレージ、南側に和室や水回り、東側に子ども室を設けている。
リビング・ダイニングは、北側の庭に向かって大きく開口部を設けている上、天井は3・6メートルと高く開放感いっぱい。健也さんは、「外で遊ぶ子どもたちの姿も見えて安心」と話す。
キッチンは、夫人(34)の念願だったアイランド型。「料理をしていても庭や子ども室に目配りできます」とほほ笑む。
徹さん宅のリビングも、健也さん宅の庭に向けて開口部を設けている。徹さんは、「遊ぶ子どもたちの様子だけでなく、弟家族の気配もなんとなく伝わる。いい距離感です」と満足げだ。
両家の子どもたちは庭を通り、掃き出し窓から互いの家を出入りすることも。健也さんは、「遊ぶ人も遊び場も増えてうれしそう。いつもにぎやかなんですよ」と笑う。

趣味時間も充実
健也さんも徹さんも一番上の子が6歳。小学校に入学する前に祖母の土地に家を建てたいと、それぞれ建築士を探していた。
健也さんが出かけた完成見学会で「家族のつながりや、将来の土地利用も考えたプランを提案してくれた」建築会社に依頼した。健也さんの勧めで徹さんも同じ会社に依頼し、2軒同時に家造りをした。
一緒に造ったといえど、こだわりはそれぞれ。健也さんは、趣味のバイク用のガレージがお気に入り。「室内から直接出入りできて便利。バイクを見ながらお酒を飲むこともあります」と楽しそうに語る。
徹さんは、息子と娘がいることから「洗面室と脱衣室を分けてもらった。とても重宝しています」とにっこり。
両家とも「家族の笑顔が増えた」と声をそろえる。子どもたちの元気な笑い声がその言葉を裏付けている。


健也さん宅のリビングと和室。LDKの壁に合わせ和室も白壁と白い建具にし、モダンな雰囲気。左奥は子ども室へ続く


敷地北側から、健也さん宅(左)、徹さん宅(右)を見る。間の庭では子どもたちが元気に遊んでいる


健也さん宅の駐車場。正面奥が健也さんお気に入りのガレージ。広さは3畳ほどで、室内から直接出入りできる。バイクや工具、ウエアなどをしまっている


ここがポイント
兄・弟世帯とも庭に向けて開く

隣り合う敷地に健也さんと徹さん兄弟の家を建てるにあたり、建築士の長田翔平さんが考慮したのは、①二つの家族が程よい距離感で暮らせる配置と間取り②将来を見据えた敷地計画-だ。
①は、2軒を隣り合わせず両家の間に庭を置いて実現。庭が緩やかに兄弟の家をつなぐ。
両家とも庭に面する位置に家族が集うリビングを配し、大きな開口部を設けている。長田さんは「つながりは緩やかだが、互い家族の声がふんわり聞こえ、気配が伝わるようにした」と話す。
二つの家の庭は、隣り合うように配置し、自由に行き来できるようにした。徹さん宅に雨水が流れ込むのを防ぐための塀はあるが、必要最低限の高さにしている。
②は、「敷地内に私道を整備したことがポイント」と話す。
建築基準法には、「原則として建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」という「接道義務」がある。
道路から離れた場所にある健也さん宅の接道義務をクリアするため、徹さんとおじの了解を得て敷地の一部を幅4メートルの私道にし、健也さん宅とつなげた。
私道は「将来、健也さんの子どもが大きくなったとき、健也さん宅の敷地を分筆して庭側にも家が建てられるような位置に設けた」と工夫を語った。


徹さん宅のダイニング・リビング。掃き出し窓は庭に面し、健也さん宅の庭とつながっている。徹さんは「リビングでテレビを見ていても、外の子どもたちの声が聞こえるし、様子がわかる。安心ですね」と話す


徹さん宅の子ども室。「上2人は男の子なので、壁紙はブルーにしました」と話す。健也さん宅の子ども室と似た造りではあるが、壁紙や建具の色の違いで、印象がガラリと変わる


健也さん宅の子ども室で遊ぶ長女と次女。ピンクの好きな長女が壁紙を選んだ。ロフトに上りながら「秘密基地みたいで楽しい」と笑顔


健也さん宅の洗面脱衣所。左奥の扉の先は物干し場。「家事動線が短いから洗濯がスムーズ」と夫人

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:660.5㎡(約200坪) 1階床面積:127.46㎡(約38.55坪)
建ぺい率:31.15%(許容50%) 容積率:26.25%(許容100%)

家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:339.00㎡(約102.54坪) 1階床面積:114.55㎡(約34.65坪)
建ぺい率:35.21%(許容50%)  容積率:33.79%(許容100%)
用途地域:第一種低層住宅専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造 壁式構造
設 計:アーキ・ドゥ(株) 長田翔平
営業担当:アーキ・ドゥ(株)長嶺直樹
構造設計:はざま設計 城間信二
施 工:(株)謝花組 城間健太郎
電 気:(有)新栄電機 伊良部陽介
水 道:(有)龍設備工業 宮城哲始
キッチン:(有)読山産業 呉屋和雄

[設計・問い合わせ先]
アーキ・ドゥ(株)
0120-70-8027
http://www.archido.co.jp
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/東江菜穂

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1519号・2015年2月13日紙面から掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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