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2021年1月29日更新

住宅地に「ホテル」な家|遠藤建築設計室

[開放感&裏動線がカギ|お住まい拝見]
住宅密集地に建つKさん(42)宅は視界の開ける2階に住居スペースがある。随所の坪庭も効いて開放感抜群。さらに裏動線を設け、生活感をうまく消したリゾートホテルのような住まいだ。

Kさん宅のリビング。白と木を基調にした造りと、随所にある坪庭が効いて明るく洗練された印象。バルコニーへつながる北西側の約8メートルの大開口の向こうには市街地が広がる。広々としたバルコニーでは「夏場、子どもたちがプールを楽しんでいます」と夫人
 

視界開ける2階に住居

Kさん宅
 RC造/自由設計/家族5人 

白壁に覆われた外観とのギャップが大きいからこそ、室内の開放感が際立つ。

住居スペースは2階。ガラス張りの玄関スペースから階段を上がると、モダンな坪庭が目に飛び込んでくる。その先には約8メートルの大開口。眼下に市街地が広がる。おしゃれな植栽と開放感が相まってリゾートホテルのようだ。「子どもたちはわが家のことを『ホテル』って言いますから」と夫人は笑う。

以前の住まいが手狭になり、北中城村周辺で土地を探した。購入した場所は住宅密集地。だが1階を駐車場、2階を住居にしたことで「閉塞(へいそく)感は一切無い。駐車場ではバーベキューやプールを楽しんでいます」。

見た目にもこだわりがあった。Kさんは坪庭を、夫人は琉球石灰岩を取り入れた造りを希望。それを「建築士さんがすてきな形で落とし込んでくれた」。知人宅のデザインを気に入り、紹介してもらった建築士と「フィーリングが合った」と満足げに話す。

坪庭は家の中央と水回りのそばに配され、彩りと採光・通風を両立する。琉球石灰岩はリビングの壁一面に用いられ、高級感を漂わせる。


リビングの壁一面に琉球石灰岩が用いられている。壁の上には天窓と照明があり、昼夜とも柔らかく光が注ぐ

家の中央にある坪庭と和室。和室奥の坪庭はトイレとつながっている
 

トイレと坪庭の間にあるガラスにはグラデーションのフィルムが貼られていて便座側は見えないようになっている

1階が駐車場。2階が住居。住居部分は白壁に覆われ閉じた印象
 

洗濯は直線上で済む

ホテルのような空間を保つためには、片付けやすさが重要だ。Kさん宅は裏動線が見事。キッチンの背後に室内物干し場、ウオークスルークローゼット、洗濯機のある洗面脱衣所が一直線に並ぶ。無駄の無い動線で「家事がとても楽になった」と夫人。

キッチンは“半対面型”。シンクはリビングに面しているがコンロなどの調理スペースやパントリーなどは表から見えない。「頑張らなくてもすっきりして見えるんです」

洗練された空間で、意外にもおおらかに暮らしていた。
 

室内物干し場は天窓から光が注ぐ。奥がウオークスルークローゼット
 

家族全員の服を収納するウオークスルークローゼット。棚の上は家事スペースとして活用する。その奥が洗面脱衣所



“半対面型”のキッチン。シンクはリビングと面しているがコンロや調理スペースは奥に隠れている

1階玄関。中が見えるガラス張りにしたことで「家に入る前から、帰ってきたという安心感がある」とKさん
 

ここがポイント
表裏分けて生活感消す

坂道の途中にあるKさん宅。北西側の隣家の上から景色が広がる2階が住居スペースになるのは「自然な流れだった」と、遠藤建築設計室の遠藤篤志さんは語る。

とはいえ、前面道路や隣の家との距離が近いことから、北西以外は開くのが難しかった。「周囲を外壁で閉ざした分、要望の坪庭を随所に配して採光と通風を確保した」。坪庭は機能面とともに「潤いを感じられる空間。暮らしの中で、目に止まりやすい場所、例えば2階に上がってすぐの場所や浴室、トイレのそばに設けています」。

「内装は白と木に絞った」ことも植栽を際立たせ、洗練された印象を醸す。夫人が希望した琉球石灰岩の壁も、存在感はあれど白い空間になじんでいる。

また、家事動線を裏側にまとめることで「夫妻がこだわった見た目を邪魔しないよう配慮した」。LDKから見えない北側の奥に室内物干し場、ウオークスルークローゼット、脱衣所を一直線に並べた。クローゼットの中に家事室を設けるという徹底ぶりで「洗濯物が一切表に出ない。すべてが直線上で完結する」。

坪庭や室内物干し場などに面積を割いた分、子ども室はコンパクトにまとめた。「そこにベッドと机を置くとギュウギュウになるので、娘さんの部屋はロフトのように勉強机の上にベッドを造り付け、息子さんたちの部屋は2段ベッドを造り付けた」

空間に広狭、表と裏のメリハリを付けて「ホテルライクな住まい」をかなえた。


息子たちの部屋。机とベッドも造り付けた。今は1部屋だが将来は間に仕切りを入れて2部屋に分けられる
 

長女の部屋。床面積がコンパクトなため机の上にベッドを造り付けた
 

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:313.77(94.91坪)
1階床面積:162.25平方メートル(49.08坪)
2階床面積:149.72平方メートル(45.29坪)
建ぺい率:49.99%(許容50%)
容積量:79.54%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリートラーメン構造
設計:遠藤建築設計室 遠藤篤志
構造:(有)建築設計庵 担当/長間大輔

問い合わせ
 遠藤建築設計室
 電話098・996・1720
 HP:http://endoh.boo.jp


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1830号・2021年1月29日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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