お住まい拝見
2020年2月7日更新
室内でも全力で遊ぶ|(株)木の家 Green House
[お住まい拝見|空間つなげ家族が身近]北中城村のGさん(35)宅は、上下階が吹き抜けでつながるなど、家族と交流しやすい木造2階建て。息子3人が、おもちゃの車で走り回ったり、バスケットボールをしたりと元気に遊ぶ。
お住まい拝見
吹き抜けで上下階がつながるリビング。夫人は「キッチンにいても家全体の気配が分かるので、子どもたちが何をして遊んでいてもハラハラしない」
家事しやすいサーキット
Gさん宅
木造/自由設計/家族5人
おもちゃの車に乗った三男(4)が勢いよくドリフト。その隣では、長男(10)と次男(7)がバスケットボールを弾ませる。ボルダリングで壁を登る姿も見られる。これらはみんな室内での話だ。
濃いネイビーカラーにナチュラルな木目模様が目を引く外観のGさん宅。玄関ドアを開けると一転、白を基調とした明るい空間が広がる。床は全体的に杉の無垢(むく)材が敷かれ、やわらかい印象。1階にLDKや和室、水回り、2階に寝室と子ども室がある。
三男がドリフトを決めていたのは、リビングからダイニング、キッチン、洗面室にかけての部分。ぐるぐる回れる造りで、夫人(31)は「いつもサーキットみたいになっています」と話しながらも、「家事動線としても使い勝手がいいんですよ」と笑顔を見せる。
一方、バスケを楽しんでいたのは、2階とつながる吹き抜けで開放的なリビングと、最大天井高4メートルでロフトもある子ども室。ロフトまではボルダリングでも登っていける。
子どもたちの元気な姿に「最初は床などに傷が付かないか気になった」というGさんだが、「兄弟が仲良く、遊びを通して学び育ってくれたらいいかな」と考えるように。今では、「子ども室にバスケットリングを設けようかと思っています」と子どもたちの遊びを後押しする。
和室から見たLDK。リビングの大きなスクリーンを使い、親子でテレビゲームを楽しむこともある
憧れのスポーツバー
もともと、夫人の実家の敷地内にある築40年以上のコンクリート住宅で暮らしていたGさん一家。建て物の老朽化が進んでいたため、敷地の一部を分筆してもらい、建て替えることになった。
Gさんは「コンクリートで考えていたけれど、木造住宅セミナーで聞いた、『木は熱を蓄えにくい』などの特長に魅力を感じ、その木造業者に依頼することにしました」。
設計を進める中でGさんが「家を造るならやりたかった」とこだわったのは、リビングのホームシアター。雑誌を参考にしたほか、プロジェクターは家電量販店でレンタルして明るさなどを確認しながら選んだ。
その結果、大きなスクリーンでは、カーレースやサッカー、バスケなどのスポーツ観戦。子どもたちのバスケの試合の様子を流して、反省会を開くこともあるという。「スポーツバーの雰囲気を目指した」というGさんは「人が集まる機会が増えた」と満足そう。
今夏の東京オリンピックも、たくさんの友人らとともに応援するのだろう。
ボルダリング用の壁が印象的な2階子ども室。ロフトは子どもたちの秘密基地のようになっている
ここがポイント
パネルで耐震性UP 床下断熱で冬も素足
子育て世帯のGさん宅において、設計を手掛けた座間味修さんは「家族のコミュニケーションの取りやすさに重点を置いた」と話す。
例えば1階は、和室の戸を開け放てばLDKと和室が一体化し、キッチンを中心に全体が見渡せるようになっている。上下階も吹き抜けでつなげたほか、階段は玄関から最も遠い位置に配し、子ども室に行くにはLDKを必ず通るようにした。
家事動線は、回遊できる造りで効率化。さらに、洗面室にクローゼットを設け、脱衣から洗濯、収納、着替えまでできる。
耐震性を高めるため、柱と柱の間は筋交いではなく、断熱材と一体化した構造パネルを挟み込む「プレウォール工法」=下図=を採用。座間味さんは「パネルが突っ張って耐えるので、地震や台風などの繰り返す揺れにも強い」と説明。柱や梁(はり)には、木の板を組み合わせることで強度を高めた集成材を使用した。
断熱材は天井裏や壁だけでなく、床下にも施した。座間味さんは「エアコンで調節した室内温度を保ちやすく、下からの冷気を遮るので冬でも床が冷たくならない」。実際、夫人は「家では常に素足。おかげで木目の凹凸も分かるし、何より気持ちいい」と話した。
キッチン。洗面脱衣室と隣接しており、効率良く家事ができる。ここで作業をすることが多い夫人は「吹き抜け部分の大きな窓(写真左上)から見える月が好き」
片流れ屋根でシャープな印象の外観。濃いネイビーカラーの中にある、玄関と軒裏の木の色がアクセント
和室。カウンターを設け、子どもたちが宿題をするなど普段使いしやすくなっている
玄関。子どもたちの部活用品などは中央のシューズクロークにまとめて収納。部活で汚れて帰ってきても、右奥にある浴室へと直行できる
[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:186.61平方メートル(56.44坪)
1階床面積:66.29平方メートル(20坪)
2階床面積:48.04平方メートル(14.5坪)
建ぺい率:36.71%(許容50%)
容積率:61.78%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:木造(プレウォール工法)
設 計:(株)木の家 Green House
座間味修
施 工:(株)新洋
電 気:トーマ電工
水 道:ダイエイ工業
[問い合わせ先]
(株)木の家 Green House
098-975-9710
https://kinoie-greenhouse.com
撮影/ララフィルム・泉公 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1779号・2020年2月7日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
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- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。