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2017年5月26日更新

【第3回沖縄建築賞】奨励賞 一般建築部門/「北大東村複合型福祉施設」(北大東村)/伊東まこと氏(44)/tin architects

第3回沖縄建築賞の受賞作品を特集する。ここでは奨励賞を受賞した3作品を紹介。北大東島村の福祉施設のほか、ユニークな形のアトリエ兼住宅や分棟の二世帯住宅が選ばれた。

沖縄建築賞

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寄棟と花ブロック 北大東らしさ象徴

奨励賞・一般建築部門
「北大東村複合型福祉施設」(北大東村)


テラスとつながり開放感
大きな寄棟式の屋根が目を引く「北大東村複合型福祉施設」。鉄筋コンクリート造平屋建てで、福祉・介護サービス提供と、地域住民の交流拠点として、2年前に整備された。
寄棟の屋根について、伊東まこと氏は「島では開拓民たちの故郷である八丈島の建築様式が受け継がれており、その様式をデザインの基礎とした」と話す。建物の周りはアマハジ空間でぐるりと囲み、さらにその外側を花ブロックが覆う。八丈島と沖縄の建築が融合した、北大東島らしい風景の象徴のようでもある。
建具や家具などに木材を使った室内は、随所で大きなテラスやアマハジ空間とつながり、一体化して使うことができる。
そのほか、コンクリートの骨材や擁壁などには地場産のドロマイト(石灰岩)を使用。太陽光発電の蓄電装置や備蓄倉庫で災害に備え、雨水を散水用の貴重な水資源としてためられるようにもなっている。
審査では、寄棟屋根や花ブロックによって存在感が増したことのほか、テラスが各部屋の通風や採光とともに開放感を与えている点などが評価された。


金属葺(ぶ)きの大きな寄棟屋根と花ブロックで、強い日差しや台風から建物を守る。アマハジ部分の床を浮かせたことで、軽やかな印象を与える

奥のテラスと一体化できるリビングホール。寄棟屋根の最も高い位置の真下にあたるため、天井も高く開放的



設計者代表
伊東まこと氏(44)
tin architects


 

審査講評 奨励賞 一般建築部門

「北大東村複合型福祉施設」

青空の下、光を受けた大屋根にはインパクトがあった。広いサトウキビ畑や背景の緑の中で金属葺き寄棟屋根ばかりでは無く、規則的に配置されたスクリーンブロックの雨端壁も存在感とスケール感に大きな効果を上げている。又、地場産ドロマイト積み擁壁は敷地面の高さに抑えられ、地面から浮かせた雨端を見せて建築全体への軽やかさを際立たせている。
 内部空間は更新が考慮されたシンプルな構成ながら、相対したメインとサブのテラスが各室の通風・採光と共に開放感を与えている。天井高を確保できる寄棟の真下にトイレ等が設置されている事に疑問意見もあったが、利用者の多く使用する場所が中央の解り易い、しかも導線の中心部にあることに潔良さと利便性があると感じた。
人口600人余、周囲13㎞余の島で「沖縄建築賞」の審査基準を十分満たし、北大東内外に誇れる複合型福祉施設建築が出来上がったと言って良い。



 

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