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2020年1月3日更新

特集|建築関係者11人が語る 私たちの首里城〈琉球風水〉

2019年10月31日、沖縄観光の要である首里城正殿などが焼失した。首里城とかかわりの深い建築関係者ら11人に、首里城にまつわる思い出や建築的・文化的意義、再建のアイデアを寄せてもらった。

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琉球風水の思想体現した存在

ロンジェ琉球風水アカデミー 学長
横川明子さん


琉球王国の歴史書「球陽」の『首里地理記』との出合い。初めて触れる王城(おうじょう)の風水鑑定報告書。300年前の風水師との時空を超えた対話。歴史上の王城の風水解説を読み、その風水景観を、今も見て感じることができる沖縄の環境に感動しました。これが、琉球風水の研究と実践を始めるきっかけです。資料が少ない琉球風水を学ぶため、100回以上訪れた首里城は、教科書であり、先生でした。

首里城は、狭くて傾いた土地の上にあり、決して良い立地とは言えません。しかし、氣脈が集まり、山川、樹木など、美しい自然に抱き護(まも)られていた環境条件により、首里城の風水は素晴らしく、王都としてふさわしい場所でした。蔡温(さいおん)の風水思想は、防災機能をもち、景観を保全するなど、実学と美学の両面を持つ環境学。琉球風水は、現代にも通用する科学技術であることを首里城から学びました。


復興の価値観を再考
経済的価値観の優先により、美しい風水都市は激変。首里城を守護してきた自然景観は破壊され、龍が留(とど)まる、首里城が首里城であるための環境条件は失われました。蔡温が一体の龍と見たてた琉球の島。その龍は、今、全身傷だらけかもしれません。再建費用、建材、美術品など、物質的な条件さえそろえば、首里城は本当に甦(よみがえ)るのでしょうか。

首里城の焼失は、首里城を守護する自然景観の破壊を象徴したように感じました。この喪失感は、沖縄の美しい自然が開発によって破壊され続けることへの無意識の心の痛みと同じかもしれません。一人一人の魂の中に眠っている龍を目覚めさせるきっかけを、首里城は与えてくれたのではないでしょうか。

300年後の未来へ、どんな風景をつなぎたいですか。首里城が首里城であるために。沖縄が沖縄らしくあるために。復興に向け、価値観から見つめ直す必要があると思います。


首里城の風水を見る東(あがり)のアザナ。今、蔡温は何と言うか


横川明子さん
王朝時代から伝わる環境学としての風水術を、現代建築に実践的に応用する琉球風水師。風水空間デザイナー
 

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