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2019年8月16日更新

学生の街から 社会人の街へ|ロンドン住まい探訪[5]

文・比嘉俊一

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ノースロンドンでの勤務時代①

学生の街から 社会人の街へ
経験積むためロンドンで就職
2007年、大学の専門課程を修了した私はポートフォリオ(作品集)や履歴書の作成に追われていた。いわゆる就活である。市民権をとる予定はなかったものの、ロンドンで英語と設計を学んだのだから、ロンドンの設計事務所で働くこと、ロンドンという街に住み続けるという実体験を重ねて将来に役立てたいという気持ちは強くあったように思う。

ビザの関係上、仕事に就けなければ帰国するしかないので、それはそれであきらめもつく。まずは試しに、という感じだった。ロンドンの設計事務所で就職活動をする場合も、例にもれず、書類審査、面接審査、試用期間と進む。思いのほか何とかなるもので応募した事務所の一つに入社することができた。当時はオリンピックバブルの影響もあり国内外に仕事が多く、比較的仕事を得やすい時代だったのも良かったように思う。


北の小粋なベッドタウン
私の勤める設計事務所がテムズ川を挟んで北側のノースロンドンにあったこともあり、ここで心機一転、今回はノースロンドンに住んでみようと、事務所から徒歩40分ほど離れたStoke Newington(ストークニューイントン)へ住まいを移した。

ロンドンはテムズ川を挟み東西南北でエリアの魅力が語られる。以前住んでいたイーストロンドンの雑多なミックスカルチャーの雰囲気も気に入っていたが、異なるエリアに住むのも悪くないと思っていた。Stoke Newingtonは割と閑静な住宅街であったが、徒歩圏内に気の利いたカフェやパン屋、パブなどつい立ち寄ってしまう店が多く、特にChurch Street(チャーチストリート)と呼ばれる目抜き通りは、週末になるとファーマーズマーケットなどが開かれ多くの家族連れでにぎわっていた。Clissold park(クリスソールド パーク)という素晴らしい公園もあり、歩くのが楽しく住みやすい街であった。治安の面では、近隣に中学校があること、ロンドン中心部もそんなに離れていないことから家庭を持つオフィスワーカーも多く、安心して暮らせるエリアであった。

さあ、環境は整った。新しい変化に身を委ねて、設計事務所での日々が始まった。


ストークニューイントンの街並み。テラスハウスと言われるれんが造りの家が並ぶ。このエリアは1870年ごろに建てられている。出窓が特徴的でかわいらしい


 11月のクリスソールドパーク。早朝は霧がかった景色が広がる。マイナスイオンたっぷりの広大な園内を独り占めしてリラックス。肌寒い空気も心地よかった


ファーマーズマーケットの規模は小さいものの新鮮な野菜や肉が手に入るため、週末は近隣の人々が訪れる

ポストコード区分図
※ ポストコードは方位の略字(N、S、E、W)とセントラルの略字(C)で構成される


ロンドンはテムズ川を挟んで東西南北にエリアが分かれ、ポストコード(郵便番号)が付けられている。学生時代に住んでいたストラットフォードのポストコードはE15。移民や学生が多く雑多でエネルギーにあふれた雰囲気の街だった。移り住んだストークニューイントンのポストコードはN16。大英博物館などがある都市中心部のWCまでは6キロほどしか離れていない



 

ひが・しゅんいち/1980年生まれ。読谷村出身。琉球大学工学部卒業後、2005年に渡英。ロンドンでの大学、設計事務所勤務を経て、16年に建築設計事務所アトリエセグエを設立。住み継がれる建築を目指す

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1754号・2019年8月16日紙面から掲載

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